サポートが充実して、安心して使える格安SIMが欲しい
2015年あたりからデータ通信回線を中心に増え始めた「格安SIM」は、2024年現在すっかり一般的な存在になった。
しかし、大手キャリア(ドコモ・au・SoftBank)において端末・料金プランによる差別化が難しくなり、同質化が進んだのと同様に「格安SIM」にも同じ波が訪れている。
そんな話もよく聞くし、実際僕もそう思う。
このような状況になった今、僕が「格安SIM」の選定基準にあげるのは以下の2つ。
- 大手キャリアの子会社であるなど、キャリアとの関係性が強い
- 老舗企業
前者の代表格は、サブブランドの「Y!mobile」と「UQ mobile」だろう。
そして、後者の代表格は今回紹介する「IIJmio」。
この記事では以下を紹介しようと思う。
- IIJmioの概要
- データ通信のシェアサービス、eSIMサービス
- 気になる通信速度
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「IIJmio」の概要
「IIJmio」は株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供する、個人向けの通信サービス。
ネット系に詳しい方でないと「IIJ」は耳慣れない会社名かもしれないが、1990年代から日本のインターネット接続サービスを「作りあげてきた企業」の1つ。
例えば、光ファイバー網や携帯電話の基地局など、物理的な回線は持たないが、「接続技術」に関しては日本一というか、IIJが作った技術を他社もほぼ使っていると言っていいくらいだ。
そんな企業が、LTE対応の接続サービスを提供しはじめたのは「2012年」。
まだ「格安SIM」なんて言葉すら存在しない時代から、実はサービスを提供している。
「IIJmio」は、格安SIMの親ともいえる「MVNE(仮想移動体サービス提供者)」という数少ない存在。
例えば有名な話だが、ビックカメラで販売される「BICSIM」はIIJが回線を貸す形でサービスを提供している。
だからといって回線が速い、安定しているという話にはならないが、格安SIMのサービスを知り尽くしていることがポイントだ。
- 新端末、サービスなどによる技術検証が早い
- 新サービスの導入が早い
これが最大の特徴と言えるだろう。
「IIJmio」は格安SIM業界を引っ張る「業界のリーダー」としての情報発信が豊富
格安SIMは、ざっくり言えば「大手キャリアの回線を借りて」サービスを提供している。
このため、ある程度情報共有はされるにしても、回線の仕様変更、新端末・新OSでの動作検証などが遅れがちになる。
「IIJmio」はこの辺りの課題を理解した上で、「格安SIM」利用者全てにメリットのある情報を提供している。
- 通信速度
- 料金プラン
このあたりに大きな特徴はなく、あえて言えば複数回線契約による「データシェア」が使いやすいと思う。
しかし、大手キャリアが「データシェア」の仕組みを減らしているように、1回線あたりの料金が分かりづらくなる欠点もある。
公式ブログ「てくろぐ」・イベント「IIJmio meeting」による最新情報発信
「IIJmio」と他社が大きく異なるのは、技術情報の発信が豊富であること。
技術者ブログなので、少し読解力が必要になるが、最新端末・OSでの動作確認結果や技術情報をなるべく分かりやすく発信してくれている。
また、WEBページ・SNSによる情報発信だけでなく、「IIJmio meeting」というイベントを定期開催して、格安SIM業界の動向なども伝えている。
2019年11月現在は25回開催されており、直近では「2019年10月」に開催された。
eSIMなど他社に先駆けた新サービスの導入
情報発信だけでなく、最新サービスの提供も「IIJmio」が一番ということが多い。
格安SIMは大手キャリア(MNO)の回線を使ってサービスを提供するため、他社にどこまで開放するかは、大手キャリア(MNO)の裁量となる。
今や当たり前になった「格安SIMによる音声通話サービス」も、かつてはできなかった。
IIJmioでは「みおふぉん」と呼んでいるが、記憶が正しければ「音声通話サービス」もIIJmioが最初に導入し、徐々に他社に広がったはずだ。
2024年11月現在でいうと、「eSIM」を使ったモバイルデータ通信サービスを提供しているのは、IIJmioのみ。
- データ通信しか使えない
- 音声通話は使えない
- QRコードをカメラで読む込む以外のインストール手段がない
「ベータ版」と位置付けているが、技術的な問題もあるものの、大手キャリア(MNO)が解放していないことが最大の原因といえる。
IIJは業界団体を通じて提言を行っているし、2020年から本格的に開始する5Gに関して「5GのMVNO(格安SIM)サービスのあり方」についても実は動いている。
興味のある方は以下の資料を見て欲しい。
複数回線契約時のデータシェアが便利
