2013年4月に実家の斜め向かいというロケーションに家を建てて、引っ越してから悩んでいたことがあった。
お互いの家で契約している光回線が無駄過ぎる
とはいえお互いの家で光回線を契約している目的は大きく違う。
- 実家は固定電話の運用価格を下げるのが目的
- 我が家はネット
実家は光を解約するという手はあるものの、固定電話だけ契約しても月に2,000円程度はかかるため、理想は光回線+光電話を1回線で賄うことを目指したい。
ただ、この悩みはわりと根が深く、従来はネット回線と固定電話両方をなんとかしなければいけなかったが、最近の高速モバイル通信(LTE)がそれを不要にしてしまった。実家でのインターネットは、モバイルデータ通信が可能なiPhone・iPadを使えば事足りるようになったのだ。
そうなると、
- 光回線+光電話を我が家に導入
- 実家はコードレス電話で「固定電話」だけ使えるようにする
というのが実現すればよいわけだ。
とはいえ言うのは簡単だが、我が家と実家は斜め向かいだが道路を挟んで30メートルくらい離れているため、普通ではコードレス電話の電波は届かない。
じゃあ、どうするか「電波を延長すればよい」と言う事になるが、その方法が見つかったの非常にニッチな話題ではあるが紹介しようと思う。
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
コードレス電話の電波を延ばす為に必要な機材と知ったきっかけ
今回試した方法は、僕が思いついたのではなく、NTT西日本にお勤めの電波のプロともいえる方に教えていただいた。
電波を延ばしたいと言う需要は一般家庭では少ないが、
- 事業所
- 大きな家に住む富裕層
などではよくある話で、その為の機材は実は存在する。現在はコードレス電話より、無線LAN(Wi-Fi)用としての需要が多いそうだが、基本的な考え方は同じ。その方法は、
中継機を利用して電波を延長する
というものだ。コードレス電話に絞った話をすると、
- DECT準拠方式(1.9GHz帯)のコードレス電話を使う
- 光電話がある家から、もう一つの家まで電波を飛ばす
- 本体と子機だけで届かないなら、間に中継機を挟んで電波を延長する
というものだ。
DECT準拠方式(1.9GHz帯)コードレス電話とは
2010年代に入り、一般家庭にインターネット用の無線LAN(2.4GHz帯)が増えてきて、無線LANとコードレス電話の電波の混線が問題になってきた。
その問題に対応するために、生まれた規格がDECT準拠方式。
DECT準拠方式は、2011年3月に策定された新しいデジタルコードレス電話機の標準規格で、従来のコードレス電話機が使用していた2.4GHzではなく、1.9GHz帯を採用する事が最大の特徴だ。
標準規格であるため、2011年以降に日本国内の代表的な電話機メーカー(Panasonic・シャープ・パイオニア辺り)が販売するコードレス電話機は、基本的にこの規格に対応している。が主流だ。
DECT準拠方式のメリットは主に3点ある。
- 無線LANなどたの周波数との混線がなく、音質が安定している(=高音質)
- 電波がより遠くに届く(=通話可能エリアが広い)
- データ転送が高速化し、ドアホンの画像転送などが容易に
- 中継アンテナを利用し、送受信エリアを拡張できる
と言ったことになる。
基本的にデメリットはないのだが、従来品(2.4GHz帯)のコードレス電話機やドアホンとは互換性がないということが最大の欠点と言える。
特に大きな特徴は、中継機と呼ばれる機器を用意しているメーカーがあり、それ使う事でエリアを拡張することが出来ること。これが今回僕が試したいことになる。
DECT準拠方式はどこまで届くのか試したい
中継機を利用して拡張できるのはよいが、それでも限度はある。
我が家と実家の距離は、5m程度幅のある道路を挟んで、30m程離れている。障害物らしいものはないので、何もしなくても届くかもしれないし、中継機を使えば届くかもしれない。そもそも無理かもしれない。
試してみないと分からないというのが悩みだった。ダメだったら無駄な投資になるので。
そんな事を前述の方に話していたら、
会社にある検証機が借りられるかもしれないので、聞いてみます!
