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わーすたのコンセプトと女子クリエイターとの出会い 〜iDOL Street樋口竜雄プロデューサーに聞きました vol.2〜

avexのアイドル専門レーベル『iDOL Street』の、樋口竜雄(ひぐちたつお)プロデューサーにわーすたの事を質問した、インタビュー記事第2弾です(全3本構成の予定)。

第1弾は、メジャーデビューなど2016年わーすたの活動を振り返る話が中心でしたが、

樋口Pインタビュー1

第2弾となる今回は、

  • わーすた結成前の裏話
  • わーすたツインボーカルの秘密
  • 松田美里『超絶☆メール』の秘密
  • 樋口Pと音楽プロデューサー『鈴木まなか』、コレオグラファー『高田あゆみ』との出会い
  • わーすたにおける樋口P(avexスタッフ)と女子クリエイターの役割分担

をお伝えします。

記事内で使用している画像は、所属事務所・レーベルから掲載および撮影許可を得ているものです。

この記事の掲載内容は、2021年1月2日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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わーすた結成前の裏話

わーすたはストリート生出身
わーすたはストリート生出身
iDOL Streetに関して僕はSUPER☆GiRLSを知ってましたが、他はほぼ知りませんでした。

なので、わーすたにハマってから、ストリート生という下部組織から昇格したメンバーであることを知りました。そこから付いてきているファンも非常に多いです。

  • アイストで一番熱いのはストリート生だから
  • わーすたにハマったんならスト生の曲知らなきゃダメだよ

っていう人もいて、実際CDをいただいたりもしました。それでストリート生の曲を初めて聴きましたが、これが凄くいい。

わーすたは今でも時々スト生の曲を歌いますが、後のわーすたメンバーがストリート生時代に樋口さんはどのように関わっていたのかを教えてください。

樋口
「スト生の曲っていいよね」

っていわれたりしますが、それは僕がファン目線でいいなと思う曲が多いからですかね・・・

わーすたが歌うことが多いストリート生の曲は、坂元葉月以外の4人が4期として入ってきたばかりの、2014年時代の曲が中心にあります。

「iDOL Street ストリート生コレクション 2014 e-Street」はキミ(2人称)シリーズ
「iDOL Street ストリート生コレクション 2014 e-Street」はキミ(2人称)シリーズ
収録曲

  1. KIMIへスタート! / サッポロ Snow♥Loveits
  2. レスキュー・君に夢中 / SENDAI Twinkle☆moon
  3. 愛 LOVE YOU キセキ / TOKYO TORiTSU これで委員会
「iDOL Street ストリート生コレクション 2014 w-Street」はボク・私(1人称)シリーズ
「iDOL Street ストリート生コレクション 2014 w-Street」はボク・私(1人称)シリーズ
収録曲

  1. MY ファイティン / NAGOYA Chubu
  2. 僕だけのサンシャイン / 大阪 DAIZY7
  3. アイ♡ウォンチュー / FUKUOKA はかたみにょん★

この年は、鈴木まなかに全地区の曲を作ってもらいました。僕も『僕だけのサンシャイン』とか『MYファイティン』とか大好きです。

これらの曲でソロの箇所に、松田や三品が少し入っていたのは、そのタイミングから元々ダンスが得意で、歌はあまり得意としていなかったと言っていたので、色々試していたとも言えます。

全地区に曲を提供していたので、わーすたのメンバーを考えるにあたって、ストリーグのファイナル(2014年10月〜12月に開催したストリーーーーーーグ3)で、全員集まっているところに鈴木まなかも呼んで、見てもらいました。

そこで、

「どの子がボーカルいい?」

っていうのを一緒に相談して決めていきました。

わーすたの結成を進めていた時と、このストリーグは実はすごく深いつながりがありました

僕だけのサンシャイン

わーすたのツインボーカルは『グループの基本形』にしたいです

ツインボーカル(廣川奈々聖・三品瑠香)&3パフォーマーはわーすたの特徴の1つ
ツインボーカル(廣川奈々聖・三品瑠香)&3パフォーマーはわーすたの特徴の1つ
わーすたのパフォーマンス面の大きな特徴は、『ツインボーカル&パフォーマー』スタイルじゃないかと思います。

