知られざる苦労人・新垣里沙(ガキさん)のモーニング娘。卒業に思う事

本日(2012年5月18日)、日本武道館で行われるモーニング娘。のライブで現リーダーで5期メンバーの新垣里沙が卒業する

モーニング娘。におけるメンバーの卒業はもはやセレモニーなので、これによって何かが終わるわけでも始まるわけでもない。さらに言えば、ここ5年くらいのモーニング娘。の活動はほとんど知らないので、今のモーニング娘。について語る言葉も特にない。

だが、新垣里沙って子にはちょっとだけ特別な思いがある。

昔も今もファンだった事は一度も無いが、この子はとんでもない逆風の中で加入して、モーニング娘。において一番の苦労人だったと思っているからだ。10代前半で普通は経験しないような、つらい思いをしてきたはず。

僕にもうつ病でつらい思いをしてきた時期があった。そういう時思い出すのって実は新垣里沙の事なのだ。

モーニング娘。加入時の大逆風

新垣里沙、モーニング娘。加入直後の写真
新垣里沙を含む5期メンバーが加入したのは、2001年の夏。

その頃のモーニング娘。といえば2012年現在におけるAKB48に全くひけを取らないくらいすごくて、テレビで見ない日はないくらいだった。ファンは個々のメンバーはもちろん、グループに対する愛着も深くて、5期加入前の9人は当時の最新曲「ザ☆ピース!」の衣装にちなんで、黄金期メンバー なんて言われた。

そんな時に入ってきた5期メンバーは当初からあまり人気もなく、どっちかと言えば 「いらねー」 くらいの認識を持ってる人が多かった(もちろん僕もそうだった)。

その中でも2011年に卒業した高橋愛は比較的恵まれていたが、最悪だったのが新垣里沙さん。

よりによって、合格発表されたLOVEオーディション21(いわゆる5期オーディション)番組内で流れたおもちゃメーカーのCMに出演していた事が分かり、「コネ疑惑」 なんて騒がれた(実際は子役の芸能事務所に所属いていたことがあり、その時に出演したCMが流れただけらしい)。

デビューライブとなった2001年秋ツアー(ライブレボリューション秋)は本当にひどくて、彼女がMCをする時まず会場が静まりかえる。続いて観客から

コネ垣~!
死ね~!
やめろ~!

なんて言葉を浴びせられる。当時はアリーナクラス(横浜アリーナ・大阪城ホールなど1万人程度収容可能な大規模ホール)の会場ばかりでライブは行われていたが、それでもあれだけたくさんの人が叫べば本人に聞こえないわけはない。

僕はモーニング娘。のツアーに行き始めたばっかりだったので、さすがに驚いた事を今でもよく覚えている。当時MCで

「ラブ、ラブ、新垣です~」

なんて挨拶をしていて、これがまたヲタの琴線に触れて新垣叩きは現場はもちろん、ネットでも相当バッシングは激しかった。

アイドルというのは人気商売だ。AKB48みたいに総選挙とかやればかなり露骨にわかるが、当時そんなことをするアイドルグループはなかったので、指標としてわかりやすいのがコンサート会場等で売られている、うちわや生写真などのグッズ

当時新垣里沙のうちわを持つ人は皆無だった。
写真は普通に捨てられていた。

モーニング娘。という全盛期のアイドルグループに加入したとはいえ、当時12歳の少女がこんな仕打ちを受けた。普通、嫌になりそうなもんだ。

しかし、彼女は笑顔を絶やさず辛い表情は一切見せなかった。

モーニング娘。に憧れていたから

新垣里沙は元々モーニング娘。の大ファンだった。確か、一推しは安倍なつみ。

トレーディングカードを買ったり、CDを買ったりする普通のファン。そんな子がモーニング娘。になった。メンバーになった当初

「グッズは一杯持ってます!」

みたいな事を話していたが、それも「じゃあおとなしくファンやっとけ」と叩かれた。

何を言っても叩かれた。
好きだという事をただ話しただけなのに。

ファンがアイドルに憧れ、アイドルになる。
2010年代では結構よく聞く話だが、2001年当時はまだ珍しかった。歌手志望でその延長がアイドルだったりする事が多かったように思う。ただ、新垣里沙の場合、歌手でもなくただのアイドルでもなく、

モーニング娘。になりたい

という思いだけだった。ここが他のメンバーと違った部分であり、強さの源だったんだと思う(5期メンバー以降は、道重さゆみなど同じ思いを持って加入するメンバーも増えた)。

モーニング娘。というグループに対する思い入れは他のメンバーより各段に強かったはず。そして、夢を実現させた嬉しさとその責任感から、絶対に弱音を吐かないという決意を持っていたのだろう。

わりと有名なエピソードがある。
当時のメンバーに行われたアンケート(何で公開されたものかは忘れた)で 「モーニング娘。になって辛かったこと」 という欄があった。他のメンバーが様々な事を書き込む中で、新垣里沙の回答だけは「空白」 だった。前述したような事が辛くなかったわけはないのに。

