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スマートメーターとは?設置手順・工事内容と使用するメリットを解説します

2016年4月1日に開始する、電力小売全面自由化(電力自由化)に合わせて、今後順次全世帯に導入されていくのがスマートメーターというもの。

この聞き慣れない言葉について、どういうものなのかを調べてみた。

この記事の掲載内容は、2021年6月16日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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スマートメーターとは

スマートメーターの画像
従来、地域の電力会社に雇われた検針員(人)が戸別訪問して、使用量を検針していたが、今後は電力の購入先は世帯によって変わるため、この仕組みは使えなくなる。

この解決策として、通信モジュールを内蔵し自動検針可能な電気メーター(=スマートメーター)の導入が、国策として進められている。

導入は順次進められているが、2020年代には全世帯にスマートメーターを導入するという目標があると言う。

そして、2016年4月1日以降新しい新電力から電気を購入する場合、スマートメーターの設置は必須となる。

スマートメーターを導入する方法は?

スマートメーターの導入は何もしなくても、そのうち切り替わる。だが、2016年現在は個別に申込みまたは新電力への切換えが必要なようだ。そして、一番気になるであろう設置工事は無料。お金はかからないので安心だ。

「または」と記載した理由は、地域の電力会社によって対応が異なっているから。例えば、静岡県に住む知人(中部電力管内)の場合、2015年9月以降申込をすればスマートメーターへの切替が可能となっているそうだ。

そんな話を聞いて、僕が住む岡山県倉敷市をエリアとする中国電力はどうなのかと調べてみると、情報がさっぱり無い。2016年1月以降導入を開始するという案内があるのみ。

というわけで、中国電力に問い合わせてみたところ以下のような回答だった。

現在設置している電気メーターが使用期限(通常は10年でメーターに記載されている)を迎えたタイミングで、順次切り替えを行っております。

この為個別での切替申込は受付けておらず、2016年4月以降中国電力以外の電力会社に切換える場合、新しい電力会社から依頼を受けて設置する形をとっております。

つまり、現在のメーターが使用期限を迎えるか、新電力(auでんきなど)に切換えない限り、スマートメーターには当分切り替らないようだ。これはちょっと残念な回答であった。

そんな感じで、スマートメーターへの対応は電力会社によって異なっている。
気になる方はお住まいの地域にある、電力会社に問い合わせておくことをお勧めする。工事を伴うため、申し込んだらすぐに設置されるというものでもない。

恐らくだが、2016年4月1日の開始後は混み合うため、問合せおよび切換え手続きをするなら、今のうちが良いと思う。

スマートメーターの設置工事ってどんなもの?

スマートメーターの設置工事は人がやってくる
以降は、前述の静岡県にお住まいの当ブログ読者さんより頂いた情報をもとに書いた記事となる。基本情報としては、

  • 静岡県静岡市在住(=中部電力管内)
  • マンション住まい
  • エネルギーは電気とガス
  • 家族構成は夫婦とペット

という構成のご家族で、2016年1月にスマートメーターへの切替工事を行った。申込の流れとしては以下のような感じだったそうだ。

  1. 営業時間帯にコールセンター経由からスマートメーターの申込。
  2. 担当エリア営業所へ転送され、そのままヒアリング実施(ヒアリング内容は後述)
  3. 現地調査(設置可能な通信方式など)
  4. 切替工事
  5. 電気使用量モニタリングサービス利用開始(切替工事実施日の翌日正午より)

申込から切替までにかかった日数は約10営業日
1〜3については3営業日程度だったが、4の実施までにそこから1週間程度かかった(工事立ち会いの関係で日程調整をしたため)。なのでスムーズに行けば最短5営業日程度だったようだ。

ヒアリング内容

工事には通信方式の決定などヒアリングが必要
申込後、中部電力から届いたヒアリングは以下のような内容。

  1. 建物がスマートメーターの検針用通信システムに対応しているか確認。(翌日、工事担当者より連絡あり)
  2. 工事可能なスケジュールを提示され、その場で現地調査のスケジュール確定。(金曜日に申し込み、翌週の月曜日に現地調査確定。これはたまたま工事担当者とのスケジュールが合ったため)
  3. スマートメーターは通信システムで電力量のチェックをする為、3つの通信方式の中からベストなモノを選択する旨の説明を聞く。

スマートメーターの通信方式について

この通信方式については、方式が違うのみでユーザー側での機能的な違いは無い。

1.特定小電力(920MHz)での通信

一番ポピュラーな方式。

主に市街地や住宅地密集地等への戸建て向け。スマートメーターに取り付けられた通信モジュールから電力会社の基地局へ電波にて通信し、インターネット経由では無く専用線で直接電力会社へデータが送られる。

なお、中部電力の2016年1月時点での電波カバー率は70%。3月末までに90%以上にすべく、基地局を増やす工事を急ピッチで進めているとの事)

2.PLC方式での通信

主にマンション等の集合住宅向け。

集合住宅の世帯ごとに通信モジュールを設置するのは非効率の為、スマートメーターよりPLCアダプタ経由でマンションの集合装置に設置したインターネット回線経由でデータの送信が行われる。

