高度成長時代で給料は右肩上がり、終身雇用で長期ローンも安心だった20世紀ならともかく、今の時代に35年ローンの住宅購入なんて頭がオカシイとすら思っていた僕が、購入に至るまでの顛末を記録として公開している連載記事の第4回です。
当初マンションを検討したが、金額などがネックで断念。マイホーム計画は中止になりかけていたものの、倉敷市の競売で実家近くの狭い土地を購入できてしまい、さてどうしようと考えた。
資金も心もとなくなったので、2、3年置いておくとい手もあったのだが、いくつかの偶然が重なりさらに前進することに、、、
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30坪ほどの土地にどんな家が建つのか?
競売で獲得した土地は30坪弱。
岡山基準だと中途半端な広さだが、東京などの都会基準で考えたら十分広い土地で(昨年目白に戸建てを建てた友人がいるが、土地は15坪くらいだった)、それなりに立派な家が建つことはわかる。ただ、どうもイメージがつかめなかった。
土地購入が現金一括払いだったこともあり、残資金は少なく、出産もあるため落ち着くまで土地はそのままにしておこうというのが家族全員の統一見解だったが、実際の所どんな感じの家が建つのか聞くくらい聞いてみようと、顔見知りの大和ハウスの営業マンさんにお願いして土地を見てもらった。
なんで大和ハウスなのかといえば、今の実家は10年ほど前に大和ハウスで建てたからだ。
1週間程待って、イメージ図と金額が出てきた。
予想以上に立派というか普通の家だった。家の広さは1階と2階を合わせたら100平米を超えるので、一般的な広さ。
駐車場も1台分と駐輪場くらいは確保できていた。まあ、庭のスペースや駐車場2台分はさすがに無理だったが。それでも、十分だよなと思った。
問題はやはり価格だ。
ハウスメーカー大手の大和ハウスなので、まあ高い。概算だが2500万円くらいでしょうと。
ですよね~、といただいたファイルは閉じてその場で話は終了。これが2012年10月頭くらいの話だ。
大和ハウスから再び連絡
ただ、先方も仕事なので、見積もりまで作ってほっとくわけにも行かないのだろう。数週間後再び大和ハウスから連絡があった。
いい商品があるので、是非説明させてくれませんか
と。出てきたものは、いわゆる限定商品だった。
中四国限定で販売されていて、2013年3月末までに引渡しを完了するというのが最大の条件。
その他は、設備選択が一部限られていたりするものの、通常であれば追加料金となる設備が標準で組み込まれていたりするし、価格面でもかなり安く出来きるというものだった。
その標準設備の1つとして書いてあったのが「魔法びん浴槽」だ。これ見てちょっと目の色変わったと思う(これを知るきっかけは、第2回を参照)。
金額面でも一般的な価格として提示されたのは2200万円くらい。高いのは高いが、前回よりは安いし検討するのもありかもなぁと思った。消費税が2014年から上がるのは既に決まっていたし、土地を寝かせて置いたら不動産取得税や固定資産税を無駄に払い続ける事にもなる。
ただ、それでもハウスメーカーの家はやはり高い。地元の工務店ならもっと安くなるだろうと足を運んでみることにした。
工務店の住宅展示場へ
一戸建てを建てる人がおそらく一度は考えるであろう事は、大手ハウスメーカーで建てるか地元の工務店で建てるかだと思う。お互いメリット・デメリットは有るだろうが一番大きい部分は、価格と設計の柔軟性じゃないかと思う。
僕は、
【価格】
大手ハウスメーカー>工務店
【設計の柔軟性】
大手ハウスメーカー<工務店
というイメージがあった。ただ、我が家の場合こだわりのデザインで家を建てたいという願望はあまりなく、価格面が一番大きかった。
大手ハウスメーカーが2000万弱なら、工務店だと1500万~1800万くらいでいけるかどうか。そこが1つのポイントと考えて見に行った。
1つ目の工務店(普通の工務店)
基本的にまあ普通、という感じの家だった。
ただ、実家が大和ハウスなのでどうしてもその基準で見てしまい、気になるところはいくつかあった。
一番大きいのは窓ガラスだ。
大手ハウスメーカーはペアガラスがほぼ標準。
この断熱効果は実感としてもかなり大きい。普通のガラスだと冬場窓に近づくとめちゃくちゃ寒いが、ペアガラスだと比較的マシ。
一戸建てを買うなら最低でもペアガラスが必須と考えていたが、工務店はオプションだった。詳しい金額は聞いてないが全ての窓をペアガラスにしたら、10万円じゃ済まないと思う。
あと、これは若干うがった見方かもしれないが、全体的な質感(ドア・窓枠・フローリングなど)が低いと感じた。
それまでに見ていた住宅が、マンションというのもあるかもしれないが、はっきり言って「安いなりだね」と感じた。
価格は大体1700万くらいから行けますという事で、ほぼ想定通りといえるが、ここをスタートラインと考えた時にプラス要素がかなり多いと感じた。
2つ目の工務店(こだわり住宅の工務店)
2つ目の工務店は木に強いこだわりを持ったところ。
実際、家に入ると木の匂いがして「こういうのいいよね~」と心から思った。が、価格が高すぎた。
