2013年~2014年にかけて、主にSoftBankショップ・auショップでスマートフォン購入時のオプション縛り問題が話題になったことがある。
内容としては「オプション」と言っておきながら、auスマートパスなどの複数オプションサービスをスマートフォン購入時に半強制的に加入させ、加入しない場合、販売自体を行わないまたは数千円の「頭金」を請求するというものだ。
この話は定期的に話題になるが、2024年現在オプション縛りはほとんど目にしなくなった。
しかし、その代わり「頭金」と呼ばれる費用が、端末価格に含まれるケースが増えている。
「頭金」と聞くと、車・住宅購入時のイメージで、元金の位置付けを想像する人が多いだろう。
しかし、携帯・スマホ販売における頭金は全く意味が違う。
どちらかといえば「手数料」に近いイメージで、分かりづらいのだが、どのようなものかを解説しようと思う。
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携帯ショップ店頭での携帯・スマホ購入に必要な「頭金」とは
ドコモショップにおいてはかつてよく目にした「頭金」は一時期姿を消していたが、2017年頃から再び目にするようになって来た。
金額はおよそ税込5,500円~11,000円が相場となっている。
金額そのものは大きく変化していない。以下の画像は2013年秋の画像で、当時発売したばかりの「ARROWS V F-04E」で設定されている頭金。
※小さくて見にくいと思うが
当時は8,400円だった。
2015年にドコモショップ店頭でiPhone 6sを購入した時、頭金は姿を消していた。
そして、これが2017年7月時点の頭金。
契約種別 | 金額(税込) |
---|---|
新規契約・MNP | 5,500円 |
機種変更 | 11,000円 |
指定オプション加入 | 5,500円 |
頭金という制度が復活していることが分かる。
以来、この制度はドコモショップ店頭では必ず表記されるようになった。
かつての頭金は、指定オプションの加入で免除されるケースが多かった。
しかし、その後の頭金は例外なく請求される費用となっていた。
一般的な「頭金」と携帯ショップの「頭金」の違い
「頭金」で最も一般的なのは、車や住宅などの高額ローンを組む場面だろう。
上画像のように頭金を支払うと、割賦支払い額が減り、月々の支払い額が安くなる。
一般的な「頭金」だと上記のようになるはずだ。
ところが、携帯ショップにおける頭金は、払っても割賦支払い額が減ることがない。
「頭金」と表現しているが、これでは実質的に上乗せの手数料と変わりない。
しかし、なぜ一般的な「頭金」と携帯ショップでの「頭金」の意味がここまで違ってくるのか。
それには、「店頭価格の設定権限」と「割賦支払い上限額の設定権限」がそれぞれ、携帯ショップ(代理店)とキャリアに分かれてしまっていることが大きく関係している。
詳しくは後ほど触れるが、実は携帯ショップはそのほとんどが看板を借りて運営している代理店だ。
そうなると、色々と大人の事情が出てきてしまう。
以下にポイントをまとめた。
- 携帯・スマホに「希望小売価格」がないため、本体価格は各携帯ショップが設定できる
- 「割賦支払い上限額」はキャリアによって決められており、ショップに権限がない
- 「店頭価格」と「割賦支払い上限額」の差額は店頭で払ってもらうしかないため「頭金」としている
カラクリを理解すると「頭金」を店頭で請求している理由は分かる。
しかし、払っても「割賦支払い額」が減らないものを「頭金」としてしまっているのが、なんだかすっきりしない。
なぜ「頭金」は導入されたのか
実施的な店頭手数料となっている「頭金」を請求する背景になるのは、携帯ショップの台所事情の苦しさがあると言われている。
意外と知らない人も多いが、全国に展開される携帯ショップおいて、携帯キャリアの直営店はほとんどない。
キャリアの直営店と言えるのは実はかなり少なく、主に大都市で展開している旗艦店がそれにあたる。一部の例を挙げると以下のような店舗だ。
キャリア | 店舗名 | 地域 |
---|---|---|
NTTドコモ | ドコモショップ丸の内店 | 東京 |
au(KDDI) | au SHINJUKU au NAGOYA(栄) au OSAKA(梅田) au FUKUOKA(天神) |
東京 愛知 大阪 福岡 |
SoftBank | ソフトバンク銀座 ソフトバンク表参道 |
東京 |
逆に言えば、それ以外は看板だけ借りているイメージの店舗となる。なので、そこで働く従業員も当然キャリアの社員ではない。
そんな中、キャリアの看板で仕事をするわけだが、以下のような事情でキャリアショップの運営は苦しいといわれている。
- クレーム対応などの矢面に立たされる
- スマートフォンや光インターネットの販売など、店頭オペレーションの増加
- 総務省の0円販売規制により、携帯販売が減少(=売上げ減)
- 格安SIMへの顧客流出
確かに、キャリアショップはいつも混雑しているが、契約変更など費用の発生しないオペレーションが増えており、利益が上がりにくい状況になっているのだろう。
その結果として、頭金をとらざるを得なくなったのではないかと僕は考えている。
顧客としていい気分はしないが、そうせざるを得ない事情も分からないでもない。
2021年現在の総務省の「頭金」へのスタンス
携帯業界は総務省から何かとつっこまれることが多いが、店頭での「頭金」に関しても例外ではない。
2020年11月10日には、総務省・消費者庁が共同で「携帯電話業界における「頭金」の表示や端末販売価格に関する注意喚起 ~携帯電話端末の購入を検討している方へ~ 」という声明を発表した。
この声明の中で、総務省・消費者庁は大きく以下の3点を問題としている。
- 他の業界とは違い、あらかじめ決められた「割賦支払い額」への上乗せという意味で「頭金」が用いられている
- 端末代金に「希望小売価格」が無く、店舗によって価格が異なることが広く認知されていない
- 上乗せの「頭金」を減額することで「割賦支払い額」が安くなったり、他店よりも安くなっていると誤解を招くような表示
総務省・消費者庁の共同声明では「頭金」それ自体を禁止とまではしていない。
「頭金」そのものに違法性はないからだ。
しかし、過去の総務省と携帯業界とのやりとりを考えると、今後携帯ショップが「頭金」を廃止する可能性は高いだろう。
事実、2024年11月現在のau店頭では既に頭金を廃止している店舗が多くある。
「頭金」を払いたくない人はどうしたらよいか?
