Macを使っている人で「Time Machine」というバックアップ機能を使っている人はどれくらいいるんだろうか。
これ、すごく便利な機能なのだが、基本的にUSB-HDDで使う事が前提となっているため、特にMacBookでは使いづらく利用していない人もいるだろう。
僕もそのタイプだったのだが、今はサードパーティーが販売するネットワークHDD(NAS)でも利用可能なので、試してみたのだがこれがものすごく不安定で使いものにならなかった。
Time MachineのバックアップをNAS化して、ワイヤレスバックアップというのは1つの夢でもあったわけだが、結果的には挫折となったのでその経過を紹介しようと思う。
目次
Time Machineってどんな機能?

2007年にリリースされたMac OS X v10.5 Leopardから搭載された、Mac(macOS)標準のバックアップ機能『Time Machine』。
バックアップの実行は1時間毎に実行され、以下のデータがバックアップとして保持される。
- 1時間ごとにバックアップ。24時間経ったものは1日ごとのバックアップにまとめられる
- 1日ごとのバックアップ。1ヶ月が経ったものは1週間ごとのバックアップにまとめられる
- 1週間ごとのバックアップ。ハードディスクの容量がある限り削除されない
起動タイミングがわりと頻繁なので、バックアップの信頼性としては高いのだが、
頻繁に起動するバックアップでMacが重くなり、仕事の邪魔になる
という現実もある。
また、USBハードディスクでの利用が基本的には前提となるため、iMacなどのデスクトップPCでは使いやすいが、ノートパソコンであるMacBookシリーズとの相性は悪い。
しかし、この機能は特に買い替えなどに伴い新しいMacをセットアップするときに威力を発揮する。Time Machineから復元すれば個別にデータをコピーする必要もなく、今まで使っていた環境が簡単に復活する。
とりあえず待っておけば全く同じ環境が復元するというのはものすごく便利なのだ。iOSではこの復元機能が優秀な事をユーザーはよく知ってると思うが、技術的なベースはおそらくこのTime Machineだろう。
Time Machineのバックアップ先は3種類
Time Machineのバックアップは前述の通り基本的にはUSB-HDDが前提となるのだが、一応3方式ある。
- USBハードディスク
- Time Machineをサポートしたサードパーティーのネットワークハードディスク
- AirMac Time Capsule
3つ目のAirMac Time Capsuleは、Apple純正のWi-Fiルーター兼NASといえる製品なのだが、価格が少々高い(2TBで29,800円)というのがデメリット。
普通のNASは2万円程度でも手に入るし、RAIDなどの冗長化にも対応しており、バックアップ先としての信頼性は高い。
かつてはNASをTime Machineのバックアップ先に使えるのはTime Capsuleだけだったが、近年のNASはほとんどの機種が対応している。僕が2012年12月に購入したI-O DATAの「HDL2-Aシリーズ」ももちろん対応している。
※2017年現在は後継モデル『HDL2-AAシリーズ』となっている
Apple純正の相性は魅力的だが、NASとしての性能や信頼性の高さから、僕はサードパーティー製NASの方がよいと判断した。
つまり、上記2番の方法を試すことにした。
バックアップの基本は自動化。いかにユーザーが意識せず、楽できるかが一番重要だと思う。手動だとどうしても漏れるし、忘れるし、いざって時に案外役に立たない。自動でやってくれる仕組みを作っておけばこれほど便利なものはない。
HDL2-AシリーズでのTime Machine設定
HDL2-AシリーズではNAS上に予めいくつかのディレクトリが作られているが、Time Machine用に別途作っておいた方がいいと思うので、それを含めた簡単な手順を紹介。
「Magical Finder」からNASの管理画面にアクセス。
「共有」メニューから新しいディレクトリを作成。
「Time Machine」としたかったが半角スペースが入力できないので、「TimeMachine」で。
ユーザー設定などのアクセス制限は任意で。今回は自宅用なのでゲストアカウントでもアクセス可能とした(要するに認証なしでアクセス出来るディレクトリ)。
