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佐々木俊尚「当事者の時代」ー都合のいい代弁者をやめて、あなたはどう生きるか

2012年2月くらいから一つの行動を起こし、その結果維新政治塾というものに通うことになり現在にいたっている。

この行動の根底にあるのは、

  • 評論家ぶった意見や文句を言ったり、意図的に自分を低く見せて同情を買おうとしても何も変わらない
  • それなら、自分の出来ることをやろう。

という思いだ。

そんな頃に手を取ったのが佐々木俊尚氏の「当事者の時代」という新書にしてはやけに分厚い書籍。

本自体はとっくに読み終わっていたのだが、改めて感想を書いてみる。

この記事の掲載内容は、2020年12月24日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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マイノリティ憑依

この本では「マイノリティ憑依」という言葉がキーワードになっている。

戦後から現在に至る中で、マスメディアや市民活動の根底に流れ、現在では日本人の大半が陥っている考え方。

詳しいことは書籍を読んでいただきたいため割愛するが、例えば最近の話で言えば生活保護に関する議論。よく出てくる例として「本当に困窮している人の事を考えたら」なんて言う人が多いが、

  • それって具体的にどんな人?
  • 仮にいたとして、その立場でもないあなたがなぜ代弁するような事を言うんだろう

そう思ったことがないだろうか。

こういうのがまさに「マイノリティ憑依」だと僕は理解した。

「マイノリティ憑依」した意見には本質は伴わない。なぜなら、自分自身はそれとは違うという事実があり、どこか他人事になるから」だ。

マイノリティ憑依は甘美で楽

本書では「マイノリティ憑依」が批判の対象になっているが、それをやめるためにどうすればいいかと言うことは記されていない

なぜか。まずはそもそも難しいから。
そして、マイノリティ憑依を抜け出す事はすなわち自分で行動するという事になり、その人に出来る事は様々。

「こうだ!」という答えなんて存在しないからだ。だからこそ難しい。

自分自身を振り返れば、仕事とかで「彼らの立場になって~」とかそんな事をすぐに言ってしまう。これら全てが「マイノリティ憑依」ではないかもしれないが、説得の材料として有効な面もあるし、何より楽だ。

ホームページから始まり、ブログ、SNSとここ10年ほどでWEBの文化は著しく進化した。

これまでは一部の識者やマスコミしか発信できなかった情報が、個人でも発信できる時代になり僕自身も含めてプチ評論家はWEBにあふれている。同時に芸能人なのどの有名人に、一般人という衣をまとって直接批判することが容易になった。

例えば、芸能人の不倫スキャンダルなどで叩くのは、今やマスメディアだけでなく一般人の方が多い。

しかし、ある政治的な話題があったとして一部を除けば、似たり寄ったりな意見か過激な意見に割れるのは、メディア・政治側に寄っているか匿名を武器に極論を言ってしまうからじゃないだろうか。

正直WEBの情報はスピード感というメリットはあるが、信頼性に劣ると未だに言われるのはそういう部分の影響が大きいと思う。

自身を振り返って

こうやって論じているが、僕自身も「マイノリティ憑依」はよくやっていたし、今もしていると思う。

しかし、その考えから少し脱却するようになったのは、自身がそのマイノリティになった経験じゃないかと思う。その経験とはうつ病になったという経験だ。

うつ病のなり始めで調子が悪い頃、休職期間中、復職後いろんな意味で目立った。そして、そんな時声をかけてくれる人は大きく言うと2種類に分かれた。

  • 出来ることがあれば協力するので言ってくれと言う人
  • 彼の立場になって考えてあげてくれと言う人

前者の方には必要に応じてお願いすることもあったが、後者には何も言わなかった。

簡単に言えば、この人は何もする気ないんだなと思ったからだ。

でも、さらに言えばうつ病なんて病気はなってみないとわからないし、なった人でも他人が同じ状況だからと言ってよくわからないもの。周りの支えは必要だが最後は自分で乗り越えるしかないと思っている。

そういう意味で、別に何かをして欲しいという気持ちはあまりなくて、あなたの出来ることをやって欲しいという気持ちの方が僕は強かった。例えば家族なら生活を支えてほしいし、会社の上司なら次にこういう人を出さないような制度や勤務体系を考えて欲しい。

この経験を経て、自分の出来る事を、思いだけじゃなく行動する方がよいと思うようになった。

会社とかでよくいるじゃないですか。自分じゃ何もしないくせに、文句言ったり権利ばかり主張する人。

ああいうの見ると最近は本当にイライラする。

まとめ

会社という単位でも、国という単位でも今の日本では、色々問題があるにせよ自分以外の誰かがなんとかしてくれるという雰囲気が強いと思う。

誰もが経営者や議員などの権力者になれるわけではない。そういう人たちに委ねるのも組織で生きる上では重要だが、同時に自分の出来る事を実行していくことも重要だと思う。

うつ病になってどん底を経験したと言う事は決して良かったとは言えないが、生き方を考える上では大切な期間になった。

その中で生まれた考えはこの本を読んで間違いじゃなかったと感じたし、事実そういう人たちが増えているのも感じる。僕は自立した個人を目指す。

新書というには読むのにパワーが必要となる書籍だが、興味がわいたら是非読んでみて欲しい。

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