こんにちは。ぽんイケ(@Pon_ike002)です。
新キャリア「楽天モバイル」の参入と5Gサービスがスタートし、「電波」に関する議論を、再び目にします。
2010年代前半の4G(LTE)普及期に、「プラチナバンド」という言葉を聞いたことはありませんか?
5Gにおいてはプラチナバンドの議論はあまり聞きませんが、それには理由があります。
そこでこの記事では、以下のような疑問に答えるために「auの電波」に絞って解説をします。
- 5Gってそもそも何がメリットなの?
- 電波って種類によって何が違うの?
- auの電波っていいの?
電波に関しては、概念や説明がややこしく、また普段使っている時、気にすることはほとんどないかもしれません。
僕たちユーザーが日頃気にすることとしては「繋がるかどうか」と「速いか遅いか」くらいでしょう。
5Gや電波に関する理解を深めるためのキーワードは周波数帯(バンド)です。
基礎概念を理解することで、5Gのメリットやデメリットも理解できるようになっていますので、ぜひ最後までお読みください。
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周波数帯(バンド)とは
スマホなどの通信における「バンド」とは「周波数帯」のことを指します。周波数帯とは、簡単に言い換えると「電波の通り道」です。
電波は周波数ごとに区分けされており、管理は総務省によって行われています。区分けがされていない状態は、例えるなら交通ルールや信号機がないに等しい状態です。
周波数帯では各用途に応じた区分けを設けることで、混信を防ぎ、限りある電波の効率的な使用を実現しています。
auの対応周波数帯(バンド)を解説
実は対応する周波数帯は、各キャリアによって異なります。これは「電波」という限られた資源を各キャリアで分け合っているからです。
日本の電波割当に関しては、総務省が行っています。ここからは、auが保有している周波数帯(バンド)について解説します。
大きく3種類です。
- 3G(au 3G/CDMA 1X WIN)
- 4G(au 4G LTE)
- 5G(au 5G)
3G(au 3G/CDMA 1X WIN)の対応バンド
auが保有する3G(au 3G/CDMA 1X WIN)の周波数帯は以下の通りです。
2022年3月31日で停波予定のため、後述する「4G(LTE)」と共用されています。
周波数帯 | バンド | 備考 |
---|---|---|
800MHz帯 | – | つながりやすい「プラチナバンド」 |
2.0GHz帯 | 1 | 他キャリアも保有する主要な周波数帯(LTEと共用) |
auが採用する3Gは、「CDMA2000 1x(CDMA2000 1xRTT、当初はCDMA2000)」という方式で、日本ではauのみが採用していました。
世界に目を向けると「W-CDMA方式」が主流となっており、auはいち早く3Gの停波を決定しました。
2018年あたりから、新発売するスマホは「3G非対応」となっており、たとえばiPhoneにおいてもauの「iPhone 8」以降は3G非対応です。
すでに「3Gピクト」を見かけることは少なくなっていますが、停波に向けた準備は着々と進んでいます。
4G(LTE)の対応バンド
auが保有する4G(LTE)の周波数帯(バンド)は以下の通りです。
周波数帯 | バンド | 備考 |
---|---|---|
700MHz帯 | 28 | 「18/26」と同じ「プラチナバンド」 |
800MHz帯 | 18/26 | つながりやすい「プラチナバンド」 |
1.5GHz帯 | 11 | 対応エリアは狭い |
1.7GHz帯 | 3 | 2019年に新たに追加された周波数帯 |
2.0GHz帯 | 1 | 他キャリアも保有する主要な周波数帯 |
3.5GHz帯 | 42 | キャリアアグリゲーションに使用 |
auの4G(LTE)の中で特に重要なのは「2.0GHz」と「800GHz」です。
800GHzは「プラチナバンド」といわれるつながりやすさが特徴の周波数帯で、auのつながりやすさを支える大切な周波数帯となっています。
5Gの対応バンド
auが保有する5Gの周波数帯(バンド)は以下の通りです。
周波数帯 | バンド | 備考 |
---|---|---|
3.7GHz帯 | n77 | 4.0GHz〜4.1GHz |
n78 | 3.7GHz〜3.8GHz | |
2.8GHz帯 | n257 | ミリ波と呼ばれる帯域。まだ基地局自体がかなり少ない |
「n78」のバンドは「n77」に含まれます。
auは5Gの周波数帯の割当で「n77」と「n78」を獲得しました。実は世界的に整備されているのは「n78」なので、auはその点でやや有利です。
ちなみに、ミリ波の「n257」はかなりレアな電波で、2024年12月現在でも提供されているのはごく一部の地域になっています。
auのプラチナバンドは「800MHz帯(バンド18/26)」と「700GHz帯(バンド28)」
電波のことにあまり詳しくなくても、「プラチナバンド」という言葉を聞いたことはあるかと思います。
最近では「楽天モバイル」が認可を訴えていますが、エリアの広さ・繋がりやすさを実現するためには必須といえる帯域です。
「プラチナバンド」とは700MHzから900MHzの周波数帯のことです。「プラチナ」と呼ばれている理由は以下の理由からと言われています。
- 電波の特性上、障害物に強い
- スマホなどの小型機器へのアンテナ実装が比較的容易
- 周波数帯の空きが既に少なく、希少である
とくに重要なのは「障害物に強い」という点です。この点はスマホの通信において「電波のつながりやすさ」に直結するため、携帯各社にとっては非常に価値の高い帯域となっています。
かつてSoftBankがプラチナバンドの必要性を強く訴えて獲得。一気に電波状況が改善したことを覚えている方もいるでしょう。
auでは以下の2つのプラチナバンドを保有しています。
- 800MHz帯(バンド18/26)
