2013年のモバイル業界を読み解く。キーワードは「TD-LTE」

2012年も残すところあと数日。
今年も色々な事があったが、IT業界という枠組みで見るとやはりモバイルが中心だったと思う。ただ、ここ数年はiPhone・Androidなどのモバイル端末の話題が多かったのに対して、今年はネットワークが中心になった事が大きな違いであるように感じる。

キーワードは4G、LTE、プラチナバンド。こんなところではないだろうか。今年の振り返りを行いつつ妄想込みで2013年のモバイル業界を考えてみる。

2012年のモバイル業界

docomo

ネットワーク障害の頻発、MNP転出超過などマイナス面の話題ばかりだった印象があるdocomo。国内で唯一iPhoneを取り扱わないキャリアとなったため、その部分から「docomoがiPhoneを発売か」なんて記事が年に何度も出てくるが、docomoの凋落はiPhoneだけが原因ではないと僕は思っている。

docomoの転出超過はiPhoneだけが理由なのか


docomo最後の砦。ドコモメールは起死回生の策になるか?


iPhone導入報道再び。docomo巻き返しの切り札にiPhoneはなれるか


docomoのブランド力は高品質な端末と、安定したネットワーク。この両方が現在揺らいでいることが最大の問題だ。端末については国内メーカーの品質とAndroid OS自体の安定性が増してようやく使いやすくなってきた。過去の悪イメージをどうやって払拭するかが鍵。

au

スマートバリューで固定とモバイルを一体的に売るという新たなビジネスモデルを作ったことが最大の強み。また、スマートパスでガラケー的にコンテンツを利用出来るサービスを作った。

特にスマートバリューは僕みたいなネットのヘビーユーザーには魅力的なサービスで、早速飛びついたし気がつけば実家はauひかり、僕と嫁のiPhoneはauと今年1年でメイン回線は全てKDDIに切り替わってしまった。実際特にMNPでの伸びはauが圧倒的だし、今年一番好調だったキャリア。ただ、それ故に問題も起こり始めているような印象だ。

月3,000円弱。MNPとスマートバリューでau iPhoneはここまで安くなる


iPhone 5が好調なauで始まった便乗商法


不可思議なauのiPhone 5パケ詰まり問題


不可解なコンテンツ契約を強制する問題は僕自身かなり嫌な気分にさせられた。キャリアショップに依存する話とはいえ、SoftBankでは以前かなり問題になった経緯もあり特にiPhoneを絡めたものでは露骨にコンテンツ契約を強制するような事はなくなっていた。auは現在好調故に、この辺りの意識統一が出来てないような印象がある。

また、「パケ詰まり問題」や「LTEエリア96%問題」など、ユーザーの急激な増加に色んなものがついていけなくなっているような感じだ。iPhoneユーザーはコンテンツやユーザー情報をiTunes StoreやiCloudに保存するため基本的にキャリアに依存しない。キャリアの判断基準はネットワーク品質が大半を占めるため、それが悪くなれば2年後にはSoftBankに逃げていくわけで、ここの対応を誤ったら今度は転出超過に逆戻りになるだろう。

SoftBank

900MHz帯の免許を取得し、プラチナバンドとして大々的に広告を打ったことが記憶に新しいが、今年前半はそれ以外の話題が乏しかったSoftBank。それが変わったのはiPhone 5の発表。イーアクセスの買収、米スプリントの買収など矢継ぎ早に動き始めた。

これらの動きは「データ通信」がモバイルの中心になって行く、という流れに乗っているからだと思う。日本ではモバイルといえばデータ通信が中心でそれは今や当たり前だが、海外に目を向けたらそうではない。そこに勝機を見出し、素早く動くSoftBankというか孫正義社長の行動力はさすがとしかいいようがない。

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SoftBankがアメリカのSprint-Nexteを買収。通信競争が世界規模に


