通信業界は長年、通信回線と端末(スマホ・タブレットなど)をセット販売していた。
- 2年間の継続利用で端末が「実質無料」
- 契約期間内に解約すると、高額な違約金が発生する
- 端末を分割払いしていても、通信契約を解約すると残債をまとめて請求される
これらがセット販売であった証拠と思うが、総務省の指導により通信回線と端末を分離する「分離プラン」の導入が、2019年10月1日の改正電気通信事業法の施行で義務化される。
ドコモの場合、通信回線の部分は2019年6月1日に開始した、分離プラン「ギガホ・ギガライト」で対応した。
そして、端末部分がどうなるかが注目されていたが、「スマホおかえしプログラム」という新しい購入方法が導入されることになった。
詳しく紹介しようと思う。
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ドコモの端末購入は「スマホおかえしプログラム(=分割払い)」または「一括購入」
従来、ドコモの端末購入割引は大きく分けると2種類だった。
- 月々サポート
- 端末購入サポート
これらは、割引を2年かけて受けるか、1回(=購入時)で受けるかの違いがあったのだが、どちらにせよ「一括払い」と「分割払い」を選択できた。
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しかし、これらの購入方法は「キャリアからの補助がある」ことが問題となり、2019年5月31日で新規受付終了……。
その代わりに導入されるのが、この記事で紹介する「スマホおかえしプログラム」なのだが、
購入方法が36回分割払いのみ
となっており、一括払いができない。
詳しくは後述するが、36回の分割でも、24回払った後に端末を返却すれば、残債が免除されるという仕組みなので、分割払いが適用条件となる。
「スマホおかえしプログラム」の特徴
2019年6月1日から開始した、ドコモの新しい端末購入「スマホおかえしプログラム」の特徴は以下の2点。
- 36回の分割払いで購入できる(=1ヶ月の分割金が安くなる)
- 24回支払った後、端末を返却すると残債が免除される
ポイントは、最大12回分の支払いが免除されることだと思う。
この購入方式で一番損なのは、36回分キッチリ支払うこと。
この買い方を選択したユーザーは、デメリットもないため2年後に新モデルへ買い替えるだろう。
近年、車の購入時に選択することが多い、「残価設定クレジット(残クレ)」の考え方に近く、購入したスマホの2年後のリセール価値を考慮せず、返却するだけでよいというのは分かりやすい。
適用条件は4つだけ
このプログラムの適用条件は実に単純だ。
- ドコモユーザーであること(=回線契約をしている)
- 対象端末を購入する
- 36回分割払いで購入する
- 24回支払い完了後、端末を返却する
対象端末は「ハイエンドモデル」に限定される
ただ、ドコモが販売する全ての端末に適用されるわけではなく、対象端末が限定されている。
2019年冬モデルの場合、以下のような切り分けになる。
分類 | モデル名 | スマホおかえしプログラム | 販売価格 | ||
---|---|---|---|---|---|
docomo | au | SoftBank | |||
ハイスペック | Galaxy Note10+ SC-01M レビュー記事 |
○ | 121,176円 | 119,680円 | - |
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87,912円 | 90,720円 | 116,160円 | ||
AQUOS zero2 SH-01M | 87,912円 | 82,100円 | 95,040円 | ||
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× | 21,384円 | 25,920円 | - |
AQUOS sense3 SH-02M レビュー記事 |
31,680円 | 36,720円 | - |
つまり、このプログラムはハイスペックスマホの割高感を押さえるためにある。
ざっくり分類すれば、以下のような感じだろう。
- 5万円を超えるハイスペックモデルのみ対象
- 5万円以下のスタンダードモデルは「対象外」
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- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
スタンダードモデルを購入するメリットは「買い切り」であること
- 5万円以下のスタンダードモデル
- 「スマホおかえしプログラム」で購入した、実質6万円(24回の支払金額)程度のハイスペックモデル
そう思う方もいるかもしれないが、一つ注意点がある。
それは、「スマホおかえしプログラム」での端末購入は、返却が必要ということだ。
実質的に「リース」の考え方に近いため、2年後に新しいスマホを購入すれば、新たな分割払いが発生する。
つまり、常に端末費用を払い続けているイメージとなる。
逆に、スタンダードモデルのスマホは「買い切り」だ。
初期費用としては高くなるが、返却義務がないため壊れない限り、3年でも5年でも使い続けることができる。
スタンダードモデルは、2019年5月31日まで提供されていた、「docomo with」で販売されていたモデルだ。
2019年6月以降はスタンダードモデルに分類され、価格も維持されたが毎月1,500円引きはなくなった。
SIMロック解除は「100日経過後」対応可能
僕が「スマホおかえしプログラム」で気になったのは、SIMロック解除に対する対応だ。
2024年11月時点での制度は、簡単に言えば以下のような対応となる。
- 一括払いは、即日対応可能
- 分割払いは、「100日経過後」対応可能
「スマホおかえしプログラム」は、前述の通り36回分割払いしか選択できない。
分離プラン「ギガホ・ギガライト」を含めて、そもそも回線と端末を分離するのが目的のはず。
であれば、SIMロック解除は即日対応可能か、SIMロックそのものがなくなる(=SIMフリー)ことを期待していたが、以下の対応となる。
- 「スマホおかえしプログラム」でのSIMロック解除は、購入から「100日経過後」対応可能
- 2019年夏モデル以降も、SIMロック付きで販売される
「スマホおかえしプログラム」はお得?メリットは?