「サービス」メニューの「Time Machine設定」にアクセスし、Time Machine機能を有効化し、先ほど作成したディレクトリをバックアップ先に指定する。
NAS側の設定はこれで終わり。
Mac側のTime Machine設定
続いてMac側の設定を行う。
環境設定のTime Machineを開いて、Time Machineを「入」にする。
続いて、ディスクを選択ボタンを押下する。
すると先ほどNAS側で追加したディレクトリがバックアップ先として表示されるので選択。
後はしばらく待っていればバックアップが始まる。
で、問題はこのバックアップにかかる時間。
とにかく遅い
初回は全ファイルをバックアップするためかなり時間がかかる。この時Macは150GB程のデータが入っていたのだが、それを丸ごとバックアップするので時間がかかるのは納得だが、一晩でも終わらなかった。
以降は、差分のためそれほど時間はかからないが、スピードが遅いと言うことは非常に気になった。
ちなみに、2010年頃購入したNASの場合、24時間経っても終わらずあげくネットワークが切断されてしまうとかボロボロで使い物にならなかった。
NASにTime Machineを設定する場合、
- ネットワークを高速化し転送スピードを上げる
- NASそのものも高速化を売りにした製品を購入する
というのは重要だと思う。
Wi-Fi経由でワイヤレスバックアップする時の注意点
また、スピード以外にも注意点がある。
NASから切断されてしまうとバックアップが動かない
ということだ。
MacはNASをネットワークディスクとしてマウントしている。
当たり前だがネットワークが切断されたらNASからも切断される。これが頻繁に発生するのが、スリープに落ちたときのようなのだ。
具体的には、スリープ中はNASから切断しているようで、スリープからの復帰時は再接続しようとする。
しかし、それが上手く行かないことがよくある。特にWi-Fi接続の場合はそれが多い。結果、Time Machineがバックアップ先が見つからないと警告してくる。
これには困った。
一応対応策としては、スリープからの復帰時にNASに自動再接続するような設定を行う事だ。
色々調べてみたがとりあえず以下の方法で多少解消した。
※環境はMacBook Air mid2011+OS X Lion
やり方は実に簡単で、Finder上でNASが表示されている状態で、システム環境設定→ユーザーとグループと進む。
ログイン項目の+ボタンを押して、
Finder上からNASのTime Machineディレクトリを選択。
これだけだ。
ただ、この方法でも100%の解決にはならない。
例えば、Macを外出先に持っていって、家に帰った時の再接続なんてかなり怪しく、結果として、
バックアップしていると思ったらやってなかった
という状況に陥った。そして悲劇が起こった。
勝手にやってくれていると思ったバックアップが動いていなかった時の衝撃。これはものすごいものだった。
ちゃんと確認しないのが悪いという意見も当然あるが、自動が売りのTime Machineでそれを毎日確認するのもナンセンスだ。
というわけで、
確かに便利だが、安定感が低く信頼できないので、利用を中止
という結論に至った。
終わりに
結果としてNASを利用したワイヤレスTime Machineバックアップは断念した。
その後、2014年1月にAirMac Time Capsuleを購入。以降、12インチMacBookを購入するなど環境は変化しているが、3年以上使い続けても安定してバックアップできている。
AirMac Time Capsule最大の魅力は、Wi-Fiルーター機能を内蔵しているためか、スリープ中でも確実にバックアップしてくれていること。
確かにNASとして見た場合、冗長化にも対応しておらず、価格も高いが、
ワイヤレスのTime Machineバックアップなら『AirMac Time Capsuleを使うのが正解』
ということを申し添えておこうと思う。
2007年以来のMacユーザーである管理人が、これまで書いて来たMac関連レビューを、Macカテゴリートップページでは整理して紹介しています。
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