スマホ通信速度の広告表示は、理論値だけでなく実測値を併記へ。これは総務省の良い仕事!

昨年から携帯業界に対する、総務省の動きが活発になっている。
2015年5月からいよいよ始まった「SIMロック解除義務化」の動きもそうだし、今年から始まったフレッツ光の卸売り(光コラボレーションモデル)もその一環だ。

これらの動きの根底にあるのは、グローバル観点から見れば「高い」と言われる携帯料金の低減や、競争の促進が狙いと思われるが、その結果出てきたサービスは微妙なものが多く、正直「要らないお世話」と言いたくなる面もある。

が、1つだけ「総務省GJ!」と言いたい施策があって、それは「モバイルデータ通信の速度を理論値ではなく実測値に」という動きだ。

「モバイルデータ通信の速度を理論値ではなく実測値にする」動き

詳しくは以下をご覧いただきたい。

特にLTEが始まってから、これまで各種メディアが比較速度レポートとして、大都市部(山手線の圏内とか)・地方で実測値を計測していた。キャリア自身ももちろんこういうデータは持っていただろうが、公開はしてこなかった。今後は、それが義務化される事となる。

それによって、今まで「最大150Mbpsの高速通信!」なんて広告だけが踊っていたが、形はどうあれ「実測値は5~10Mbps」というような形で併記されるようになるようだ。

これはとてもよい動きだと思う。何せ、モバイルデータ通信の理論値上の最高スピードなんて出るわけがないし、その割に近年は最高速ばかり追い求めているような印象があったからだ。

モバイルデータ通信の実測値が重要な理由

そんな事を言うなら、固定回線も一緒じゃないかと言う人もいると思う。
確かにそうだ。固定回線の世界では現在光ファイバーで「1Gbps」というのが標準的なスピード。じゃあ、それだけのスピードが出るのかと言えば、一般ユーザーが計測できるシーンではほぼ出ない。ただ、固定回線の場合「1Gbps」の速度で契約すれば、理論値上は概ねこの数字が保証される。

しかし、モバイルデータ通信だとそうは行かない。使う地域、場所、時間帯によってサポートしている周波数が違うし、同じ場所でも地上なのか、屋内なのか、地下なのかによっても代わる。

さらに言えば、例えば今docomoが宣伝している「PREMIUM 4G」というサービス。
auが積極的に宣伝している事で有名な「LTE-Advancedのキャリアアグリゲーション」を採用し、最大225Mbpsで通信出来るとされているが、これが可能なのは全国の主要都市かつその中でも限られたエリアだ。帯域を広く使うと言うことは、それだけ広い帯域でサービスを展開する必要があるが、過疎地とかでそんなことをやるかと言えばやるわけが無い。

なので、225Mbpsという宣伝文句で契約しても、過疎地ではその恩恵にあずかれない。固定の場合、サービス提供エリア外となってしまう可能性があり、結果として嘘は言ってないという事になる(使えないから)。

モバイルデータ通信は様々な場所で利用するのだから、その速度も様々なパターンで計測した平均とかで出してくれた方がより分かり易いのは言うまでもない。

不利なのはdocomoとMVNO

まあ、実測値表示にしたところで、特にガイドラインとかが無ければ、自社に有利な場所・時間帯を選んで計測するだろうから、あてにならないという意見もある。ただ、それでも今の理論値よりはマシだと僕は思う。

そして、実測値表示にした場合、不利になるのは恐らくdocomoとMVNOじゃないかと思う。
docomoはMVNO事業者に回線を貸し出しているため、自由に出来る枠としてはどうしても小さくなる。そして、MVNOはdocomoから借り受けた小さな枠の中でサービスを提供するため、少なくともdocomoより早いということには絶対にならないし、細いだけに利用が集中する時間帯(ランチタイムとか)には、極端に速度が低下する。

ただ、この件は総務省の研究会においても、既に話題にもなっているようで、MVNOについては当面適用対象から外れるようだ。興味のある人はみてみてはどうだろうか。

ちなみにMVNOについては、「インターネットのサービス品質計測等の 在り方に関する研究会 報告書(案)」のP.47に、以下のような記載がある。

本計測手法は、全てのモバイル通信事業者に適用可能なものと考えられるが、計測の実施、計測結果の公表、広告表示への適用は、利用者の大半を占め0、かつ MVNO(Mobile Virtual Network Operator)のサービスインフラ基盤ともなる MNO(Mobile Network Operator)を、まずは、優先することが適当と考えられる。
なお、MVNO の広告表示における実効速度の表示方法については、通信速度を訴求しないサービスもある状況等も踏まえ、電気通信サービス向上推進協議会における、上記「計測結果の広告表示への適法方法の詳細検討等」の中で、MNO の計測結果の活用の可能性を含めて検討し、ここれと合わせて MNO と MVNO の同時期の広告への適用の可能性についても検討することが適当と考えられる。

終わりに

このガイドラインが実効性を持つのは、今年の年末くらいからになるらしい。昨今の状況からすれば、実現するのは間違いなく、反対する理由も無いためむしろ少しでも早くやって欲しいくらいだ。

ちなみに、このガイドラインに従った速度表示は、
スクリーンショット_051215_013943_PM
こんな感じを想定しているそうだ。

総務省が積極的に動くのはきっとオリンピックも関係あるのだろうが、良い方向に変っていってくれたらなぁと思う。

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