運営者チーの最新活動はXをチェック

うつ病の治療中の行動指針。退職・転職・転居など、大きな決断を可能な限り先送りすることも重要

うつ病になって、身体的な不調はもちろん、自分の中での小さな自信やプライド、会社・社会からの信用を失った。

これはうつ病になって治療に専念している時というより、回復する過程のなかで気づいた・気づかされた事が多く、時間の経過と共にボディーブローのように効いてきた。

これはなかなか辛いものではあったが、それでもこの経験の中で得た気づきなどはあったわけで、そこからの行動が現在の自分を作っていると思っている。

次回以降は僕が感じたこと、そこから実践した事を紹介して行こうと思うが、その前にもう一つ大切な事を伝えておこうと思う。

それは、「病んでいる時に大きな決断はしない。可能な限り、結論を先送りにしておく」という事だ。

この記事の掲載内容は、2018年12月23日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

仕事が辞めたい。また東京に行きたいとばかり思っていた絶不調時

僕がうつ病になった理由。

色々要因はあるだろうが、一番大きいのは仕事。大規模プロジェクトでプレッシャーも多く、最後は自爆だったと今は思う。

だが、当時はそうじゃなかった。

とにかく、会社が悪い、上司が悪い、仕事が悪いと思っていた。

なので今の仕事(システムエンジニア)を続ける自信をすっかり失っていたし、またあんな忙しい日々が来るのかと思うと怖くて仕方がなかった。

結果、仕事をやめたい。別の業界に転職したいと思っていた。

実際休職期間中に転職サイトは結構見ていた。

ただ、そこから先の行動をするほどの元気もなかったので、結果として何もしなかった。

もう一つは関東にまた戻りたくなっていた。

僕はうつ病が悪化する直前、2010年9月でそれまで2年間暮した関東から岡山に戻った。この環境変化が身に堪えていた。

僕が住んでいた千葉県市川市は東京から近い。

東京の華やかな町並み、何でも揃うし、色んなものがみられる都会の空気に酔っていたんだと思う。岡山に帰ってそれがなくなると、急に恋しくなった。

さらに言えば、僕は岡山生まれ岡山育ちだが、地元の友達は皆無だ。友達の数って意味では、東京に住んでいる人が圧倒的に多く、それが無くなって寂しくなった面もあったと思う。

なので、当時僕は「また東京に行こうかな」とよく言っていた。

ただ、今思えば多分、現状から逃げたくて、それを変えるために言ってただけだと思う。

「大きな決断を先送りにする」という考え方

そんな頃、心療内科の先生に言われたのか、会社の人に言われたのか、知人に言われたのか、本で見たのか、忘れてしまったが

今は大きな決断はしない方がいいよ。まずは治療に専念して現状維持。結論はなるべく先送りに。

みたいなことを聞いた。

当時それを聞いて特別な事を思ったわけではないが、「まあそれもそうか」くらいには納得した。

ただ、今の時代の考え方は真逆だ。

  • 決断はなるべく早く
  • やろうと思った時に、やるべき
  • やらずに文句を言うくらいなら、やって文句を言った方がいい

なんて言う人はいわゆる「成功者」には多くて、そうしなきゃいけない気にもなるが、当時はそこまでの元気はないし、「何もしないこと」の裏付けをもらった感じもありむしろ良かったとすら思う。

そして、僕の場合結果としてこの言葉は受け入れて正解だったと思っている。

それくらい今の考えは当時と正反対の考えになってしまったからだ。

どちらが冷静に判断できているかと問われたら、やはり今だと思う。

仮に当時の思いが正解だったとしても、あの時勢いでやってしまうのと、今改めて決断するのとは意味が全く違うので。

うつ病治療中に大きな決断を先送りにしておく理由とメリット

あくまで僕の話だが一例を紹介する。

一番大きな理由はどんなに自信を失っても、冷遇されても、うつ病による会社復帰は元の会社の方が楽だからだ。

ポイントは、会社が事情を知ってるという点に尽きる。

勤務時間を徐々に伸ばしたり、少し体調が優れないだけで休めたり、仕事の量がある程度調整出来たりするのは、元の会社だけだ。

転職先の会社でも事情は伝えられるが、そこまで気を遣ってくれるかと問われたら、やるわけないですよね。

そもそも、そんな状態で転職できる可能性はかなり低いと思う。

そして、これは僕が勤めている会社が、制度としてもそれなりに充実していたからかもしれないが、「あの時辞めなくて良かった」という事は、復帰から1年ほど経って強く思った。

さらに言えば、当初システム業界で仕事を続ける自信を失っていたが、新たな試みも始めるなかで、やっていけるかもという気持ちも生まれていた。

やはり、一番気持ちが落ちてる時と、回復し始めてからでは考え方も随分かわるという事は実感した。

言い方は悪いが、どうせやめるにしても、もっと元気になってからやめた方がいいという事だけは言える。

もちろんそんな事を許さない会社もあると思うので(いわゆるブラック企業とか)、一概には言えないが。

終わりに

うつ病の発症、休職、職場復帰から現在(2015年6月)で4年ほど経つ。

今思うのは、あの頃現実逃避的に会社を辞めたり、転居しなくて良かったということだ。

そして、この事は同時に自分は社会、会社、家族など色んなものに守られている、ってことを実感する体験でもあった。

普段は当たり前と思ってたり、気づかなかったり、あまり実感することなんてない。

むしろ、文句を言うことの方が多いが、それに気づいた事は、僕自身の考えやその後の行動に大きく影響を与えた。

今は守られてても、いつまでもそのままじゃいけない。

そして、今度は同じような立場になった人を守ってあげられるような人間になりたい。

これは大きな意識の変化だったし、その為には逆説的だが、現状を悲観するだけで無く、事実を受け入れた上で「強く」なる必要があると感じた。

これがこの連載記事のタイトルである「うつを受け入れて強く生きる方法」に込めた思いだ。

では、次回以降はこの連載の主テーマとなる、うつ病という現実がある中で感じた事、そこから実践した事を1つずつ紹介していこうと思う。