2024年現在、「IIJmio」の料金プランは他社と比較して大きな特徴はない。
あえて言えば、ドコモが「ギガホ・ギガライト」を導入する前に重視していた、家族利用を想定した「シェアプラン」が充実している。
利用できるプランと回線数をまとめると以下のような感じだ。
追加SIMカード利用時は「追加SIM利用料(月400円)が発生します。
プラン名 | 最大回線数 | SIMカード追加手数料 | 追加SIM利用料 |
---|---|---|---|
ミニマムスタートプラン | 2 | 2枚目から発生 | |
ライトスタートプラン | |||
ファミリーシェアプラン | 10 | 4枚目から発生 |
2024年現在、大手キャリアと格安SIMは以下のような役割分担になりつつある。
- 高速大容量データ通信なら「大手キャリア」
- 小容量のデータ通信なら「格安SIM」
このため、各社大容量プランはあまりアピールしなくなってきているが、「IIJmio」はファミリーシェアプランとデータオプションを積極的にアピールしている。
IIJmioを使った感想
以降は、「IIJmio」の通信速度など、肝心の使い勝手に関して僕の感想を紹介する。
利用したスマホは、格安SIMユーザーとしては2024年現在トップクラスに多いであろう、「iPhone 7」。
また、IIJmioはdocomo・au回線を提供しているが、今回はdocomo回線で検証を行った
大前提として、格安SIMである以上、親回線となる大手キャリアのサービスを超えることはないということはご認識いただきたい。
- 通信速度はそれほど速くない
- AndroidはAPN設定、iOSはプロファイルインストールなど利用前に設定作業が必要
このあたりは、IIJmioに限らず、大手キャリアと比較した格安SIM共通の弱点だ。
そんな中で僕が使って感じた特徴は以下の2点。
- 通信速度は「格安SIMクオリティ」平日ランチタイムは遅い
- 岡山県倉敷市の計測で「下り5〜10Mbps」程度
通信速度は「格安SIMクオリティ」平日ランチタイムは遅い
まず、一番重要な通信速度について。
これは、「格安SIM」としては一般的なクオリティだった。
格安SIMの一般的なクオリティとは僕の認識では以下。
- 平日昼間(主に12時〜13時)は遅い
- 平日の朝も遅い(通勤ラッシュ)
- 21時〜23時くらいも遅い
- 上記以外の時間なら、平均して「10Mbps程度」で通信できる
Y!mobileやUQ mobileなど「サブブランドは反則的なクオリティ」とよく言われるが、それはサブブランドは上記時間帯でも普通に通信できるから。
岡山県倉敷市の計測で「下り10Mbps」程度
それを踏まえて、僕が測定ツールで計測した通信速度をみて欲しい。
時間帯 | docomo回線 | |
---|---|---|
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
平日 午前6時台 | 19.99 | 3.52 |
平日 午前8時台 | 1.68 | 3.53 |
平日 午前11時台 | 17.17 | 5.28 |
平日 午後12時台 | 0.58 | 6.05 |
平日 午後13時台 | 3.73 | 2.41 |
平日 午後21時台 | 1.86 | 4.67 |
鮮明に読みとれるのは、ランチタイムで混み合う平日12時〜13時は、速度が著しく落ちるということ。
これは、格安SIM全般にいえることだが、IIJmioも例外ではない。
個人的な印象では、1Mbpsと速度は落ちるものの、SNSの閲覧程度なら「我慢できるレベル」だった。
また、「IIJmio」の特徴的なサービスとして、専用アプリ「IIJmioクーポンスイッチ(みおぽん)」があり、高速通信・低速通信の切り替えが可能だ。
低速通信時は契約したデータ通信量を消費しないメリットがあるので、通信速度が低下する平日ランチタイムなんかは、いっそのこと低速通信に切り替えるのもりだろう。
そうすることで、データ通信量の節約ができる。
終わりに
「IIJmio」のサービスは、2024年現在としては特筆するほどの特徴はないのだが、格安SIMの普及前からサービスを提供しているという「安心感」が最大の魅力だ。
個人的に、今の格安SIM業者は増えすぎたと思っている。
5Gが普及し始めると、格安SIM業界も合従連衡が今以上に増えると思われるが、どんな状況になっても「残る」と思うのがIIJmioの強みだろう。
格安SIMは今や、スマホなどのガジェットや通信サービスに精通した「詳しい人」向けサービスではなくなった。
- ちゃんと使える
- サービスを安定して提供してくれる
- サポート情報が充実している
こうした「安心感」を重視したい方は、「IIJmio」を契約してみることをおすすめする。
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