これだけでも、彼女が「モーニング娘。になる」という事に特別な思いを持っていた事が分かると思う。

転機

アルバム「愛の第6感」ブックレットより
5期メンバーが末っ子という時期は2003年春までと比較的長い間続いた。
この間、中心メンバーだった後藤真希は卒業し、ハローマゲドンなどと言われた各種ユニットの再編成を経て人気は下降線だったが、まだまだモーニング娘。は強かった。

ただ、この時期の人気ランキングなんてものがあったとすれば、新垣里沙はおそらく断トツの最下位。それでもまだ先輩達がいるから今のままでいいと思っていたのかもしれない。

状況が変り始めたのは6期メンバーの加入。2012年現在の中心メンバーである田中れいなが、加入後の初シングル(シャボン玉)でメインに抜擢されその後も中心的になっていく中で、いつまでも末っ子メンバーではいられなくなった。

さらに安倍なつみの卒業。同年代で永遠の末っ子キャラ辻加護の卒業発表。自分が憧れていたメンバーがどんどん卒業する中で一つの変化が起こった。

本人の中で何があったのかは分からない。だが、時期としては2004年春くらいから、トレードマーク(?)であったおさげをやめ、前髪を切った。

この事は「女子かしまし物語」の歌詞でもフィーチャーされている。

この曲の歌詞でも紹介された。

前髪切ったのうれしくて
触れてほしそうな顔で
笑顔で近づいてくるの
「あ~前髪かわいいかわいい」
「本当ですか!?そうなんですよね」

その頃まで子役上がりのためか、辻加護の影響か見た目上は子供っぽい姿をしていたが(後日談として、あれは事務所の指示だったそうで「ウルトラの母みたいな髪型にされちゃった」と語ったらしい)、アイドルっぽい普通のかわいさを出すようになった。

同時に2004年辺りから、5期メンバー内でもちょっと干された立場にいた新垣里沙と小川麻琴の2名は表情がすごく豊かになった。そして、多分その頃から、

  • 新垣って実はちょっとかわいくね?
  • いい笑顔してるよなぁ

なんて話を聞くようになった。見る人は見てるし、気づいてくれるという証拠だろう。加入から2年以上が経過し、ようやくファンもちゃんと見てくれるようになって、たどり着いたポジション。アイドル新垣里沙はここから始まった。そういう意味では遅咲きのアイドルかもしれない(年齢としては若いが経験年数という意味で)。

そして卒業を迎えるまで

シングル「恋愛ハンター」は新垣里沙のモーニング娘。卒業シングルであり、表題曲ではセンターを務めた
その後、2006年くらいを境に僕自身がモーニング娘。から離れてしまったので、詳しいことは分からなくなったが、高橋愛が思いの他長く在籍していて、わりと目立つようになったのは最近のような気がする。この間、モーニング娘。を見たのは3・4回だと思うが、良くも悪くも新垣里沙は変ってない。

卒業記念と言うことでMVまで作成され、最後のシングルである「恋愛ハンター」のカップリングとして収録された、松浦亜弥の楽曲「笑顔に涙〜THANK YOU! DEAR MY FRIENDS〜」。

この曲で久しぶりに歌声を聞いたが、決して上手いわけではないが、いい歌い手になったなぁと思った。

そして卒業前に「中井正広のブラックバラエティ」に出演しているところをたまたま目にしたが、楽しそうだった。
考えてみたら10年以上在籍していたので、あんまり喋らなくなってたり、テレビ受けするようなリアクションしそうなものなのに、昔と変らず新鮮なリアクションをしていた。

これって魅力だよなぁと。
まあ、正直加入当初の状況を知る人間としてはここまで来るなんて想像できなかった。

  • モーニング娘。全盛期(黄金期)
  • 加入直後の大逆風
  • 全盛期メンバーの卒業・脱退
  • モーニング娘。・ハロプロが落ち目に(プラチナ期)
  • アイドルブームの中で、2010年代のアイドルとして再生

これだけの事を当事者として経験した新垣里沙は多分モーニング娘。の歴代メンバーの中でも一番の苦労人だろう。それでもこだわりを持って継続していくことで、必ず報われることを体現したようなメンバー。そんな子がモーニング娘。が消滅したわけでもなく、脱退でもなく、10年の活動を経て卒業すると言うのだからちょっと泣けてくる。卒業コンサート行きたかったなあ。

新垣里沙さん卒業おめでとう。

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2 件のコメント

  • 近頃一気にメンバー変わってその中での卒業でしたが、2010年までのメンバーはモーニングの中でもライブパフォーマンスが歴代最強と言われています。
    ガキさんは歴代でもトップレベルの歌唱力を身に付けて、話してる姿からは想像もつかないくらいパワフルな歌声を出すようになりました。
    なんというか、今や珍しい魂込めて歌う歌手にちゃんとなりましたよ。

    • そうなんですか。
      最後にまともに見たのが2006年くらいで、それ以降って9期が入るまでは比較的メンバーの増加が少なかったのでライブパフォーマンスが高いって言うのは納得ですね。歌声は正直あまり聞いたことなかったですが、卒業ツアーかコンサで売られたんですかね。「笑顔に涙」の映像見ましたが、こんなに歌えたのかって驚きました。
      まあ、「笑顔に涙」はないやろ~~とも思いましたがw