日本では2010年頃からドコモが「おくだけ充電」という名前で普及を図っていた、ワイヤレス充電(Qi)。
日本国内で販売されるAndroidスマートフォンでの採用事例は多かったが、普及しているとは言い難かった。
そんな状況が変わったのは、2017年9月に発表された「iPhone 8」と「iPhone X」でQi方式のワイヤレス充電が採用されたこと。
このことで、対応製品は一気に増えたのだが、多くの方はワイヤレス充電に対してこんなイメージを持っていると思う。
そのイメージは確かに正しいのだが、最新規格の「Qi ver.1.2.4」は15W(Extended Power Profile)していることをご存じだろうか?
充電器・スマホ双方が対応していないと使えないのだが、今回環境が整ったので充電速度比較してみた。
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ワイヤレス充電の高速充電(急速充電)規格はややこしい
ワイヤレス充電(Qi)は、冒頭に記載した通り最新規格の「Qi ver.1.2.4」で15W(Extended Power Profile)を採用している。
ただ、一言で「高速充電」といっても非常にややこしく、
- ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)に申請した出力
- メーカー独自で対応した高速充電
この2種類が存在している。
例えば、「Pixel 3」はWPCの管理上、5W(Basic Power Profile)にしか対応していない。
しかし、純正のワイヤレス充電器と言える「Pixel Stand」を利用すると、10Wの高速充電ができる。
iPhoneシリーズも「iPhone 8」以降、ワイヤレス充電に対応しているが、WPCの管理上は、5W(Basic Power Profile)にしか対応していない。
しかし、iPhoneも対応する充電器を使えば、7.5Wの高速充電が可能となる。
スマホ毎のワイヤレス充電出力一覧(一部機種のみ)
参考までに、充電するスマホとワイヤレス充電時の最大出力を、ざっくりまとめると以下のようになる。
製品名 | 最大出力 | 備考 |
---|---|---|
iPhone 8以降のiPhone ※iPhone XSなど |
7.5W | 7.5W充電は対応する充電器のみ |
Galaxy S8以降のGalaxy | 9W | 9Wは対応する充電器のみ |
Google Pixel 3/Pixel 3 XL | 10W | 10W充電はPixel Standのみ |
HUAWEI Mate 20 Pro | 15W | Extended Power Profile対応 |
上記以外 | 5W | Basic Power Profile |
Xperia XZ3は高速ワイヤレス充電(Extended Power Profile)に対応した数少ないモデル
高速ワイヤレス充電(Extended Power Profile)に対応していれば、高速充電できるのは分かったとして、問題は対応製品がどれくらいあるのか?
日本国内でわりと簡単に入手できるスマホだと、SONYが販売する「Xperia XZ2」と「Xperia XZ3」だろうか。
この2モデルは11Wでの高速充電に対応している。
5W(Basic Power Profile)に比べれば、数値上は2倍以上の速度で充電出来ることになる。
- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
高速ワイヤレス充電と通常の充電を比較してみた
というわけで、早速実験。
今回利用するのは、環境毎に以下の製品を利用した。
充電するスマホ | Xperia XZ3 SO-01L |
---|---|
高速ワイヤレス充電器 | Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad |
通常のワイヤレス充電器 | RAVPower RP-PC013 |
いずれの充電器も、以前当ブログで紹介したワイヤレス充電器だ。
測定条件は以下のような感じとした。
- バッテリー残量が10%の状態から充電
- 2時間充電する
- 30分毎に充電状況をチェック
【5W】通常ワイヤレス充電の測定結果
測定結果は以下のような感じだった。
充電時間 | 5W充電 |
---|---|
30分 | 27% |
60分 | 46% |
90分 | 63% |
120分 | 76% |
【11W】高速ワイヤレス充電の測定結果
測定結果は以下のような感じだった。
充電時間 | 11W充電 |
---|---|
30分 | 39% |
60分 | 65% |
90分 | 83% |
120分 | 93% |
11Wと5Wワイヤレス充電の測定結果比較とまとめ
測定結果を、まとめて比較すると以下のようになる。
充電時間 | 5W充電 | 11W充電 |
---|---|---|
0分 | 10% | 10% |
30分 | 27%(+17) | 39%(+29) |
60分 | 46%(+19) | 65%(+26) |
90分 | 63%(+17) | 83%(+18) |
120分 | 76%(+13) | 93%(+10) |
スペック上は5Wと11Wなので、2倍以上早いと思われたが、あくまでも机上の話ということは分かった。
しかし、同時に言えることは、
ということだ。
また、高速ワイヤレス充電は以下のような傾向があるようだ。
- 充電開始後、1時間程度は最大出力で充電する
- 徐々に出力が落ちていく
- 満充電に近づくと、5Wと充電とほぼ変わらない速度になる
これらの特徴は、USBケーブルを使用した急速充電でも同じで、これはバッテリーに対する負荷を下げる目的があるそうだ。
なので、高速ワイヤレス充電における、バッテリーの熱暴走や爆発のリスクはゼロではないが、それはケーブルを使用した充電と同じと言える。
せっかく対応するスマホを利用してるなら、ワイヤレス充電器も対応する製品にした方が、便利だろう。
終わりに
冒頭でも記載したが、ワイヤレス充電の規格は本当にややこしい。
- ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)に申請した出力
- メーカー独自で対応した高速充電
どうしてこんな分断が発生するのか理解できないし、だからこそ「将来性が危ぶまれる規格」というイメージは拭えなかった。
しかし、今回の検証で「性能はちゃんと保証されている」ということだけはよく分かった。
対応するスマホを持っている方は、是非高速ワイヤレス充電を利用して欲しいと思うが、それ以上に思うのは、
ということだろうか。
なんとかして欲しいものだ……。
▼この記事で紹介した高速ワイヤレス充電器
- 公式ショップだから安心して購入できる
- 機種変更は「モバイル回線からの注文のみ可能
ワイヤレス充電器のおすすめモデル・選び方
「iPhone 8」および「iPhone X」の対応以来、ワイヤレス充電器が増えています。おすすめモデルや選び方は以下の記事をご覧ください。
- 高速充電規格に対応していること
- 大型またはスタンドタイプであること
- 構造上壊れにくいので、熱対策をしているなど値段より品質重視
その他のおすすめ製品
▼スタンドタイプかつ横向きで対応で、動画みながら充電できます▼iPhoneと第2世代AirPodsが同時充電できる!
▼ワイヤレス充電は車で使うのが一番便利!
USB充電器ならUSB PD対応のマルチポート充電器がおすすめ
ワイヤレス充電は便利ですが、速度や複数台の充電性能では劣るので、マルチポート充電器を1つ持っておくと便利です