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eSIM(イーシム)とはどんなもの?日本国内で使える?Apple Watch・iPhoneで使ってわかったことを徹底解説

2017年9月に発売された「Apple Watch Series 3」以来、Cellular版ならiPhoneなしでもモバイルデータ通信が可能となった。

この仕組みを実現したのは「eSIM」という規格に対応したためなのだが、Apple Watchの対応後、日本ではイマイチサービスが広がっていない。

2018年9月に発売した「iPhone XS」はデュアルSIMに対応し、2枚目のSIMとして「eSIM」が採用されたが、それでも状況は変わらない。

そんな状況が長く続いていたが、「本命に近いeSIM」サービスが2019年7月になってようやく始まった

格安SIM大手の「IIJmio」が開始した「データ通信専用SIM eSIMプラン」というサービスだ。

そもそも「eSIM」ってなんなの?

と思う方も多いだろうし、僕もちゃんと理解できていなかったので、ようやく脚光を浴び始めた「eSIM(イーシム)」という技術について、僕なりに調べてみたので紹介しようと思う。

この記事の掲載内容は、2020年10月30日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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「eSIM(イーシム)」ってなに?

eSIMではなくSIMカードが主流の日本

「eSIM」とは、携帯通信事業者の業界団体「GSM Association(GSMA)」が仕様を策定した、SIMカードをソフトウェア化し、端末画面上で複数のキャリアを選択できる規格

「e」は「embedded(エンベデッド):組み込み」を意味しており、雑に訳せば「組み込みSIM」という意味。

つまり簡単にいえば、

物理的なSIMカードなしで、モバイルデータ通信できるようになるサービス

という感じだろうか。

元々「eSIM」というのは、車両や建設機械などの基盤にSIMの機能を備え付けた、いわゆるM2M機器への組込SIMカードという意味合いが強かった。

スピードよりも安定性が重視されるので、LTEカテゴリー1(LTE Cat.1)を利用するものが多かったそうだ。

  • 規格としては古いもので固められている(こなれているため価格も安い)
  • 通信速度が上り最大5Mbps、下り10Mbps
  • 低消費電力

このような特徴を持っており、スマートフォンで主流の高速データ通信とは一線を画している。

しかし、2019年現在は「物理的なSIMカード」をソフトウェア化して、置き換えるという意味合いの方が一般的には強くなっている

RSP(リモートSIMプロビジョニング)に対応したSIMサービス

iPhoneでDSDS

SIMカードがソフトウェア化するメリットは、「書き換え可能になる」ということだ。

例えば、携帯キャリアを変更したとき、通常はSIMカードを交換することになる

  • ドコモなら「ドコモのSIM」
  • SoftBankなら「SoftBankのSIM」

という感じで、物理的に分かれているためだが、書き換え可能になると、SIMカードの交換が不要になる。

このような仕組みを「RSP(リモートSIMプロビジョニング)」という。

このRSPもさらに2パターンあり、「M2Mモデル」と「コンシューマーモデル」があるのだが、この記事では「コンシューマーモデル」を対象に解説する

「eSIM」が普及すれば、海外渡航時の「SIMカード購入」が簡単になる

iPhoneでQRコードを読みこむ

「コンシューマーモデル」における、「eSIM」の用途として一番分かりやすいのは、海外渡航時に「現地SIM」を契約するケースではないかと思う。

2019年現在、海外渡航時に通信サービスを利用する場合、主に以下の3パターンある。

海外渡航時の通信手段
  1. 日本からあらかじめ「Wi-Fiルーター」をレンタルしていく
  2. ドコモなど大手キャリアが提供する、「国際ローミングサービス」を利用する
  3. 現地でSIMを購入して契約する

1番と2番は、海外旅行など「短期利用」で多いケースだ。

3番は契約手段によって、短期利用・長期利用色々あるのだが、現地でSIMを購入するという「手間」がかかる

この点、「eSIM」の場合は海外に到着して、iPhoneなどスマホ画面上から、利用可能な通信キャリアを選択し契約すれば、SIMカードを入れ替えることなく、現地キャリアで通信が可能となる

「eSIM」と「Apple SIM」は何が違うのか?

Apple SIM

このような説明をすると、Apple製品に詳しい方は、iPad Proが対応していた「Apple SIM」を想像する方がいるかもしれない。

「eSIM」と「Apple SIM」は、基本的には同じ仕組みと思えばよい。

しかし、「Apple SIM」はiPad Proの画面上から、通信契約して即時利用できる仕組みだったが、Appleと提携した携帯キャリアしか選択できなかった

日本においては「KDDI(au)」が提携キャリアだったのだが、「eSIM」はGSMAが作成した国際標準規格なので、Appleとの提携に依存せずサービスが提供できる。

チー
「Apple SIM」がオープンになり、幅広く使えるようになったのが「eSIM」くらいの理解でよいと思う

日本ではApple Watchや格安SIMとの組み合わせが中心

eSIM対応でLTE通信に対応(Cellular版のみ)

しかし、日本ではこの「eSIM」というサービスあまり知られていない。

「eSIM」が脚光を浴びたのは、2017年9月に発売された「Apple Watch Series 3」が対応した時だ。

従来iPhoneとセットでしか通信できなかったApple Watchが、単体で通信できるようになる技術として「eSIM」が採用された

Apple WatchのApple Pay起動はサイドボタン2度押し

ただ、このサービスはドコモなど大手キャリアでのみ提供されており、大手キャリアでiPhoneを利用している場合の、「サブ回線」という位置付けのものだ

など対応機種が限定されており、料金をみても「オプションサービス」という感じになっている。

キャリア サービス名 月額利用料(税込) 登録手数料(税込)
docomo ワンナンバーサービス 550円 550円
au ナンバーシェア 385円 0円
SoftBank Apple Watchモバイル通信サービス 385円 0円