今のアイドルはユニゾンが中心ですし、ファンはやはり『推しメンのソロパート』を望みます。

シングル曲ではボーカルメンバー以外のソロパートも増えていますが、ツインボーカルというスタイルに対する考えなどを教えてください。

ツインボーカルについて

アイドルグループとしては近年珍しい『ツインボーカル』
アイドルグループとしては近年珍しい『ツインボーカル』

樋口
わーすたのツインボーカルは『グループの基本形』にしたいと思っています。なので、崩す考えは今のところありません。

「他の子も歌えるのになんでですか」

みたいなことは確かに言われます。ですが、

  • 2ボーカル
  • 3パフォーマー
  • DJに鈴木まなかがいる場合がある(海外や国内でも特別なステージ)

が第4弾グループ(=わーすた)の『グループの基本形』として決めて結成に向かっていました。

それに従ってメンバーを選んでいたので。変えていく予定は今のところないという事です。
ただ、3人は全然歌わないとかそういう事ではない、のでご心配なく。

その形が一番分かり易いのは、お披露目をしたNHKホール(2015年4月29日『iDOL Street Carnival 2015 〜GOLDEN PARADE!!!!!〜』)でしょうか。

この時、坂元・松田・小玉はハンドマイクではなく、インカムを付けてました。

それが2ボーカル3パフォーマーが一番分かりやすく見えるからです。両手があいて振りをしっかりやるというのを、見てわかるように『インカムあり』にしたんです。

ただ、その後の定期公演や、フェスなどではそうじゃない歌もあるから、全員ハンドマイクになりましたが。

『原宿系アイドル』ではなく『JAPAN KAWAIIアイドル』です

猫耳1st衣装
猫耳1st衣装

樋口
構成やコンセプトでもう1点わーすたの特徴を言うと、重要なのは『衣装』です。

最初の衣装(猫耳1st衣装)は『まどマギ(魔法少女まどか マギカ)風』なんですが、これは、

『JAPAN KAWAII』の象徴は、猫耳・魔法少女

からきています。
この2次元の世界から飛び出してきたようなかわいい子達を表しています。

『KAWAII』という言葉や表記が世界標準みたいになっているので、その象徴というイメージです。

その流れで行くと、デビュー時に集中的にプロモーションした『原宿』もキーワードになってました。

よく、『原宿系』にカテゴリーされて説明されることがありますけど、『原宿系』アイドルではなく、『JAPAN KAWAII』アイドルです

1st猫耳衣装

わーすた松田美里「超絶☆メール」の秘密

松田美里さん超絶☆メールの『たまご占い』。毎朝1発目はこれから
松田美里さん超絶☆メールの『たまご占い』。毎朝1発目はこれから
わーすたメンバーに関して、デビュー前後のエピソードとかあったりしますか?

個人的には松田美里さんが推しメンなのでとても気になるのですが。

樋口
松田美里と言えば、超絶メールの『今日のてこたまご(※)』でしょうか。

※今日のてこたまご
ファンクラブ『S.P.C』の有料コンテンツとして、わーすた松田美里さんが配信する超絶☆メールタイトル。

『たまご占い』っていうのがあると思いますが、卵が好きだって言うので、

樋口P
じゃあそれを毎日占いみたいにしてみたらどう?

