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うつ病患者の住宅ローンは「ワイド団信」の検討を。マイホームの資金計画

高度成長時代で給料は右肩上がり、終身雇用で長期ローンも安心だった20世紀ならともかく、今の時代に35年ローンの住宅購入なんて頭がオカシイとすら思っていた僕が、購入に至るまでの顛末を記録として公開している連載記事の第5回です。

ついに大手ハウスメーカーのダイワハウスでマイホームを建てることになったが、設備や間取りの決定もさることながら、一番重要なのは資金計画だ。

なにせ、基本は一生に一度の大きな買い物。ノープランでは買えない。資金面は契約前と、間取り・設備が大枠で決まった後、引き渡し前と大体3回に分けて検討したため、時間軸は若干前後するが今回はその話を。

この記事の掲載内容は、2016年8月6日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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資金計画の方針

土地は競売のため現金一括払い。この為、資金計画は家部分のみの検討となる。

家を現金一括払いするような資金はもうない。この為、住宅ローンを組むことが前提となる。敢えて言えば、結婚後から貯めていた共有資産だけでなく、個人資産も総動員することだがそれでも若干資金繰りは厳しかった。

何も考えず35年ローンを組めばなんとかなったとは思う。

しかし、それはどうしても不安だし現実的に厳しかった。35年間安定的な収入がある保証はどこにもないという不安もあるが、僕自身にうつ病歴があるため、住宅ローン契約は厳しくなることが既に分かっていた。

なので、ローン審査に通る可能性を上げるには借入金と借入期間を減らすしかないと思っていた。

とはいえ、現実は厳しい。いくら考えたところで無い袖は振れない。結果、ウルトラCを使う事になった。簡単に言えば親のすねをかじることだ。

住宅取得等資金贈与の非課税特例

「住宅取得等資金贈与の非課税特例」という制度がある。

平成24年度なら1,500万円、平成25年度なら1,300万円まで住宅取得資金として、親から贈与を受けた場合非課税になりますという、親のすねをかじり尽くすこの制度。

もちろん存在は知っていた。僕は一人っ子で、父親は5年程前に亡くし、現在は母親のみ。親がそれなりのお金を持っているのであれば、こういう制度を使いやすい条件は揃っていた。

ただ、気持ちは複雑だった。

2回の転職を経ているし、年収も決して高くはないが、大学を卒業してから一度のブランクも無く(うつ病による休職はあるが)、ちゃんと働いてきたという程度のプライドは僕にもある。

また、いい年して親の援助を受けなければ買えないようなものを買うこと自体、どうなんだという気持ちはもある。身の丈に合っていないのではないか、と。

それでも最終的に親を頼ることにしたのは、親が

生きて譲るのも、死んで譲るのも結果は同じ。
だったら、生きて譲って感謝される方がいい。

と言ってくれた事だ。ありがたい話だ。親の経済状態は様々。誰でもこんな方法が使えるわけじゃないし、ものすごく恵まれているんだなというのを分かった上で、資金援助をお願いすることにした。

住宅ローンの検討

資金面で親のバックアップを受ける事になったとは言え、それで全額払えるわけじゃない。
残った部分は当然住宅ローンになるのだが、この住宅ローン契約は僕の場合色々と制限がある。うつ病による通院歴があるという事実だ。

上記記事で保険契約をした時の話を取り上げたが、住宅ローン契約には団体信用生命保険(団信)への加入が必須のため、結局保険契約と同じ状態となる。ということは、基本団信に加入出来ないので住宅ローン契約も出来ないと言うことになる。

とれる手段は2つで、メリットデメリットは以下のように考えた。

  • 団信加入が必須でない、フラット35でローンを組む
  • 何とか頑張って、通常の住宅ローン契約できるところを探す
方法 メリット デメリット
フラット35
  • ローンはほぼ間違いなく組める
  • 長期固定金利で支払い額の変動がない
  • 団信がないため、万一のリスク大
  • 金利は高め
通常のローン
  • 団信がある
  • 固定、変動など選択肢の幅が広い
  • そもそも契約できる銀行が見つかる可能性が薄い