このため安価と言えば安価だが、本来の「eSIM」とはちょっと違うと思う。

そんな状況が長く続いていたが、「本命に近いeSIM」サービスが2019年7月になってようやく始まった。

格安SIM大手の「IIJmio」が開始した「データ通信専用SIM eSIMプラン」というサービスだ。

iPhoneと格安SIMの「データ通信専用eSIM」の登場

IIJmio(みおふぉん)「データ通信専用SIM eSIMプラン」

IIJmioの「データ通信専用SIM eSIMプラン」は僕自身実際に契約して使ってみた。

iPhoneを操作することでセットアップが完了するまでは行かないが、「アクティベーションコード」と呼ばれるQRコードを、他デバイスの画面に表示しiPhoneで読み込めばあっさりセットアップが完了した。

チー
思った以上に簡単に使えたよ!
個人と会社の回線でデュアルSIM

iPhoneのデュアルSIM対応

モデル名 モデル番号 デュアルSIM対応 備考
nano-SIM
eSIM
nano-SIM
nano-SIM
eSIM
eSIM
iPhone 6s - × × ×
iPhone 7 - × × ×
iPhone 8 - × × ×
iPhone X - × × ×
iPhone XS 全モデル × ×
iPhone XS Max A2104 × × 中国大陸(香港版)
上記以外 × × 日本版を含む
iPhone XR A2108 × × 中国大陸(香港版)
上記以外 × × 日本版を含む
iPhone 11 A2223 × × 中国本土・香港版
上記以外 × × 日本版を含む
iPhone 11 Pro
iPhone 11 Pro Max
A2217
A2220
× × 中国本土・香港版
上記以外 × × 日本版を含む
iPhone SE(第2世代) A2298 × × × 中国本土版
全モデル × × 日本版を含む
iPhone 12 Pro
iPhone 12 Pro Max
A2408
A2412
× × 中国本土・香港版
上記以外 × × 日本版を含む
iPhone 12 A2404 × × 中国本土・香港版
上記以外 × × 日本版を含む
iPhone 12 mini 全モデル × ×
iPhone 13 Pro
iPhone 13 Pro Max
A2639
A2644
× 中国本土・香港版
上記以外 × 日本版を含む
iPhone 13 A2634 × 中国本土・香港版
上記以外 × 日本版を含む
iPhone 13 mini 全モデル ×

一般的な「デュアルSIM対応」とは、スマホ内にSIMカードを2枚挿入できる状態を意味する

しかし、iPhoneにおけるデュアルSIM対応は、

「nano-SIM(SIMカード)」と「eSIM」の組み合わせ

が中心となっている。

この中で特殊なのは、通称「香港版」と呼ばれる、モデル番号「A2104」のiPhone XS Maxとモデル番号「A2108」のiPhone XRだ。

両モデルは、nano-SIMカード2枚による、デュアルSIMに対応している

SIMカードを2枚挿せば手軽にデュアルSIMが実現できるので、技的認証(技的)問題はさておき、海外で購入して日本国内で利用する人も多い。

iPadのデュアルSIM対応(Wi-Fi + Cellular版のみ)

モデル名 モデル番号 デュアルSIM対応 備考
nano-SIM
eSIM
nano-SIM
nano-SIM
iPad(iPad 2および第6世代まで) - × ×
iPad(第7世代以降) - ×
iPad mini 4まで - × ×
iPad mini(第5世代以降) - ×
iPad Air 2まで - × ×
iPad Air(第3世代以降) - ×
iPad Pro(第2世代まで) - × × Apple SIMには対応
iPad Pro(第3世代以降) - ×

iPadのデュアルSIM対応は「Wi-Fi + Cellular版」のみとなる(=Wi-Fi版は対象外)。

そして、iPadに関しては、2015年11月に発売したiPad Proで「Apple SIM」に対応していた

だが、2018年10月に発売した「第3世代iPad Pro」以降のモデルでは、「Apple SIM」ではなく「eSIM」への対応に切り替わっている。

終わりに

iPhoneでDSDS

日本においてはまだまだ普及しているとはいえない「eSIM」だが、iPhoneなどグローバルモデルを中心に、今後対応端末が増えることが期待される。

ただ、懸念されるのは、

大手キャリアはあまりやる気がない

ということだろうか。

「eSIM」はDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)で使われることが多く、データ通信のみ他キャリアに逃げられてはたまらない、という本音が見え隠れしている。

しかし、ビジネスシーンでみれば、プライベートと仕事用の電話番号が1台のスマホで使い分けられるなど、メリットも多い。

「eSIM」が普及することを僕は願っている。

2018年9月以降に発売した、iPhone・iPadは「eSIM」に対応し、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)ができます。

eSIM利用時の注意点
チー
2021年9月についにdocomoも対応!

これで、大手キャリア(サブブランド含む)を含めて、主要キャリアでeSIMが使えるようになりました

iPhoneの対応モデルとおすすめ

とりあえずeSIMを体験するなら、iPhone SE(第2世代)かiPhone 11がおすすめです。

チー
eSIMはモデルによって機能の違いはないので、対応モデルを使っているならまずは使ってみましょう。