「Designed by Apple in California」に込めたAppleのモノ作りへの思いを探る

先日行われたWWDC2013。
様々な製品、ソフトウェアの新作が公開されたが、1つ強いメッセージが発信された。

Designed by Apple in California

この言葉自体は、別に今に始まったものではない。しかし、今年になって改めてこのメッセージを発信するようになった事から、Appleという企業が次のビジョンに向かって動き始めた事を感じる。それは、モノ作りへのこだわりだと僕は思う。

デジタル時代のモノ作り

ここ10年くらいモノ作りというのは大きく変った。
デジタルが主流となり、様々な部品がモジュール化する事で、従来巨大な資本と設備が無ければ出来なかった製品が、わりと簡単に製作できるようになった。この影響を受けた国の代表格は日本だと思う。テレビなんて典型じゃなかろうか。

アナログ時代は特殊な部品や職人芸的なノウハウがなければ作れなかったが、デジタルテレビになり新興国での生産が本格化。先行していた日本メーカーを価格面だけで無く、品質面でもあっという間に追い抜いてしまった。こうなると、製品購入の判断基準は価格が中心になり、安くなければ売れないし、安すぎるが故に利益が出ず、企業の撤退が相次ぐ。

最近、「日本のモノ作り」を見直そうなんて動きが政府も含めて盛り上がっているが、1つ大きな問題が欠落していると思っていて、それは「デザイン」だと思うのだ。

デザインの重要性

デザインといえば、製品の見た目の部分と思いがちだが、それだけじゃない。製品が動くソフトウェア、この製品を使う事がライフスタイルに与えるイメージの明確化、それらの魅力を顧客に伝える戦略、そんなものをトータルで行う事が現代におけるデザインだと思う。簡単に言えば、「付加価値」とでもいうだろうか。

こういう部分が一番上手かったのはAppleだ。
ただ、ここ数年は製品もソフトウェアも大きな変化が無かった。iPhone登場前までは、Apple製品といえば「イイモノだけど、高い」というイメージだったが、最近は「イイモノなのに、安くて便利」というイメージに変わったように思う。MacBook Airとか、日本におけるiPhoneなんて典型だと思う。ただ、最近限界が見えつつあったのも事実だ。

「Designed by Apple in California」

そんな頃に改めて発信された「Designed by Apple in California」というメッセージ。
これは、ソフトウェアも含めてアメリカでのモノ作りにこだわっていくという決意に思える。これは、昨今の企画や生産はコストの安い発展途上国へという流れを断ち切るもので、かなり大きな決断だ。

Appleのモノ作りは次のステージに向かおうとしていると感じる。
その試金石となるのが新しいMac Proなのだろう。Pro向けデスクトップパソコンというのは、今やものすごくニッチな市場なので、売れまくる事はないだろうが、逆に言えば大外れもしない。こういうのを求めるユーザーは、例え高くても買うからだ。これが受け入れられるかは壮大な実験だが、実験の対象としては最適だと思う。

現行Mac Proというのはデスクトップパソコンの1つの完成形だと思っていて、これを変える必然性はあまりない。そこを変えてきたこと、iOS 7での大幅なデザイン変更などから、Appleのモノ作りへの挑戦はまだ終わっていないということなのだろう。

終わりに

「Designed by Apple in California」というのは、場所にこだわっているかもしれないが、それを実行するのはアメリカ人という意味ではないと思う。こういう考え方は、移民国家アメリカならではだなぁと思うが、今のままでも向こう5年くらいはAppleの立場が安泰なのは間違いないのに、敢えて挑戦する。

結果は失敗に終わるかもしれないが、Appleは新たなステージに向けて船出したように感じた。そして、これは日本が目指すべき道の1つだとも思う。

ただ、現状日本のメーカーでこういうビジョンを示している企業は皆無で、Appleとの差はさらに広がっていくんじゃ無いかと危惧してしまう。Appleが自爆して漁夫の利を得ることはあるかもしれないが、それでは日本メーカーの復権とはならない。

iPhoneを見た時日本メーカーのほとんどが、技術的には十分可能なのにこれを作れなかった(作ろうとしなかった)事を悔やんだという。結果、iPhoneで日本メーカーはこっぴどくやられてしまったが、iPhone人気が衰え始めている今が最後のチャンスだと思うのだが、、、

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