羽毛布団の品質と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。
ほとんどの人は羽毛だと思う。
では羽毛の善し悪しは何を元に判断するのか。産地だったり、かさ高じゃなかろうか。
しかし、それを実際に見て判断できるかと言えば答えは否。
サンプルくらいはあっても、羽毛布団の中味を見ることは基本的に出来ない(開ければ出来るけど)。結局業者の言うことを信用するしかない。
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羽毛布団を選ぶポイント
そのような状態なので指標が重要となる。
羽毛布団を選ぶ上で重要な指標は色々話しを聞いたり調べてみて、素人なりにまとめると以下の4つと考える。
1. ダックとグース
2. 産地
3. 採取方法
4. かさ高
1.ダックとグース
ダックはアヒル、グースはガチョウの事だ。
羽毛布団に入る羽毛はダウンボールと呼ばれるらしい。これは大きく、毛の本数が多い程、保温性に優れるそうだ。
そして、ダックとグースではグースの方が体が大きいため、ダウンボールも大きい。よって、グースを選ぶ方が温かい。
マザーグースというものもあるが、これは産卵用に飼育されたグースのことで(通常は食肉用らしい)、長期間飼育されるため大きく成長し、羽毛も成熟している。
グースの中でも高級品の部類に入る。
この中で単純に品質と値段を並べると。
ダック<グース<マザーグース
という感じになる。
2.産地
羽毛の生産は高緯度の地域が中心とされる。
これは簡単に言えば、寒い所で育った鳥は、自身が生き抜くためにより保温性に優れている羽毛が必要になる(=良質な羽毛)ことによるそうだ。代表的な産地は、
- ヨーロッパ(ポーランド、ハンガリーなど)
- その他(ロシア、カナダ、中国など)
に分類され、ヨーロッパ産が高級品と言われる。
では、例えばポーランド産であれば全て信用して良いかと言えばその辺りが羽毛布団の難しいところで、偽装表示されていたり中国産の羽毛とブレンドされていたりすることも珍しく無いそうだ。
実際、布団のリフォームなどを行うと、「ポーランド産ホワイトグースダウン」と表示されているのに、中を開けたらホワイトじゃないとか、明らかに違う羽毛が入っていることもあるらしい。
高級羽毛であればあるほど、信頼できるメーカー(=有名店)が強くなるのはこういう理由によるのだろう。
3.採取方法
「ハンドピック」という表現をしている羽毛が時々あると思う。
これはそのままの意味で手摘みと言うことだ。その方がダウンの形が崩れないため品質も高いとされる。
しかし、労力がかかるためコストが高くなる。
逆に言えば、ハンドピックでないものは全て機械摘みとなる。
機械って何?って思うだろうが、これは少々残忍な方法で行われるんだそうだ、、、(詳しいことは割愛)。
4.かさ高
かさ高はJIS(日本工業規格)で決められた羽毛のかさ高性試験によって算出される。
羽毛布団の高さを指しているわけではない。
だがある意味、唯一公的な機関で判断される品質基準だ。
なので、ここまで書いた1~3の全てを一発で判断するような仕組みとして使う事も出来なくはない。
なぜなら、高級品であればあるほどかさ高は高くなるはずだからだ(一部例外的に例えばアイダーダックダウンとういうのがあり、これはかさ高がないそうだが、超高級品)。
そして、かさ高が高いほどふかふか感は大きいし、保温性にも優れる。
このかさ高を消費者も容易に判定する仕組みとして日本羽毛寝具製造業協同組合と言うところがゴールドラベルというものを出している。
羽毛布団を買ったら以下のようなラベルがついているのを見たことがある人もいるかもしれない。
プレミアムゴールドラベル:かさ高180mm(440cm3/g)以上
ロイヤルゴールドラベル:かさ高165mm(400cm3/g)以上
エクセルゴールドラベル:かさ高145mm(350cm3/g)以上
ニューゴールドラベル:かさ高120mm(300cm3/g)以上
※()内の数値はダウンパワーで羽毛1g当たりの体積を表示
上から順にかさ高が高い。すなわち簡単に言えば、上から順に羽毛の品質が高い、値段が高いという事になる。
このラベルの一番重要な所は色だが、次に大事なのは裏面。
ここには製造者の名前(番号)が記載される。
例えば、西川みたいな大手はあまりこのラベルを付けていないそうだ。
会社自体にブランド価値があるからだろう。逆にそれ以外のメーカーはこういうラベルを付けることで羽毛の品質を担保しようとする。
ただ、これを添付するのは製造者。販売店ではない。販売店からすれば、プレミアムゴールドラベルとかを付ければ高く売れる。
所詮はラベルなので、これを沢山付ける事もやろうと思えば出来てしまうわけだ。実際、ラベルだけ欲しいなんていう業者もあるとかないとか、、、。
逆に言えば、このラベルに記載される名前と販売店が一緒というのは信頼感が増すとも言える。
羽毛を偽装とかして、消費者から訴えられても販売のみ行う店なら、製造者に責任転嫁してしまえるが、一緒だとそうは行かない。
ちなみに今回このラベルを提供していただいた小川寝具さんのECサイトは、製造者と販売者が同一になるパターンだ。
終わりに
ここまで4つのポイントを中心に記載してきたが、主に羽毛に限った話でこれだけで十分とは言い切れない。
羽毛の洗浄(においに大きく関わる)はどこで行っているか、側生地の素材は何か、など色々ある。
しかし、羽毛布団の原材料コストとして羽毛が一番大きな割合を占めているのは間違いない。従って、消費者の立場に立つとここをしっかり調べておけば、粗悪品に出会う可能性は低いと思われる。
ECサイトの普及などで布団というものは昔ながらの高級品と、品質的には同じようなもののはずなのに半額以下で販売されるような安価なものが乱立した。
それによって、羽毛布団は一昔前に比べると安くなったと思う。
それでも、IT機器ななどと違って通常布団は1~2年で買い替えるものではなく、進学・就職・結婚など人生の節目で購入し10年くらいは使い続ける息の長い製品であることは変っていない。
従って、情報収集はもちろんだが、信頼できる業者を見つける事がとても重要であると感じている。
情報通信が発達した今の時代、それは近所の布団屋さんである必要は必ずしもないと思う。
僕の場合であれば、遠方だが友人の実家という繋がりで小川寝具さんに出会い、いいものだったから実家含めて全てここの羽毛布団に切り替えた。
布団は1日の3分の1くらいを共に過ごす重要な道具だ。
是非、いいものを見つけて長く付き合って欲しい。