じゃあ、どうするか?
顧客自身が自分で勉強するしかない、と思う。
前述した通り、2024年11月現在では「頭金」を廃止する流れとなってきている。
とはいえ、一部店舗ではそのまま「頭金」を設定している場合もあるので、契約の際には他店との検討は必須だ。
また、2020年12月には各社がオンライン申し込み専用の低価格プランを発表した。
- ahamo(docomo)
- povo(au)
- LINEMO
「頭金」だけでなく、コストを削減するには、我々消費者もただ指をくわえて待っていてはいけない。
2024年以降は、リテラシーの高い人とそうでない人との通信コストの差は、ますます開いていくだろう。終わりに
「頭金」という仕組みの根底にあるのは、
キャリアショップを運営する代理店の経営が厳しいこと
だと思う。
基本的な方向性としてオンラインショップの割合が増えていくのだろうが、そうなると携帯・スマホ販売以外でキャリアショップが利益を出せる仕組みが必要になる。
キャリアショップの店員さんは販売だけで無く、サポートまで担当する。
携帯キャリアって民間企業だが、電波という公共資産を使い莫大な利益を生み出している以上、代理店を救う仕組みを考えていかないといけない時期に来ているのだと感じる。
ドコモでスマホを買うならオンラインショップがおすすめ
購入手続きはオンラインショップで行うのがおすすめです。
利用するメリットは、以下のようなものがあります。
- 24時間受付可能
- 2,750円以上の購入で送料無料
- 全手続きで事務手数料が「完全無料」
- キャンペーンが多い
- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
ドコモ最新キャンペーンページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください!
注目の料金プラン「ahamo」・「5Gギガホプレミア」
2021年3月以降、料金プランが大きく変わります。ほとんどの方はプラン変更する価値があるので理解しておきましょう。
「ahamo」が目立っていますが、1,000円値下げされて、テザリング込みで「データ通信無制限」の「5Gギガホプレミア」はヘビーユーザー要チェックプランです
元携帯ショップ店員の僕も驚くようなプランで、各社同種のプランを出しましたが、以下の記事で詳しく解説しています
- ドコモ料金をdカード払いで2年縛りの違約金1000円が0円に
- ドコモ通信料の節約方法を知りたい方はこちら
20年以上ドコモを契約している管理人が、これまで書いて来たサービスの解説・お得な使い方などを、ドコモカテゴリートップページでは整理して紹介しています。
▼以下の画像をクリック!
初めまして、いつも拝見させていただいています。
販売店を責めてはこの問題は解決しないと自分も感じます。そして携帯ショップで電話を販売する事に無理がきているのではないかと最近思うようになりました。キャリアは回線を提供する事に徹した方がいいのではないでしょうか。AppleがiPhoneを自社で修理対応する姿をみて、キャリア主体の時代の終わりを感じ、キャリアが何でもやりますの時代が終わる事が、この問題の解決の第一歩ではないかと思います。
始めまして!
おっしゃる通りですね。販売店には正直どうしようもないと思います。理想はキャリアは回線提供に専念なのでしょうが、それまでのビジネスモデルを崩すことにもなり、おそらくは難しいでしょうね。販売店には自社の看板掲げさせているのだから、きっちりコントロールして欲しいと思います。
ん〜
販売店にはオプションに対して報奨金を出しておいて、反対に頭金には制限をかける。
なんだがパッチポンプに感じるのは気のせいでしょうか?
メーカー小売価格が原則廃止となりオープン価格になったけど、それを逆手にとった商売でなんだか腹立たしいですね。
奨励金というものをもうちょっと明確にしないとダメな気がします。
携帯電話ほど「定価」ってものが分かりづらいものはないですし、、、