このような感じで、ハイエンドモデルが買いやすくなるプログラムだが、実際利用するメリットはあるのか?
現在のスマホは長寿命化しており、同じスマホを3年以上使う人も珍しくない。
僕が毎年購入してるiPhoneに関して言っても、2015年に発売した「iPhone 6s」ユーザーが未だに一番多いと思うくらいだ。
つまり、2年スパンでの端末購入は「早い」のだが、購入というより、リース(レンタル)の考えに近いため、躊躇なく端末を購入できるメリットが大きい。
現在でも、スマホ購入時は、古いスマホを下取りに出して、購入の原資にするのが普通になって来た。
実質的には返却しているわけで、あまり変わらないが、2年後のリセール価値を考慮する必要がないというのは大きいと思う。
機種変更の概念もなく、1回線で2台まで購入できる
このプログラムは、2年後に新しい端末を購入するイメージになるが、重複期間が発生する可能性がある。
そんな時でも、従来なら1回線に1端末という感じで、回線と端末契約が紐付けていたが、それがなくなった。
「スマホおかえしプログラム」は1回線で2台まで購入可能だ。
機種変更
という概念そのものがなくなったといえるだろう。
ドコモ回線を解約しても、分割払いは契約終了するまで続く
回線と端末契約が分離したメリットがもう1つある。
従来、分割払いで購入した端末の回線を解約すると、最終支払月に残債をまとめて請求されていた。
この金額が大きくなりがちなので、解約を躊躇する方も多かっただろうが、「スマホおかえしプログラム」はドコモ回線を解約しても、分割払いが契約終了まで続く。
分割払いによる「借金」がなくなるわけではないが、計画的に支払いできるのは大きなメリットだと思う。
ハイエンドモデルを買うなら「ドコモは意外と安い」
2019年夏モデル以来、ハイエンドモデルは思いのほか安くなった。
ドコモ自身も「粗利をなるべく削った」との発言があったとおり、10万円を超えるモデルがほとんどなく、他社と比較しても安い。
分類 | モデル名 | スマホおかえしプログラム | 販売価格 | ||
---|---|---|---|---|---|
docomo | au | SoftBank | |||
ハイスペック | Galaxy Note10+ SC-01M レビュー記事 |
○ | 121,176円 | 119,680円 | - |
Xperia 5 SO-01M レビュー記事 |
87,912円 | 90,720円 | 116,160円 | ||
AQUOS zero2 SH-01M | 87,912円 | 82,100円 | 95,040円 | ||
スタンダード | Galaxy A20 SC-02M レビュー記事 |
× | 21,384円 | 25,920円 | - |
AQUOS sense3 SH-02M レビュー記事 |
31,680円 | 36,720円 | - |
あまり知られていないが、キャリアが販売するスマホは、メーカーではなくキャリアが販売価格の決定権を持っている。
Xperia 1のように、同じモデルなのに大手3キャリアで値段が違うのはこのような背景がある。
とはいえ、キャリアの仕入れ価格がドコモだけ大幅に安いとは考えづらいので、この価格差はドコモの営業努力によるものと考えて良いだろう。
定価でも意外と安い上、「スマホおかえしプログラム」を使えば3分の2くらいの価格で、入手できるイメージだ。
「激安!」とまではいわないが、「ドコモのスマホは高い」というイメージは覆されたと思う。
- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
最新モデル「iPhone 11・iPhone 11 Pro」発売後も販売価格は大きく変わらず
とはいえ、ドコモも含め大手キャリアが販売するスマホの主力は、まだまだiPhone。
2024年11月時点で、以下のモデルが「スマホおかえしプログラム」の対象となっている。
- iPhone 8
- iPhone XR
- iPhone XSシリーズ
- iPhone 11
- iPhone 11 Proシリーズ
キャリアがある程度、自由裁量で価格を決定できるAndroidスマホと異なり、AppleのiPhoneはメーカーの統制がかなり強いことで有名だ。
従来は、月々サポート・端末購入サポートなどを駆使して、「実質価格」として安く見せていたが、それが使えなくなった今販売価格が注目されていた。
そして、2019年9月のiPhone最新モデル発表後の、Apple SIMフリー版との価格比較をすると以下のような感じになる。
