docomo IDの戦略に見る、docomoとSoftBankのビジョンの違い

これまでのスマートフォン販売方法を大きく変えた「ツートップ」戦略、iPhoneの導入有無など、色んな意味でまだまだ注目を受けるdocomoの事業戦略。

その核となっているのは、docomo IDだと以前から言われていて、その第一弾はSPモードメールの次期版であるドコモメールになると思われていた。ところがこのドコモメールは昨年末のサービス開始予定が、今年後半まで延長。最近どう考えているかが若干見えなくなっていたが、神尾寿氏がdocomo社長の加藤薫氏にインタビューした記事から垣間見えてきた。

そこからは以前と戦略自体は変わっていないことが伺い知れるが、気になったのはその対象。アメリカのスプリント・ネクステルの買収が成功する見込みで、世界進出に邁進するSoftBankとの戦略の違いが鮮明になってきてると感じた。

docomo社長の加藤薫氏のインタビュー

docomo IDがターニングポイント:ドコモが取り組む「新しいキャリア」の姿とは?――NTTドコモ 加藤社長に聞く (1/3) – ITmedia Mobile
加藤薫 …

まずは上記記事をご覧いただくとして、今後「docomo ID」を核にして通信回線や携帯電話の販売と直接紐付けず、「課金・決済」の仕組みを提供するというのが大きなトピック。

docomoがここ数年掲げている「総合サービス企業」というビジョンは、ここに行きつこうとしてるということが段々分かってくる。これはdocomoに取って大きな変化だ。なにせ今のIDはWEB明細のeビリングとかを使うとよく分かるが、電話番号に紐付いている。今は一人が複数回線契約しているなんて珍しく無いので、それを「docomo ID」で一括りにする事で、既存ユーザーにもメリットはあると思う。

そのIDは恐らく「ドコモメール」となるんだろう。

docomo最後の砦。ドコモメールは起死回生の策になるか?

未だ地雷臭しかしないサービスではあるが、「docomo ID」をドコモメール限定とするのか、Gmailなど他のメアドでも可能とするのかも1つの注目ポイントかもしれない。

docomo IDの目指すもの

上記インタビューで以下のようなコメントがある。

日本の人口は1億2000万人いるわけですが、まずは国内で1億以上という規模を目指します。むろん、これはすぐに実現できるものではなく、段階を経る必要はあります。また、(docomo IDは)国内に限った話ではありません。アニメストアなどドコモのコンテンツサービスは欧州をはじめ海外展開を行っていきますが、それを通じて海外にもドコモの顧客基盤を広げていきます

まずは国内からという至極真っ当な戦略だとは思う。しかし、この地点で海外展開という部分において、SoftBankとは同じ通信会社でも、ビジョンが明確に違うのだなと感じた。

海外進出に失敗を繰り返したdocomoは、現在海外にこれと言った基盤は持っていない。海外展開と口で言うのは簡単だが、ここに至る道は果てしなく遠いと思われ、少なくとも加藤氏が在任中には無理だろう。要するに、現状は日本国内の事しか考えていない。

SoftBankはアメリカのスプリント・ネクステルの買収を皮切りに海外展開を加速するだろう。もちろん失敗というリスクはあるが、成功すればまずはアメリカに大きな基盤を築くことができる。そうなれば、SoftBank ID的なものの普及なんていとも簡単だ。開始した地点で国内も海外も関係ない。

国内に重きを置くのがダメで、海外展開がいい、とかいう話ではない。だが、通信事業という成長分野においても人口が減少し始めている日本では、近い将来頭打ちになるのは目に見えている。売上げや契約数においても国内に限ったデータで比較すること自体が、そのうち意味がなくなる。企業において重要なのは成長戦略なので、docomoは国内にそれを求め、SoftBankは海外に求めているということだ。

ただ、大きな違いはビジョンもあるがやはり意思決定のスピード感。

ドコモの社内にもiPhoneの導入賛成派と反対派がいて、状況は刻々と変化しています。

そんなのは当たり前だが、最後はトップが決断という事が出来ない故に、結局何も出来なくなる気がして仕方が無い。この結果が見えてくるのは、数年後だと思うが、仮にSoftBankが成功すれば大きな差になって表れるように思う。

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