それが当たってるかどうかとか、かまわないから、自分の感性でやってみたら。

って言ったんです。あれがきっかけだと思います。

ただ、それはちょっとしたアイデアの1つでしかありません。
本当に多分毎日続けてると思うんですが、それを本人が楽しんでやってるから毎日見たくなるものになっていますし、松田のファンが増えている要素になってるとおもいますね。

そして、リアルに毎日卵食べてるっぽいんです。最初の1行2行は、多分本当にその日の朝、食べたものを書いてるんだと思います。

今日のラッキーアイテムも、多分リアルにその時目に入ったとか、その日の気持ちででポロッと言ったりとかするんでしょう。

そういう彼女のリアルが垣間見えて面白いです。

読んでいて楽しいし、ファンにも受けてるし、松田美里の良さが出てるんじゃないでしょうか。

わーすた音楽プロデューサー『鈴木まなか』、コレオグラファー『高田あゆみ』との出会い

わーすたの女子クリエイターにおけるキーマンは鈴木まなかさんと高田あゆみさんだと思います。

樋口さんとお二人との出会いってどんなものだったんでしょうか。

鈴木まなかとの出会いについて

わーすた音楽プロデューサー『鈴木まなか』さん
わーすた音楽プロデューサー『鈴木まなか』さん

樋口
鈴木まなかとの出会いは、2013年にGEMがスターティングメンバーで活動していた時、「GEMVP」というソロ曲をプレゼントする機会があって、武田舞彩(GEMのメンバーでリロード後にロスへ留学)のソロ曲『EMERGE!!』が誕生した時。これが最初です。

2013年のことですが、少し遡った話をすると、2012年~2014年くらいのスト生曲のディレクターは、現わーすたのディレクター下村が担当していました(※)。

わーすたのうちの4人が入ってきた、2014年のストリート生(新人育成開発統括部スタッフとして)も担当していましたし、GEMの初期の曲は下村が全部ディレクションしています。

※下村有茂
わーすたのA&R Director。Twitterアカウントは『@tws_director』。
わーすたのイベント会場では、PAで音を出したり、撮影係や握手会の『剥がし』を担当していることが多い。

武田舞彩のソロ曲を検討していた時は、下村と一緒に曲を選んでいて、

「これめっちゃいいじゃん!じゃあこれにしよう。」

と決まりましたが、鈴木まなかの曲とは知らずに選びました

鈴木まなかは当時まだ19歳の新人作家で、そして、エイベックス・アーティスト・アカデミーでボーカル等レッスンも受講していたりしました。

「作曲ができるから聞いてみてもらえませんか?」

という感じで提案されたのがきっかけです。そして、いくつかの作家さんのデモから選んだのが『EMERGE!!』でした。

そして、曲を作るために下村と鈴木まなかでやりとりが始まったんですが。

  • 「もう少し経験と実績を作りたいです。スト生の曲で使ってもらえませんか」
  • 「じゃあ、6地区になっての初めての夏に向けて全地区のオリジナル曲にしませんか?」

といった感じで話が進みました。

出来上がった曲を聴いてみると、すごくストリート生に歌ってほしい曲としてマッチしていました。

次なるグループをと言うタイミングで各チームに提供してもらった2014年曲には、思い入れもあり、わーすたになってからの公演でもストリート生時代の曲を受け継いで歌っているのはそういった経緯です。

このように何曲も携わってくれていたことから、女性クリエイターが中心で作っていく第4弾グループの『わーすた』に音楽プロデュースとして鈴木まなかが就くことになりました。

僕だけのサンシャイン

高田あゆみとの出会いについて

樋口
あゆべえさん(高田あゆみ)についても、こういうのが『出会い』なんだなと思います。

この出会いも2013年なんです。

2013年にhanarichu(ハナリッチュ)というアイドルが誕生し、hanaガールxiDOLStreetとして8月7日(花の日)に始まりました。

hanarichuのプロデューサー松田一輝さんと、グループを企画していたクリエイター達がhanarichuの5人を選んだのですが、その中にいたのが小玉梨々華と坂元葉月です。

hanarichuの曲をISAKICKさん、振り付けをしていたのがあゆべえさん(高田あゆみ)なんです。2013年からご一緒していますから、メンバーからも絶大なる信頼があります。

さらに言うとスタッフには男性が多いのですが、メンバーとしても女の子として女性のクリエイターに色々相談したいこともありますよね。

そういう相談がしやすい関係ができていて、あゆべえさん自身が自分もアイドルを経験しているからとても頼もしいです。

わーすたではビジネス的立ち振る舞いをするのが僕らavexスタッフで、メンバーやクリエイティブ周りはクリエイター女子にお任せしている

iDOL Streetの『集大成』とも言えるわーすた
iDOL Streetの『集大成』とも言えるわーすた
長年iDOL Streetを見ているファンも、「わーすたは集大成って感じがする」みたいな言い方をする人がかなりいます。