2000万円くらいからスタートになるため、大手ハウスメーカーとほとんど変わらない。それだったら、色々お世話にもなっているダイワで建てた方が長い目で見ればメリットが大きいと思い、ここは選択肢から外した。
工務店をやめて大手ハウスメーカーで建てた理由
時間もあまりないので、そんなにまわれなかったが工務店だからといって劇的に安いわけじゃないというのは感じた。
うちの場合は、大和ハウス(大手ハウスメーカー)と工務店の価格差は約500万円。
この差額を埋めるメリットがあるのかという部分を、色々考えて最終的には大和ハウスで家を建てることに決めた。ポイントは3つくらいある。
耐久性とメンテナンスコスト
一概にどっちが良い・悪いとはいえないが、ダイワと工務店を比較した場合に一番大きな違いは、「軽量鉄骨」か「木造」かという部分だ。
ダイワはもちろん鉄骨住宅の大手で、ここ数年は外張り断熱と高気密性よる省エネ性能や耐久性の高さを売りにした「xevo」というブランドを全面に出している。
窓ガラスは1階が3重構造の防犯ガラス。2階はペアガラスが標準だ。
まあどう考えても、安全で頑丈なのは「xevo」だと思う。
地震などの天災が少ない岡山であっても、東日本大震災という現実があった中で耐震性能というのはやはり気になる。
メンテナンスコストはダイワの営業マンの言われるがままだが、頻度などを考えたら長い目で見て「xevo」の方が圧倒的に優れていると感じた。
定期メンテナンスをすることで50年まで保証するというのは、工務店では少なくとも見たことがない。
また、この話は次回以降で紹介するが、「鉄骨」と「木造」という部分で大きな違いが生まれるのは火災保険だ。木造は倍ぐらい高いと思ったほうがいい。
太陽光発電導入コストの低さ
「晴れの国岡山」なんて言われるくらい、日照時間の長い岡山で、今戸建を建てるなら太陽光パネルは絶対つけるべきと考えていた。
で、素人知識として後付よりは最初からつけた方が安いと思っていた。
実際、それは事実だがそこまで違わないというのが工務店。
かなり安くなりますというのが大手ハウスメーカーだった。
何が違うのかと言えば、結局調達力なんだと思う。今や大手ハウスメーカーはほぼ標準搭載とも言っていいんだろう。「当然やりますよね?」くらいの勢いで聞いてくる。
当時のダイワは「太陽割」とかいうのをやっていて(今は「新太陽割」となってる)、1kW分のパネルはサービスだった。
結果として、我が家は太陽光パネルを搭載したが、3kW分載せて大体100万くらい。同じ分を乗せたら、工務店では150万ほどかかると言われた。
10年間は1kWhあたり42円で買取なので(2012年度の場合)、元をとろうなんて考えたらやめた方がいいと思ってる太陽光発電で、もしかしたら元が取れるのではないかと思えるような価格。
いざという時使えるという意味でも、太陽光発電を導入したいし、それなら大手ハウスメーカーの方がいいと感じた。
蓄電池とHEMS
上記2点などを加味して数十年の運用コストをトータルで見れば、ダイワと工務店の価格差は100万~200万くらいになっていたと思う。
で、最後の隠し球としてダイワの営業マンさんが持ってきたのがこれ。
蓄電池だ。
東日本大震災とその後の計画停電をきっかけに、「スマートハウス」というキーワードが話題になったことを覚えている人もいるかもしれないが、これは太陽光発電・蓄電池など家庭内のエネルギー利用状況を見える化して、ピークシフトや節電を促すシステム(HEMS)の総称と捉えたらいいんじゃないかと思う。
で、大和ハウスは「D-HEMS」という名前でこれを売っている。
災害時のリスク軽減という観点が強調されている面もあるが、実生活に置いては安い深夜電力で充電した電気を、昼間の電気代が高い時間帯に使用して、トータルで電気料金を安くするというメリットが一番大きい。試算上は10年間で20~30万円の電気代節約に繋がるという。
ただ、問題は導入コストがものすごく高いことだ。
補助金などを入れても、数十万円のお金がかかることがネックで100%元は取れない。なので、余程の物好きじゃなければ導入する人はいないと思うが(営業マンさんは今までで1人だけ売ったことがあるといっていた)、なんとこれを実質無料(補助金等であぶれた分をダイワが負担)にしますといいだした。
こういうもの、僕は大好きだ。また、エネルギー使用状況をモニタリングする端末がiPadで、これがもらえる事に反応したのは言うまでもないw
契約
そんな訳で、大和ハウスで家を建てることに決まった。契約したのは10月末くらい。
しかし、そこからが大変だった。まず、2013年3月末までに引渡しが条件となるため、逆算すれば着工が遅くても2013年1月。
間取りや設備等を12月中旬には、全て決めてしまう必要がある。嫁は12月から産前産後休暇に入り、里帰りすることが決まっていたので、実質的には11月一杯で決めなければならない。時間は約1ヶ月しか無い。
そして、もう一つ考えなければならない重大な問題は資金計画だ。
住宅ローンが前提とはなるが、色々問題が有る。そもそも頭金をどこまで用意できるかという話もあるが、住宅ローンとなると団体信用生命保険(団信)が絡むため、うつ病歴のある僕は厳しいことは目に見えていた。
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