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改めて考える原発の事。今を優先して問題を先送りするか、将来を考え決断するか

先日、ニホンカワウソが絶滅種に認定されたというニュースがあった。別にニホンカワウソなんて見たこともないし、特別な思いはなかったが、最後に確認されたのが1979年(=僕が生まれた年)って事で少し興味が出たので調べた。

僕はカワウソが絶滅したのは環境の変化だと思ってた。自然環境の変化や開発が進んでカワウソが生きていける環境がなくなったからなんだと。それも間違いなくあるが、一番大きな原因は昔良質な毛皮を求めて乱獲された事なんだそうだ。自然環境を変化させたのも人間のせいだがある意味仕方ない面もあると思う。でも、乱獲は完全に人間のエゴだと思っててなんともやるせない気持ちになった。

別に人間の性悪説・性善説なんて高尚な話をしたいわけじゃない。ただ、今の利益だけを追求すると将来困ることが多いのは、小さな話では自身の生活、大きな話では国家や地球環境の変化なんかを見れば、経験的に皆が知っていることだ。その問題で今まさにホットなのはやはり原子力発電の問題だと思う。

この記事の掲載内容は、2020年12月24日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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原子力発電の是非に関する議論

今の原発に対する議論というのは少々極端な話になっている気がする。

原発推進=経済至上主義
脱原発=経済活動軽視

さらに地球温暖化問題含めて、「クリーンでエコな」原発抜きにCO2削減は困難なんて議論を含めるとさらにややこしい。まあエネルギーの問題というのは、それくらい難しい話だという証拠ともいえる。

中学の頃、スーパーファミコンで任天堂が出したシムシティというゲームをやった。街作りのゲームなんだが、街を発展させる為に必須となる電力は火力発電か原子力発電でまかなうことになる。火力は建造コストが安いが、発電量が少なく公害問題が発生する。原子力は発電量が多く公害が発生しないが、万一事故(=メルトダウン)が起こったら終わりというリスクがあった。僕は原子力を選んだ。万一のリスクより、目先の利益を選んだ。原子力の危険性に対する認識なんてそんなものだった(ちなみにゲーム上では一度も事故は起きなかった)。

正直今の議論はそれに近いものを感じる。
そういう目先の利益/不利益もそれはそれで重要だと思うが、原子力発電最大の問題は核のゴミをどうするかという事だと思う。それが解決できない限り、原子力発電はもうダメだと思うし、推進するにしてもやめるにしても、今ある核のゴミをどう処分するかという議論抜きに考えるのは本末転倒だと思う。

1998年当時に感じた原子力発電の問題

実は1998年に大学に入学して一番最初に発表したテーマは原子力発電だった(1回生なので研究という程のものではなく、調べたものを発表した程度だが)。この当時話題になっていたのはプルサーマルの是非。プルサーマルというのは簡単に言えば、

原子力発電で発生した核廃棄物を再処理してプルトニウムを抽出。それをウランと混合してMOX燃料と呼ばれるものを製造し、通常の原子力発電所で使われる軽水炉で燃料として使用する

みたいな感じだと思う。
これを関西電力高浜原発で導入するかどうかが当時問題になっていた。プルサーマルのメリットは核燃料の再利用が出来る事だ。当時でも大量にたまった核廃棄物をどうするかというのは問題になっていた。青森県の六ヶ所再処理工場は当時建造中だったが、あれも所詮は再処理施設。最終処分場は決まっていなかった。

僕は当時18歳だったが、プルサーマルの是非以前に原子力発電は将来的にはやばいと思ったことを良く覚えている。シムシティとかのゲームで知っていた、万が一の事故リスクよりもずっと根深い問題が残っていると感じたからだ。

東日本大震災と福島第一原発の事故

それから10年以上たった2011年。
節電に対する意識は普段から高い方だったとは思うが、原子力発電の事なんてほぼ忘れ去り、当たり前に存在する電力を使って生活をしていた中で起こった東日本大震災と福島第一原発の事故。

この事で、何が一番驚いたって事故による影響の甚大さもあるが、原子力発電所で出た核廃棄物は発電所管内のプールに収められているだけで、未だに行き先も決まってないという話を知ったからだ。

10年以上前からある問題の結論が出ていなかったなんて、、、

まあ結論が出ない理由も分かる。国土の狭い日本で再処理施設や最終処分場を建設する計画を立てて、手放しでOKなんていう自治体、住民は皆無だと思うので。それを動かすとしたらやはり金なんだと思う。しかし、この事故を目の当たりにしたらますます実現は難しくなる。それでもこの問題は今こそ結論をださないといけないんじゃないかと思う。

最終処分場をどうするかという議論は原子力発電を行うどの国でも起こっている。例えばアメリカはユッカマウンテンに最終処分場を建造する計画だったが中止。それに伴って今月、最終処分の基準などが決まるまで原発稼働の期間延長や新規建造を凍結することを決めたという。

ここに至るまではものすごいパワーが必要だっただろうが、英断だと思う。

終わりに

日本では原発の是非に関する議論が中心。
去年まで原発で大部分の電力を賄っていた国が、いきなり原発を再生可能エネルギーに全て転換なんて出来るわけがない。今あるものは使うっていうのが既定路線なのは自然な考えだとは思うが、既にたまっている核廃棄物とこれから発生する核廃棄物をどうするかという議論こそ、今徹底的に行って決める必要があるんじゃないかと思う。この問題を先送りにして原発の是非だけを問うというのはおかしいと思う。

カワウソの話からここまで飛躍するのは我ながら考えすぎだとは思うが、安定的な電力という目先の利益だけに執着して、問題点を先送りにしたら、一つの種が絶滅どころの騒ぎじゃすまない。

極論を言えば日本という国を滅ぼしたければ、日本全国に散らばっていてセキュリティも比較的甘い原子力発電所にテロリストを同時に送り込んだりそこだけ狙ってミサイルを撃ち込み、使用済み核燃料プールを破壊する事じゃないかと思えてしまうので。まあ仮にこれをやったら、影響は日本だけではすまない事が放射能の恐ろしいところだが。

今原発を全廃したらみんな困るのは分かっているが、自分たちの子孫、国の将来、それらを踏まえて納得できる結論を出して欲しいものだ。現状は徐々になくしていけるようにするというのが現実的だとは思う。その為に、我々の出来る事といえば、今までのように電気を使いまくることを改め、地域単位で自給自足の仕組みを考えないといけないんだろうな。そういう意味では、僕の住む岡山県の場合は「晴れの国」なんて言われるくらいなので、太陽光発電というのはベストの選択肢のように思える。

しかし、色々考えても自分の中で「これ!」という結論がでないだけに、本当に難しい問題だ、、、