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通信業界のLCCウィルコム「だれとでも定額パス」の狙いを読み解く

更生手続終結が終了し、SoftBankグループの通信会社として本格的に動き始めるウィルコム。その、ウィルコムが面白いサービスを発表した。

PHSの通信モジュールを内蔵した端末とBluetoothで通信して、通話を実現するという「だれとでも定額パス<WX01TJ>」だ。イメージ的にはデータ通信を行うWi-Fiルーターの、音声通話版と言える。

同時に発表された月額2,980円から使えるデータ通信プラン「ウィルコムプランLite」も興味深いが、「だれとでも定額パス」はかなり戦略的な商品に思えた。その狙いなどを分析してみる。

この記事の掲載内容は、2020年12月22日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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「だれとでも定額パス」の特徴

Wi-Fiルーターのような専用端末(WX01TJ)とBluetooth経由でAndroidスマートフォンと接続し、スマートフォンでそのまま通話が出来てしまうと言うもの。

端末は32gと軽量でカバンの中とかに入れておいてもよさそう。連続通話時間は3.5時間、連続待ち受け時間は250時間なので、まあ2日に1回くらい充電すれば普通の人は十分と思われる。1週間充電無しで使える程ではない中途半端な時間なので、充電忘れが一番の注意点かもしれない。

「だれとでも定額パス」の料金

利用料金としては、以下のような感じ。

「パス専用プラン」基本使用料:月額490円
「だれとでも定額」使用料:月980円
合計:1,470円

1,470円で月500回、1回10分までだがどこにかけても定額となる。

この1,470円という金額は戦略的なものを感じる。LTE時代になってdocomo・au・SoftBankの大手キャリアは同一キャリア内での、24時間通話定額サービスを提供している(Xiトーク24、au通話定額24、24時間通話定額オプション)。この値段は3社横並びで1,480円。

わずかだが安い金額で、キャリア関係無しの通話定額をウィルコムは提供してきた。これは有力な選択肢になってくる。ウィルコムは大手キャリアの通話部分の契約を奪いに来ているように思える。これが何を意味しているかと言えば、MNPじゃないだろうか。

「070」から始まる携帯電話番号の開始

現在「090」または「080」で始まる携帯電話番号だが、今年11月から「070」の一部が携帯電話向けで使用されるようになる。詳細は以下を参照頂きたいが、

今年11月時点では「070」の携帯電話とPHSは明確に分けられるが、将来的には携帯電話・PHS間でもMNPが実現されるという。

そうなったら携帯電話ユーザーでウィルコムに移ってくるユーザーはそれなりにいると思われる。今や音声通話が必須と感じるシーンはそれほど多くないため、ある意味割り切って使えるし、何より今までの電話番号がそのまま使える事は大きい。

逆に今や音声よりも重要なデータ通信のみ大手キャリアで契約という選択肢がうまれる。

終わりに

この議論のさらに先にあるのは、LTEの音声版と言われるVoLTEの存在だ。少し前にdocomoがVoLTEを使って月1,000円程度で、キャリア関係なしの音声定額制を導入するという飛ばし記事があった。真偽はさておき、検討しているのは事実だと思う。

いずれにしてもここ数年あまり注目を浴びなかった、音声通話サービスが来年は盛り上がりそうな予感がする。僕が、ガラケーを手放す日もいよいよ近づいて来た気がする。