こういう状態なので、まずは無難に審査が通る可能性の高いフラット35で申し込みを行っておき、同時にローンが組める銀行を探すという作戦をとった。

で、結果として折衷案的なローン契約を行った。引受条件緩和型団体信用生命保険(通称:ワイド団信)に加入して、通常の住宅ローンを組むという形だ。

ちなみに、フラット35の審査はなんの問題もなく通った。

ワイド団信とは

ワイド団信とは、医療保険などで最近増えて来た「引受条件緩和型」と呼ばれる保険だ。簡単に言うと、一定の条件がある替わりに、保険の契約条件を落としますというもの。

医療保険だと保険料が高くなる、特定部位の保証は行わないなんて条件だが、ワイド団信の場合は金利が高くなる。僕が契約したのは三菱東京UFJ銀行だが、ここの場合は金利が0.3%上乗せされる。

この「0.3%」をどう捉えるかは非常に難しいところだ。

数字で見れば小さいが、通常住宅ローンの借入は数千万円を数十年に渡って返す。

完済までの支払いが数十万、下手すれば100万単位で変わる可能性も高い。それよりは、フラット35を団信無しでローンを組んで、ライフネット生命とかの定期生命保険で安く大きな保証を付ける(契約できるかどうかの問題はあるが)なんて作戦もありかなんて事も考えた。

それでも、団信に加入出来てローン契約の瞬間から僕に万一の事があった場合も、家族に借金は残らないという安心感はものすごく大きい。

最終的には三菱東京UFJ銀行でワイド団信による契約を進める方向とした。

といっても、それでも審査に通るかどうかはグレー。この審査を進めたのは今年の年明けからだが、

  • うつ病による投薬を2011年末まで受けていた
  • 通院は2012年5月まで

という状態で申告して、とりあえず審査に通った。これで自動的に銀行は三菱東京UFJに決まった。ちなみに、ワイド団信はどの銀行でもやっているわけではないので、ワイド団信で探す場合は選択肢は自然と絞られると思う。

固定金利か変動金利か

無事ローンが組める銀行も決まったので一安心と思いきや、今度は別の悩みが襲ってくる。

銀行でローンを組むため、住宅ローンの金利を固定か変動かで選択できるのだ。

この検討をしたのは融資実行直前の、今年2月〜3月にかけての話。1年前なら迷うこと無く変動を選択しただろうが、気になったのは言うまでもなくアベノミクス、、、

アベノミクスについてここで語るつもりはないが、肝はとにかく成長戦略。

なのでこれがはまれば、給料も上がるが、物価も上がり、金利も上がる。であれば、徐々に上がり始めたとは言えまだ低い状態で、固定金利契約をした方がいいだろうかと考えたり、いやいやそんなに変わるわけないしと変動にしようかとも考える。

正直ここはかなり悩んだ。
なのだが、最終的に「変動金利」を選択した。今は変動を選ぶ人がほとんどという話もあるし、この手の話に詳しい人に相談しても、全員に変動を勧められたことだった。

結局条件なのだ。前述の通り親からの資金援助と限界ギリギリまで手持ち資金から頭金を投入する事で、借入金額と期間はかなり圧縮した。この条件であれば、将来的に金利が上がって現在の固定金利を超えたとしても、合計支払い額は変動の方が少ないだろうという話だった。

ちなみに、検討対象となった金利はざっくり言うと、

  • 固定金利:年率2.3%(当初10年のみ)
  • 変動金利:年率1.6%(半年ごとに見直し)
    ※保証料とワイド団信による金利上乗せ込

という感じ。この手の話は情報戦だし、未来の予測だけに絶対というのはないと思っているが、この選択が正しかったのか誤りだったのかはローンを完済する頃に分かるでしょう、、、。資金面はとりあえずこれで解決したが、ローンを組む事で自然と必須条件になるものがある。

火災保険の契約だ。