僕は今36歳で社会人生活を10年以上続けている。
なので年齢的にも経験年数的にも、特に同年代または下の年代から転職相談を受ける事が多くなった。
僕は今の会社が3社目。つまり過去に2度の転職経験がある。20代は正直汚点みたいな見られ方をしたし自分でもそう思っていた。なので、あまりおおっぴらに話すような事もなかったのだが、最近は貴重な経験だったと思うようになった。
転職に関する僕の考え方を、経験者として紹介してみようと思う。
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1回目の転職は入社半年
僕が就職したのは2002年4月。会社は、今も住んでいる地元である岡山県倉敷市にある中小IT企業だった。
なんでこの会社にしたのかは特に理由もなく、当時僕はアイドル(モーニング娘。)に夢中で就職活動をおざなりにしていたので、とりあえず一番最初に内定が出た会社に、深く考えず入社した。
結果、この企業は今で言うブラック企業だったと思う。
- 皆勤手当という名の有給休暇の利用抑止
- 残業代は払わない(当時新入社員だったが先輩も同じだった)
- 明らかに社長と不倫関係にある総務の女性が、威張って社員を怒鳴り散らす社内
- 管理職による特定の社員に対するいじめ
パッと思い出せるだけでもこれだけあるわけで、中々面白い会社だった。
というわけで、この会社は半年(2002年9月)でやめた。だが、これって凄く勇気が必要だったし、やめる瞬間まで本当に怖くて仕方が無かった。
2回目の転職は2007年
その後2002年10月に奇跡的にブランク無く2社目に就職した。こちらも中小IT企業。
しかし、前の会社と違い残業代などはきちんと支払われるし、福利厚生も中小企業なりにちゃんとしている。普通の会社ってこんなに違うのかって驚いたものだが、この会社にも徐々に不満がたまっていく。
IT企業でよくある話として、大手IT企業に派遣される事が多いのが、これがあまりに酷く「来週から名古屋に行って」とか言うので流石に切れた。
結果、約5年在籍したが2007年一杯で退職。そのまま現在の会社に転職した。
この時僕は27歳。つまり20代で2回の転職を経験した。これは胸を張る経験でも無く、この当時は、
ちゃんとした企業(=大企業)に就職しなかった自分が悪い
くらいに思っていた。つまり、人生の汚点だった。
転職回数が多いのは「忍耐力」がないからか?
転職相談するような人が、まず思うのが、
自分の我慢が足りないのか。贅沢を言ってるのか
という自分が悪いという発想。これ僕も実際そう思っていた。特に、会社辞めたいみたいな話を親とかに言うと、
また?
って言われるわけで、その思いが強くなる。今の親世代は何だかんだって終身雇用制度が頭にあるため、現在は時代が変わったと言え根底には1つの会社に添い遂げるものみたいな考えを持っている人が多い。
だが、僕は思う。やはりあの時やめておいて良かったと。もちろん転職には失敗例もある。ただ、最初にこの会社ではやっていけないって感じた自分自身の感覚は、多分間違いじゃない。
辞めずに留まる事の方が「忍耐力」が必要
とはいえ、大半の人はここで思いとどまる。つまり会社に残るという選択をする。
で、そういう人がよく言うのが、
会社を変えるように頑張る
ということ。これ、言うのは簡単だが、実行するのは並大抵の事ではない。多くの場合は30代以下の若手社員、例え数人の小さな会社だったとしても、年上の人の方が多い組織を変えるというのはものすごい労力が必要だ。
成功率は低いし、失敗して居場所がなくなるだけなら良いが、風評まで流される可能性がある(=同一業界での転職が難しくなる)。
正直、そこまで頑張る必要あるの?って思ってしまう。その力を転職と次の会社の仕事に向けた方が、よっぽど生産的だと思う。
転職経験の強みは「環境変化に対する適応力」
また、36歳という一般的に転職が厳しくなるといわれる年代に来て思うのだが、確かにこの年になるとやりづらくなると感じる。
- 子供・住宅ローンなどの縛り
- 自分自身に対する自信のなさ
- 環境を変える事への恐怖心
これらが起因するとうかつに動けなくなるのはとてもよく分かる。僕も今の状況で積極的に変えようとは確かに思わない。
だが、僕の場合は少なくとも環境を変える事の恐怖心がない。例えば10年以上同じ環境で仕事をしていれば、そこのルールに染まる。当然だが会社が変われば同じ仕事だとしてもルールが変わる。
これを受け入れるのは年を重ねる毎に難しくなると思うが、転職経験があることで、適応力が上がったと感じる。他社に行くことに抵抗もなければ、住む地域を変えることにも抵抗がない。まあこれは「派遣」などで他社にいくことが多いIT業界の人間だからというのも、無関係では無いと思うが。
これは転職経験があるメリットだと思えるようになった。過去の汚点がメリットと捉えられるようになったのは、最近の話だ。
終わりに
今多くの人が働く手段として選択するサラリーマンという生き方は、個人ではなく組織で仕事をするという合理的な考え方が根底にある。
ただ、組織の中には人がいるわけで、そこにはやはり合う・合わないという主観的なものが存在する。
合わないと感じた時、環境ごと変えてしまうという発想が出来るかどうか。実際やるかどうかは別にして、そう思えるかどうかで気持ちの持ち方は随分変わる。
今転職するべきかで悩んでいる方、安易に「辞めれば?」とは言えないが、その感覚は信じてよいと僕は思う。ただ、たった1つ重要なのはどんな形になろうと円満退社を目指すこと。そうすれば、仮に後ろ向きな気持ちで転職したとしても、その経験はきっと数年後生きてくる。無駄にはならない。
タンポポのように強く、図太く生きていけるようになるんじゃないかと思う。
アイドルかよと言われそうだが、この歌の歌詞僕は好きなんですよね。