  • 携わっているスタッフ
  • 楽曲
  • メンバー

さらに、制作面では女子クリエイターを積極的に登用するなど、スタッフも育てる一面があるように感じますが、逆に言えば男性スタッフはあまり表にでていないイメージがあります。

プロデューサーとしての樋口さんの立ち位置について、差し支えのない範囲で教えてください。

樋口
曲も、メンバーの決まり方も、運営的なスタッフの面でも、何年も前から色んな人が出会っていて集結した『集大成』と言われれば、そういう印象はあると思います。

運営というところで行くと実際曲のリリース、ライブ展開するにも会社への事業計画と編成を通さないといけません。そういったビジネスワークに運営・プロデューサースタッフは重きを置いて行動してますね。

僕を含むプロデューサーチームは常に半年先のことがほぼ決まっていて、さらに半年後・1年後にクライアントになる人と話をしていたりします。

「この頃にはこうなってるはずだから、一緒に仕事しましょう」

という感じで。

そういうペースでやってないと未来像は描いていても実現しないですし、会社組織においてだとなお難しいと思います。

アイドルビジネスに限らず基本的なことなのですが、会社の事業なので思いつきで即実行も意外とできません

そういう意味で準備と実行は結構先を見ながら行動しています。
スタンスとしては、ビジネスとマネジメントをするのが僕たち(avexスタッフ)で、クリエイティブ周りはクリエイター女子にお任せしています。

僕はあらゆる面でのチェックや統括をしています。

例えば、リハーサルについて言えば頭からおしりまでとか僕はほとんど行かないです。
何故かと言えば、振りや演出面の指導などはライブ製作スタッフ、あゆべえさん(高田あゆみ)を中心に、スタッフチームに任せられます。

もちろん、最初にスタッフ打合せはします。
今だともふくちゃんとか鈴木まなかとか、クリエイター達の打合せで、

「こういう風に進めよう」

って言う細かい部分まで各セクションの意向を集約し、あとは実行していく体制になっています。

2017年4月22日Zeppライブに向けてのミーティングも、メンバーとスタッフとかなりの人数ですが何度もしていて、順調です。楽しみにしていてください。

運営組織、役割なども現状うまく行ってるのかなと思います。

終わりに

いかがだったでしょうか。

2010年から始まったiDOL Streetは2017年時点で4グループがメジャーデビューしていますが、末っ子の位置付けとなるわーすたには、先輩グループのノウハウや人脈がかなり活かさせている事がわかると思います。

また、avexという大企業が行う『事業』であるという側面も含めて、当たり前の話ですがビジネス的立ち振る舞いも重要なわけで、そこにはやはりビジョンや戦略があり、さらに言えば組織の論理が働くことも垣間見えたかもしれません。

最終回となる第3弾は以下の内容となる予定です。

  • 樋口竜雄Pが考える『今の人気の指標』とオリコン
  • スマホ撮影OKというわーすたのプロモーション
  • 女性ファンを意識したプロモーション
  • ファンサイトとの付き合い方

アイドル記事ですが、ちょっとビジネス・マーケティング論に近いお話です。社会人にとっては勉強になる話だと思います。

樋口Pインタビュー企画

わーすたのまとめページ

2016年3月から、100以上書いた記事を整理したページです。

今でも応援していますが、家庭の事情などもあり、わりと頻繁に足を運べた2018年頃までの出来事が中心となります

▼まとめページは以下の画像をタップしてね

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わーすたアーティスト写真2019年10月
樋口Pインタビュー1
好きでないと3万文字の記事とか書けない

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チー
2児の父親でありながらアイドルヲタクという、残念な大人ですが、記事を書き続けていることには、それなりの理由があるんです。
アイドル記事を書き続けている理由
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