【妄想】孫正義とSoftBankの次の一手を深読み。キーワードは「光」


ただ、やはり気になるのは国内向けのサービス。プラチナバンドの普及とイーアクセスを買収し1.7GHz帯でのLTEサービスを来年開始する事でエリア面の不安はどんどん解消されていく。ただ、それでも携帯回線で増加し続けるトラフィックを全て裁くのは難しいはずで、auは自社の光回線とセットにする事で解消する施策をとっているが、SoftBankはどうするのかが気になるとこだ。

2013年のモバイル業界

2012年は激動だったと思うが、打って変わって2013年は非常に落ち着いているのではないかと思っている。理由は大きく分けると2つあって、

・各社LTEのサービスエリア拡大に注力
・敢えて言えば次期iPhoneだが、目新しい端末が出そうにない

という辺りだろうか。新しいサービスとかはあまり出てこないと思われる。

特にLTEについては4Gとか3.9Gとか言われるが、現在docomo・au・SoftBankが使用しているLTEとは正確にはFD-LTEという規格で、この世代になってようやく国内キャリアの通信方式は統一された。そうなればこれらのアンテナを製造するメーカーなどもスケールメリットが生かせるようになるわけで、一気に拡大していくと思われる。

LTEのエリアって色々話題になるけど、本格的に始まってまだ数ヶ月。新しいサービスであることを忘れちゃいけない。ただ、これから1年くらいでどれくらい広がるかは各社の頑張り次第なわけで、事業戦略としてここをどれだけ重要視するかによって、1年後には差が付いてくるんじゃないかと思う。

そんな中で敢えて来年重要になるかもしれないキーワードを上げると、もう一つのLTE、「TD-LTE」じゃないかと思ってる。

TD-LTE

日本ではSoftBankが「SoftBank 4G」のサービス名で今年2月に始めたもの。
既存の3Gと互換性はないため、全て新規構築になるわけで未だにエリアは非常に狭い。対応端末も少なかったが、SoftBankは今年の冬モデルから「SoftBank 4G」対応端末を増やした。実はAndroidは「SoftBank 4G」、iPhoneは「SoftBank 4G LTE」と対応サービスを分けている。

理由はもちろんiPhoneがTD-LTEに対応していないからなのだが、このTD-LTEは世界最大の人口を誇る中国のキャリアが推し進めている規格。iPhone 5では採用されなかったが将来的にTD-LTEをサポートしてくる可能性は十分にある。そうなればSoftBankは主に都市部でのトラフィックがさらに分散できるようになる。

またTD-LTEはKDDIにも関係がある。KDDI的には次期iPhoneで同社がメインで展開している800MHz帯でのLTEバンドをサポートしてもらうことが一番の目標だろうが、次の目標はおそらくTD-LTEのサポート。というのもUQ-Wimaxの次期規格(Wimax2と呼ばれてた)はTD-LTE互換のものになる事が少し前に決まった。

UQ、TD-LTE互換「WiMAX 2+」導入へ──次世代WiMAXにWiMAX Release2.1を採用 – ITmedia PC USER


もはやオワコンの規格と言われ始めていて、今年のauスマートフォンでも「+Wimax」対応端末が激減していたが、これでWimaxも一応生き残る道が出てきた。そうなれば、当然iPhoneなどのスマートフォンでも採用したいはずなので、日本でもSoftBankとauがAppleに対してTD-LTEのサポートを要求するようになる可能性は高いように思われる。

まとめ

2012年はLTEを中心に激動だったモバイル業界だったが、端末側がかなり成熟して来た事もあり、来年以降はネットワーク側の話題が多くなっていくと思われる。現在はサービスエリアではdocomoとauが優れていると言われるが、この部分もSoftBankは1~2年で急速にキャッチアップする事が予想されるし、2014年あたりにはほぼどのキャリアでも差が無いとい状態になる気がする。

来年はその地固めになる1年で全体的には落ち着いているのではないかと思われるが、僕が次にキャリア変更を含めて本格的な検討に入るのは2014年になるので、引き続きキャリアの動向は注視していこうと思う。

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