モデル名 | 容量 | |||
---|---|---|---|---|
ドコモ(税込価格) | Apple | |||
一括価格 | 2年利用価格 | |||
iPhone 7 | 32GB | - | - | 販売終了 |
128GB | - | - | ||
iPhone 8 | 64GB | 61,200円 | 40,800円 | |
128GB | - | - | ||
iPhone XS | 64GB | 102,600円 | 68,400円 | |
256GB | 113,400円 | 75,600円 | ||
512GB | 113,400円 | 75,600円 | ||
iPhone XS Max | 64GB | 113,400円 | 75,600円 | |
256GB | 124,200円 | 82,800円 | ||
512GB | 124,200円 | 82,800円 | ||
iPhone XR | 64GB | 68,400円 | 45,600円 | 71,280円 |
128GB | 75,600円 | 50,400円 | 76,780円 | |
256GB | 86,400円 | 57,600円 | - | |
iPhone 11 | 64GB | 79,200円 | 52,800円 | 82,280円 |
128GB | 86,400円 | 57,600円 | 87,780円 | |
256GB | 97,200円 | 71,280円 | 90,800円 | |
iPhone 11 Pro | 64GB | 115,200円 | 77,480円 | 107,480円 |
256GB | 129,600円 | 86,400円 | 122,800円 | |
512GB | 151,200円 | 100,800円 | 149,280円 | |
iPhone 11 Pro Max | 64GB | 126,000円 | 84,000円 | 131,780円 |
256GB | 144,000円 | 96,000円 | 135,800円 | |
512GB | 165,600円 | 110,400円 | 158,580円 | |
iPhone SE(第2世代) | 64GB | 57,024円 | 38,016円 | 49,280円 |
128GB | 62,568円 | 41,712円 | 54,780円 | |
256GB | 75,240円 | 50,160円 | 66,880円 |
- 定価はドコモ版が少し高い
- 2年使った「実質価格」はドコモが安い
という感じで、正直分離プランの導入前後で、あまり変わらない状況になった。
ちなみに、スタンダードモデルとして販売されている「iPhone 7」は非常にコスパが高いモデルと思う。
AppleのSIMフリー版より安い、ドコモのiPhone 7ってちょっと反則で、docomo with対象モデルとして売れまくったのだが……
- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
クーポンなどの割引の扱いはどうなるか
また、特にiPhoneに関して言うと、毎年9月に新モデルが発表&発売されるため、注目度と販売もこの時期に集中する傾向がある。
僕のような「Appleファン」が飛びつくからで、それはキャリアからみれば「確実に購入しそうな顧客」ということになる。
このため、例年9月になると「話題のスマホで使えるクーポン」が郵送される。
しかし、2019年は「スマホおかえしプログラム」、分離プラン「ギガホ・ギガライト」がスタートする。
- クーポンによる端末値引きは継続するのか
- 「スマホおかえしプログラム」への適用有無は
まだまだ見えないことがある。
記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。
分離プラン「ギガホ・ギガライト」の契約は不要
このように、2019年6月から分離プラン「ギガホ・ギガライト」・「スマホおかえしプログラム」など、ドコモのプラン・端末販売は大きく変わった。
だた、両者は同時に導入されるだけで、相互に直接的な関係はない。
- 「スマホおかえしプログラム」の端末購入に、「ギガホ・ギガライト」の契約は不要
- 旧プランのままでも、「スマホおかえしプログラム」での端末購入は可能
- docomo with回線でも旧プランを維持すれば、「スマホおかえしプログラム」での端末購入は可能(毎月1,500円引きも継続)
この3点は覚えておこう。
スマホおかえしプログラムでスマホを買っても「docomo with」は維持される