3.au 4G LTEのデータ通信

1と2が難しい郊外地区等で使用される。

ちなみに、プラチナLTE(800MHz帯Band 18)では無い模様。インターネット経由で通信が行われる。大きな欠点は、auへ通信モジュール使用料については残念ながら利用者負担であること。

通信方式の決定

現地調査の終了後、工事担当者から連絡があり(こちらの立ち会いは任意)、通信可能な方式の結果を聞き、工事方針と切り替え工事日を調整・確定した。この地点で、切替工事は翌週の月曜日と決定し、現地調査は完了となった。

ちなみに、こちらの家庭はマンション(=集合住宅)であるため、本来はPLC方式だが、マンション初のスマートメーター設置という事で、マンション内のPLCの通信設備の工事が間に合わない故に戸建て同様1(特定小電力(920MHz))を選択する事となった。

※念のため3(au 4G LTE)の方式も試してもらったが、鉄の配電盤カバーがある為に圏外だったそうだ

工事内容

そして気になる実際の工事内容だが、こんな感じだったそうだ。

工事担当者がチェック
実際に工事員がやってきて、既存の電気メーターをチェック。

スマートメーターに変更する
これをスマートメーターに変更。

スマートメーターの画像
実際のスマートメーターはこんなもののようだ。製造メーカーは富士電機の模様。ちなみに中国電力は三菱電機のようで、この辺りも地域によって異なるようだ。

ちなみに、スマートメーターの下側に乗っかってるものが、前述の通信モジュール(特定小電力)。

室内のブレーカー
あとは室内のブレーカーにも機器を設置。
工事時間としては1時間程度

ブレーカーを何の為に工事?と思う方もいると思う。僕もそうだった。

その理由だが、中部電力 工事担当者の方曰く、以下のような理由だそうだ。

スマートメーターになると通信経由にて様々な事(検針・容量変更・プラン変更・未納停止・電力会社変更等)が現場に行かなくても対応可能となる。

その為、40Aと表記のある一番根本のブレーカースイッチが不要となる(スマートメーター側で制御)。以前は取ったブレーカースイッチ間のケーブルを直接繋ぐために電力線の配線をやり直す必要があり、とても大変だった。

それを、ブレーカーの場所にスルーさせる為の結線BOXが付いた。

スマートメーターを設置するメリットは?

スマートメーターに切り替ったからと言って、電気代が安くなるわけでも、何かが便利になるわけでも無い。

ただ、スマートメーターは通信モジュールを内蔵し自動検針可能な電気メーター。つまり、30分間隔程度のリアルタイムに近い電力の使用状況を見える化することが可能。例えば、前述のご家庭だと、中部電力の無料サービス「カテエネ」で確認が可能となったようだ。

これこそが、スマートメーターを設置するメリットと言える。画面はこんな感じだ。

カテエネの電気使用量照会画面

従来電気の使用量・料金は各家庭に配られる明細を見て初めて把握する事が多かった。ところが、スマートメーターを設置することで、1日どころか時間帯毎の電力使用量を把握する事が出来る。

この事で例えば、

  • 不在時の消費電力をもとに、待機電力の大きい家電を探す
  • 時間帯毎の消費電力をもとに、無駄の多そうな時間帯を探す

なんて事が可能になる。これをメリットとみるかどうかは人それぞれだろうが、リアルタイムに近い電力の使用状況が把握できるため、逆に言えば対策結果もほぼリアルタイムに把握できる。

実際、こちらのご家庭もこの結果を見て待機電力が大きいねなんて話になり、少し対策したんだそうだ。

待機電力対策前
これが対策前。

待機電力対策後
これが対策後。
仕事で不在になっている時間帯の消費電力が0.1kWh程度減っていることが分かるだろうか。たかが0.1と思うかもしれないが、こういう対策をすぐに実施&確認出来る事が素晴らしいと思う。

電気代を無駄に沢山払い人なんていない。
出来る事なら節電して1円でも安くしたいだろうが、じゃあその為に全てのコンセントを抜きますかと問われたら、そこまでやりたくない人の方が多いはずだ。

つまり、その人(家庭)の最適ポイントのを探すためのトライアンドエラーを簡単に繰り返せる事が、今までにないメリットじゃないかと思う。

終わりに

スマートメーターによる電力の見えるかはあくまでも世帯単位で有り、家電単位ではない。
そして更にリアルタイム性を求めるならHEMS(Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム))のような仕組みも必要だとは思うが、お手軽に出来る電力の見える化という意味では最適じゃ無いかと思う。

スマートメーターが早く普及して欲しいなと思った。これで節電に取り組む家庭はきっと多いと思うので。我が家も早く導入したいが、何もしない場合恐らく2020年代前半までお預けになりそうだ。

なお、繰り返しになるが2016年4月1日以降、地域の電力会社以外の新電力から電力を購入する場合、スマートメーターへの切替は必須となる。切替手続き方法や、設置までにかかる日数はお住まいの電力会社に確認しておくことを強くお勧めする。