- 700MHz帯(バンド28)
ちなみにauは、2014年3月14日にプラチナバンドである800MHz帯の4G LTEの実人口カバー率が99%に達したことを発表しています。
早くからプラチナバンドを活かしたエリア展開によって「繋がりやすさ」を実現していたのは大きなアドバンテージです。
auの5G電波は3種類
- 高速・大容量
- 低遅延
- 多数同時接続
これらの特徴を持ち、大きく注目されている5Gですが、実は5Gと一口に言ってもいくつかの電波の種類があります。
そこでここからは、auが取り扱っている5Gに関して詳しく紹介します。
NR化
auでは「NR化」周波数を使用しています。これは4G LTEの周波数で、既存の基地局にNR規格を適用して、5Gへと転用する仕組みです。
ただ、この方式に関しては一部から「実際の速度は4Gとほぼ変わらない」との指摘もあります。
実際、docomoはauとSoftbankが行っている「4G周波数帯の5Gへの転用」について「優良誤認につながる恐れがある」とコメントしています。
この点に関しては、docomoの指摘はごもっともだなと感じています。世間一般のイメージは、おそらく「5G=超高速」かと思うので、表示だけ切り替わってるのはちょっと違う気がします……。
Sub6
Sub6は「3.6GHz〜6GHz」の周波数帯です。
日本国内の5G対応スマホの多くは「Sub6」が主流となっています。後述する「ミリ波」と比べた時のSub6のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 基地局などの実装技術の難易度が低い
- ミリ波よりも通信可能範囲が広い
- ミリ波よりも障害物の影響を受けにくい
- ミリ波よりも通信速度が遅い
- ミリ波よりも同時接続数が少ない
「Sub6」の利点は、これまでの4Gで培った技術を活かせる点です。そのため、技術的な難易度も低く、普及は比較的簡単と言われています。
実際2024年12月現在でも、国内に普及している5Gのほとんどは「Sub6」の基地局です。
また、auが獲得しているSub6のバンドが「n77」「n78」となっています。世界的には「n78」が整備されているため、スマホメーカー各社も「n78」のバンドへの対応は欠かさないでしょう。
ミリ波
ミリ波とは一般的には「30GHz〜300GHz」の周波数帯を指します。従来は衛星通信やレーダーに使われてきた周波数帯です。
元々はスマホなどの通信に使われていない周波数帯でしたが、その分帯域の空きがあり、大容量・高速通信が可能なことから、5Gで利用されることになりました。
5Gでは「26GHz〜」の周波数帯をまとめて「ミリ波」と呼んでいます。
ミリ波のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 超高速
- 低遅延
- 多数同時接続
- 電波の届く範囲が狭い
- 直進性が強く、障害物に弱い
- 雨や水蒸気に弱い
5Gでよく言われるメリットの多くは、実は「ミリ波」の特徴を指したものがほとんどです。
しかし、ミリ波の性質上の問題もあり、ミリ波のみで5Gエリアを構築するのは非現実的でしょう。
4Gの技術を転用できる「Sub6」とは違い「ミリ波」は技術的にまだ問題が山積みとなっているようです。
現在日本では、以下のような限られた場所にのみミリ波の基地局が設置されています。
- スタジアム
- 見通しのいい広場
「障害物がなく、限られた範囲の中で多くの人が利用する」という限定的な状況下であれば、ミリ波はかなり便利な周波数帯といえます。
また、ミリ波の基地局自体がそもそも少ないこともあり、対応するスマホもまだ少ないのが現状です。
2021年4月現在、auでミリ波に対応しているスマホは以下の通りです。
- iPhone 12シリーズの日本国内版はミリ波非対応(米国版はミリ波対応)
- 「Speed Wi-Fi 5G X01」はauオンラインショップ取り扱いなし
5Gの真の恩恵を受けるには「ミリ波」の普及が不可欠です。
しかし、普及されるようになるまでは、しばらく時間がかかると予想されています。
auの5Gエリアの今後の展望
auの発表によると、2022年の3月までに全国に約5万局の5G基地局を設置するとのことです。
これにより、5G電波で人口カバー率90%を実現させる予定です。
auの5Gエリアの現状
では、2024年12月現在の5Gエリアを見てみましょう。下画像は僕が住む岡山県倉敷市の5Gエリアの様子です。
画像のピンク部分は「NR化(春以降予定)」のエリアです。
駅周辺と、そこから少し離れた部分が「NR化(春以降予定)」のエリアになっています。残念ながら「Sub6」や「ミリ波」エリアは見つからず。
次に岡山市を見てみましょう。
赤色が「Sub6」エリア、薄い緑は「ミリ波(春以降予定)」となっています。
岡山市では「NR化」だけでなく「Sub6」のエリアも確認できました。さらに、わずかではありますが「ミリ波(春以降予定)」エリアも確認!
ちなみに東京の新宿は以下のようになっています。
緑は「ミリ波」エリアです。
「Sub6」のエリアだけでなく「ミリ波」のエリアも充実していますね。さすが東京です。
ですが、東京であっても5Gエリアはまだ完璧にカバーされていません。
地方の5Gが整備されるにはまだまだ時間がかかるかもしれませんね。
さいごに
今回はかなり分かりにくい「電波」をテーマとした解説記事でした。
3Gから4G LTEに変わった時は、体感速度が大幅に向上して、かなり衝撃を受けたのを今でも覚えています。
3G環境下だと、Google Mapsもまともに開けなかったので、今は本当にいい時代になりました(笑)
5Gでの通信が当たり前になれば、それを前提とした新しいサービスが増えてくるでしょう。
それがいったい何年後になるかは分かりませんが、ワクワクする未来を気長に待つことにします。
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