2019年5月31日の旧プランの受付終了に伴い、「駆け込み需要」が発生したのが「docomo with」だ。
ただ、割引の権利を得たものの、何をしたら解除となり、維持するにはどうしたらいいのか気になる方が多いと思う。
2019年6月以降の「docomo with」の扱いをまとめると、以下のようになる。
端末購入 | 分離プランの契約 | クーポン値引き | スマホおかえしプログラム加入 | docomo withの扱い |
---|---|---|---|---|
ハイスペックモデルを購入 | あり | - | - | 不可 |
なし | あり | あり | 可 | |
なし | 可 | |||
なし | あり | 可 | ||
なし | 可 | |||
スタンダードモデルを購入 | あり | - | - | 不可 |
なし | あり | - | 可 | |
あり | - | 可 |
- 「スマホおかえしプログラム」でスマホを買うのはOK
- クーポンなどで割引を受けてもOK
- 新プラン「ギガホ・ギガライト」を契約すると、権利が消失
このように覚えておけばよいかと思う。
- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
実際に契約してみた
その後、2019年9月に「iPhone 11 Pro」を購入した際、実際に「スマホおかえしプログラム」を申し込んだので簡単に紹介しておこうと思う。
といっても、大したものではない。
契約手続き時に「36回払いとスマホおかえしプログラムへの加入を選択する」だけ。
今回「docomo with」回線で申し込んだが、その後の明細から以下が読みとれると思う。
- スマホおかえしプログラムに加入しても、「docomo with」は継続可能
- 「端末等代金分割支払金」として分割金は請求される(=スマホおかえしプログラムの記載はない)
終わりに
携帯電話を当たり前に使うようになって、20年ほど経つ。
この間、通信回線も端末も恐ろしく進化したが、料金プランや端末販売方法はあまり変わらなかった。
1回線に1端末
これが基本的な考え方だったのだが、これが2019年夏に大きく変わる。
僕自身もそうだが、当面は「現状維持」を選択する人が多いはずで、大きな混乱はないはずだ。
しかし、2020年に5Gが本格的に展開され始めれば、端末販売が再び活性化するだろう。
僕はシステムの世界で仕事をしているので、ユーザーがいつまでも古い端末・システムに留まると困る。
古いものを維持するにもコストがかかるからで、新しいものに切り替わって行くことで、進化が促進するし、より多くの人の生活が便利になる。
「スマホおかえしプログラム」の根底にある思想は、
一定期間で最新モデルに買い替えて欲しい
ということだろう。
僕自身はこれを高く評価しているので、このビジネスモデルが成功することを願っている。
- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
ドコモでスマホを買うならオンラインショップがおすすめ
購入手続きはオンラインショップで行うのがおすすめです。
利用するメリットは、以下のようなものがあります。
- 24時間受付可能
- 2,750円以上の購入で送料無料
- 全手続きで事務手数料が「完全無料」
- キャンペーンが多い
- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
ドコモ最新キャンペーンページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください!
注目の料金プラン「ahamo」・「5Gギガホプレミア」
2021年3月以降、料金プランが大きく変わります。ほとんどの方はプラン変更する価値があるので理解しておきましょう。
「ahamo」が目立っていますが、1,000円値下げされて、テザリング込みで「データ通信無制限」の「5Gギガホプレミア」はヘビーユーザー要チェックプランです
元携帯ショップ店員の僕も驚くようなプランで、各社同種のプランを出しましたが、以下の記事で詳しく解説しています
- ドコモ料金をdカード払いで2年縛りの違約金1000円が0円に
- ドコモ通信料の節約方法を知りたい方はこちら
20年以上ドコモを契約している管理人が、これまで書いて来たサービスの解説・お得な使い方などを、ドコモカテゴリートップページでは整理して紹介しています。
▼以下の画像をクリック!
色々議論はあると思うけど、僕はこの新しい購入方法が成功して欲しい!