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都議会のセクハラ野次事件を通じて、男社会の議会というものを考える

ここ数日ニュースを盛り上げている、東京都議会におけるセクハラ野次問題。
この話を知ったのは発生した日の深夜に、Yahoo!トップにニュースが掲載されている事だった。クタクタに疲れて深夜に帰宅しているのだから、普段だったらあまり気にしないであろうニュースだが、「都議会」・「女性議員」というキーワードに嫌な予感がして反応した。

何故かと言えば、今回セクハラ野次を受けて問題の渦中にいる、塩村文夏(あやか)都議は僕のリアルな知り合いだからだ。さすがに驚きましたよね。知り合いがメディアを賑わせているなんて。

しかし、内容を見聞きしてみると本当に酷い話である。「塩村さん知り合いだし」って話は置いといても、政治に対して常々感じていた疑問の1つがピックアップされて、この話がどう決着するかは非常に関心深い。

それは、議会における野次だ。

この記事の掲載内容は、2020年12月26日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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議会や委員会で頻繁に飛び交う野次

ごく稀に国会中継を見たり、テレビで報道される議会を見て、特に社会人になってから常々疑問を感じていたことがある。

民間企業で言う会議に当たる、議会や委員会の中で、何故議題に関係の無い発言を勝手にしているのか?

一般的な社会人の感覚からしたら考えられないですよね。というか、学生でも知っているし実践できている話。言いたい事があるなら、しかるべき手続きをして発言をすればいい。

「はやく結婚したほうがいいんじゃないか」とか「子供は産めないのか」なんて発言は、決して許されるものではないが、それでも言いたいのであれば、本人に対して堂々と言えばいいと思う。住民の代表である議員が、何故コソコソとこんな発言をするのかが理解できない。

ただ、「議会」という場がどういうところかを考えたら、なんとなく理由も見えてくる。

議会って会議と言うより株主総会みたいなイメージ

「議会」って議員同士が意見をぶつける、議論をする場と思っている人っていないだろうか。ちょっと前まで僕はそう思っていたが、実際は少し違う。

例えば今回塩村さんが一般質問という形で、議会で質問をしていたが、この質問内容と回答は事前に調整済み。議員は数日前に質問内容を提出し、それを受けて関係者(国会ならいわゆる官僚)が回答を作成し、それを確認した上で議会に臨んでいる。

なので、議会に立つまでの調整こそが、議員の腕の見せ所と言える。議会ではその内容を発表しているに過ぎず、全てがそうだとは言わないが、大半は予定調和と思った方がいい。

まあこれ自体は悪いとは思わない。行政の細かい状況や方針を、アドリブで答えるなんてできるわけがないからだ。ただ、議会が議論する場ではなく、民間企業で言う株主総会のように発表と決裁の場と考えたら、別の一面も見えてくる。

知ってる人はこれから話す内容のほとんどを知っているため、興味がない。敢えて言うなら、応援したり邪魔したりするくらいしかする事がない。これが議会において「野次」が飛び交う理由の1つなのかなと思う。

だって、ペーパー読むだけとかプロジェクタに映し出したパワポの資料を読むだけの会議やセミナーって、面白くないし眠くなりますよね。

【2014/4/21 補足】

現職議員の方に教えていただきました。
上記に書いたパターンもあるけど、全てではないという話でした。議会における質問は大別すると下記3パターン。

  1. 全て理事者(議会で説明者として出席する行政を執行している人達)のシナリオ
  2. 質問と回答を事前に調整しているパターン
  3. 通告書(質問内容の通知)のみの一問一答パターン

1つ目が予定調和の最たるものかと思うが、特に地方議会においては3つ目のパターンもかなり多いらしく、これが一般的な会議のイメージに近い、その場で勝負するガチンコバージョン。そういう議員さんにとって、議会は発表の場ではなく戦いの場だとの事。

で、これは何によって決まるのかと言えば、議会(市会、県会、国会)による部分もあるが、一番大きいのは議員のスキルや意識でしょうという話であった

女性と子供が軽視される男社会の議会

だからといって、「野次」を飛ばしていいという話にはならない。そんなことするくらいなら、黙って寝とけと思う。

ましてや「はやく結婚したほうがいいんじゃないか」とか「子供は産めないのか」なんて発言は言語道断だし、野次を飛ばした議員も選挙の時には「働く女性をサポート」とか「子育て支援」なんて事をきっと言っていたはずなので、情けない話だ。

結婚や子育てって、やってみないと分からない事が沢山ある。正直きれい事だけじゃすまない事の方が多い。独身だったらどんなに楽だろうと思う事は、1度や2度ではないはずだ。

子供に関しても生まれたら生まれたで大変だが、妊娠しないのも大変。うちは結婚して約2年後に妻の妊娠が分かったわけだが、「結婚したら、普通子供作るでしょ」って思ってる人は少なくない。

  • そもそもできない
  • 子供は作らないという方針
  • 金銭的に無理
  • 仕事など優先順位の問題で無理

事情は様々だがそんなの関係無しで、「まだできないの?」と言われることは実に多い。これって、結構つらいんですよね。

そして、こういう時一番つらいのって男性ではなく女性だ。
今も昔も子供ができないのは、女性のせいって風潮は間違いなくある。子供ができて、嫁が子育て支援センターとかに行くようになり、そこで知り合ったママ友さんから聞いた話だと、つらい不妊治療をやってようやく子供ができたって人は実に多い。地方都市倉敷ですらそうだ。晩婚化がより進んでいる、東京など大都会だともっと多いだろう。

今回の野次は、事情は何も知らないのに表面的な部分だけ捉えて、「結婚せず、子供も産んでないくせに」って意識があるからこそ出たものだと思う。だからこそ許せないし、うやむやにして欲しくないなぁと思う。

終わりに

塩村さんは芸能人という華やかに見える経歴を持つ故に、色々言われるし、今回の野次も違う女性議員だったら言われなかったのかもしれない。しかし、これはもう仕方の無いことで、過去のテレビ番組における発言が消えることはない。批判は批判で受け止めた上で、自らの政策を実現していって欲しいと思う。

さらに言えば、20~30代で未婚・子供なしという女性議員が全国的に少ないものまた事実で、それがこういうデリカシーのない発言に繋がったのかなとも思う。政治という世界は、圧倒的に男社会なのだ。

しかし、考えてみれば当たり前の話で、この年代の女性が公人として活動するというのは、仕事以外の部分でも危険に晒されるわけで(ストーカーとか)、相当強い意志があっても「怖い」という気持ちが先に出てしまう人の方が多いと思う。

「美人過ぎる~」みたいに目立ってしまえば、マスコミだけでなく一般人からも追い回される事になる。アイドルは事務所がある程度管理し守ってくれるが、ただの議員にそういうものはない(多少は警察が守ってくれるだろうが)。

まあ今回の件は本人としても絶対引き下がる気はないようだし(塩村さんらしいなぁと思うw)、個人的にも許せない発言なので、議会ではうやむやにされても、徹底的に追求して欲しいと思う。そして、今回はどちらかと言えばネットが起点になって話題になっているニュースだが(同僚のおときた駿都議のブログがきっかけとか)、これを大手マスコミがどこまで本気で追求するのか。

そんな辺りも含めて、どう決着するのかとても気になる。