と言っていただき、なんと試用させてもらえる事になった。
というわけで、今回はNTT西日本様のご協力をいただき、(僕の中で)壮大な実験をした。
DECT準拠方式での電波延長実験に試用した機材
これらの機材がNTT西日本様より我が家に届いた。
- でんえもん722PDw
- 中継アンテナⅡ
NTT製の電話機だが、実際には中継アンテナ含めて、Panasonic製電話機のOEMなんだそうだ。この為Panasonic製品と基本的には同じものとなる。
例えば、中継アンテナⅡは、Panasonicが販売する「中継アンテナKX-FKD2 または KX-FKD3」と同じもの。
※KX-FKD3はKX-FKD2の後継モデルだが、型番違いで同じもの
DECT準拠方式の電波はどの程度届くのか
というわけで、実験開始だ。
参考までに我が家と実家の位置関係は上図のような感じ。
道を挟んで斜め向かい側にあり、直線距離にしたら20mくらいだろうか。道を挟んでいるので間に障害物は無いが、道を挟むだけに有線というのがどうしても出来ない。
これが無線を採用したい理由となる。
ちなみに、無線LANは既に導入済みだが、自宅から外にでた程度なら電波は届くが、少し離れると圏外になる。つまり、実家まで無線LANの電波(2.4GHz
5GHz)は届かない。
実験1:本体と子機だけで繋がるか
まずは順当に、本体と子機だけで接続。
現状光電話は実家でしか契約していないため、親機が実家、子機が我が家という構成になる。
この使い方だと、実家から我が家の玄関(屋外)までは電波が届いた。が、家に入ると圏外に、、、
確かに、電波はかなり届くようだが、やはり壁を越えるのは厳しいようだ。
実験2:中継アンテナを経由すれば繋がるか
次に中継アンテナを使用する。
親機で中継アンテナ2台の設定をして(説明書を見ればわりと簡単にできる)、
- 1台目を実家の2階窓際に設置
- もう1台を我が家の2階窓際に設置
という構成にしてみた。
そうすると、何と言うことでしょう、繋がるじゃありませんか!
我が家の中でもどこでも話ができてビックリ!
と言うことは、逆のパターンでもほぼいけるということになる。これで2つの家をまたがって、固定電話が利用可能になった。
この事は子機間通話も可能と言うことを意味する。
今や携帯電話(スマホ)で事足りるので、子機間通話を使う事は極めて少ないが、これが使えるのは大きい。
終わりに
というわけで、わりと悩んでいた光回線問題について解決の糸口が見えてきた。
実家の光回線(auひかり)の2年契約満了の合わせて解約し、我が家で新たに光電話を契約。
DECT準拠方式のコードレス電話と中継機を使い、実家に電波を飛ばせば親は今まで通り固定電話が使えるというわけだ。
この環境を構築するために必要な機材と費用をまとめると以下のようになる。
※僕が購入した2014年4月時点の機材と価格です
機材名 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
Panasonic「VE-GD53DW」 | 20,000円 | 子機2台付きコードレス電話機 |
中継アンテナ「KX-FKD2」 | 19,200円 | 1台9,600円で2台必要 |
イニシャルコストとして約40,000円かかる事になるが、光回線を1年契約したら、年間約60,000円。1
年で元を取れる計算になるので、このメリットは計り知れない。
コードレス電話の混線やエリアが狭くて不便
と感じている方は、DECT準拠方式のコードレス電話に買い替えるとかなり快適になると思います。
僕が導入した際の機材は販売終了となっていますが、後継モデルで全く同じ事ができます!
おすすめの関連記事
後日、実際にDECT準拠方式のコードレス電話と中継機を購入した際のレポート記事です。設置方法などを解説しています。