Androidの世界では日本においても、わりと一般的になってきたDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)。
2枚のSIMカードを同時に使用して、使い分けができる機能
スマホや通信サービスにあまり詳しくない方はよく分からないと思うが、ガジェット好きなら「ワクワクする」マニアックな機能だ。
グローバルスマホの代表格である「AppleのiPhone」も、2018年9月に発表した「iPhone XS」および「iPhone XR」以降、iPadもほぼ全モデルがデュアルSIMに対応している。
しかし、2つ目のSIMが「eSIM」で、日本ではほぼサービス提供されていなかったため、実質的には使えない状況が続いていた。
しかし、2021年9月にドコモもサービスを提供し、これでサブブランド含む主要キャリアにおいて、eSIMが使えるようになった。
この記事では、以下を紹介しようと思う。
- iPhone・iPadのデュアルSIM対応状況
- 日本の「eSIM」サービス対応状況
- iPhoneでeSIMでのDSDSを使った感想
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「eSIM」ってなに?
本題の前に、「eSIM」というサービスについて簡単に解説しようと思う。
「eSIM」とは、携帯通信事業者の業界団体「GSM Association(GSMA)」が仕様を策定した、SIMカードをソフトウェア化し、端末画面上で複数のキャリアを選択できる規格。
簡単にいえば、
物理的なSIMカードなしで、モバイルデータ通信できるようになるサービス
という感じだろうか。
iPhone・iPadのデュアルSIM対応状況
iPhone・iPadのデュアルSIM対応はわりと早く、2018年モデルから。
ただし、とくにHUAWEIなど中国製スマホは「SIMカード2枚差しのデュアルSIM」であったことに対して、日本のiPhoneは「SIMカードとeSIMのデュアルSIM」だった。
にもかかわらず、日本ではeSIMサービスがまったく提供されていないという……。。
ではなぜ今になって「eSIM」が盛り上がりつつあるのか。
それは2020年に誕生した、菅内閣が携帯料金値下げ・乗り換えの促進を目指し、各キャリアに対して「eSIM」の導入を強く要望したため。
結果、iPhoneの対応から2年たっても一部キャリアが採用するだけだったのに、2021年9月には全キャリアが導入した。
eSIMで乗り換えが促進されるとは思わないが、日本でも普通に使えるようになったことが最大のトピックだ。
モデル毎の対応状況を簡単にまとめてみる。
iPhoneのデュアルSIM対応
モデル名 | モデル番号 | デュアルSIM対応 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
nano-SIM eSIM |
nano-SIM nano-SIM |
eSIM eSIM |
|||
iPhone 6s | - | × | × | × | |
iPhone 7 | - | × | × | × | |
iPhone 8 | - | × | × | × | |
iPhone X | - | × | × | × | |
iPhone XS | 全モデル | ○ | × | × | |
iPhone XS Max | A2104 | × | ○ | × | 中国大陸(香港版) |
上記以外 | ○ | × | × | 日本版を含む | |
iPhone XR | A2108 | × | ○ | × | 中国大陸(香港版) |
上記以外 | ○ | × | × | 日本版を含む | |
iPhone 11 | A2223 | × | ○ | × | 中国本土・香港版 |
上記以外 | ○ | × | × | 日本版を含む | |
iPhone 11 Pro iPhone 11 Pro Max |
A2217 A2220 |
× | ○ | × | 中国本土・香港版 |
上記以外 | ○ | × | × | 日本版を含む | |
iPhone SE(第2世代) | A2298 | × | × | × | 中国本土版 |
全モデル | ○ | × | × | 日本版を含む | |
iPhone 12 Pro iPhone 12 Pro Max |
A2408 A2412 |
× | ○ | × | 中国本土・香港版 |
上記以外 | ○ | × | × | 日本版を含む | |
iPhone 12 | A2404 | × | ○ | × | 中国本土・香港版 |
上記以外 | ○ | × | × | 日本版を含む | |
iPhone 12 mini | 全モデル | ○ | × | × | |
iPhone 13 Pro iPhone 13 Pro Max |
A2639 A2644 |
× | ○ | ○ | 中国本土・香港版 |
上記以外 | ○ | × | ○ | 日本版を含む | |
iPhone 13 | A2634 | × | ○ | ○ | 中国本土・香港版 |
上記以外 | ○ | × | ○ | 日本版を含む | |
iPhone 13 mini | 全モデル | ○ | × | ○ |
一般的な「デュアルSIM対応」とは、スマホ内にSIMカードを2枚挿入できる状態を意味する。
日本では長らく「eSIM」は提供されなかったので、SIMカード2枚刺しできる、「中国本土版・香港版」をわざわざ購入する人も多かった。
しかし、2024年11月現在はdocomoなどの大手キャリア、Y!mobileなどのサブブランドを含め、ほぼ全キャリアがeSIMに対応している。
わざわざ海外版を購入するメリットは薄い
そう言いきってよいかと思う。
iPadのデュアルSIM対応(Wi-Fi + Cellular版のみ)
モデル名 | モデル番号 | デュアルSIM対応 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
nano-SIM eSIM |
nano-SIM nano-SIM |
|||
iPad(iPad 2および第6世代まで) | - | × | × | |
iPad(第7世代以降) | - | ○ | × | |
iPad mini 4まで | - | × | × | |
iPad mini(第5世代以降) | - | ○ | × | |
iPad Air 2まで | - | × | × | |
iPad Air(第3世代以降) | - | ○ | × | |
iPad Pro(第2世代まで) | - | × | × | Apple SIMには対応 |
iPad Pro(第3世代以降) | - | ○ | × |
iPadのデュアルSIM対応は「Wi-Fi + Cellular版」のみとなる(=Wi-Fi版は対象外)。
デュアルSIMにも近年のモデルは対応しているが、電話機能がないため、海外渡航などのケースを除き、活用している人をみかけたことがない(笑)
AndroidのデュアルSIM対応
最後は余談だが、iPhoneのライバルとも言える、Androidの対応状況を簡単に。
日本国内で流通している、Androidは大きく分けて2種類だ。
- ドコモなどのキャリアが販売するAndroid
- SIMフリーで流通するAndroid
前者はiPhoneと同じような対応で、ほぼデュアルSIMには対応していない。例外と言えるのは、Google「Pixel」だけ。
iPhoneと同じく2枚目は「eSIM」なので、ようやく活躍の機会がうまれている。
後者は「中国メーカーのスマホ」が主に対応をしている状況で、日本でも比較的安価に入手が可能。
HUAWEI・OPPOなどが販売するSIMフリー版なら、SIMカード2枚のデュアルSIMが利用できる。
iPhoneでeSIMによるDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)を使った感想
実際のところ、eSIMを使っているのかと問われたら使っている。
僕は「一般社団法人はれとこ」という会社を経営しているのだが、個人用回線と法人用回線は分けている。
具体的には個人はdocomo、法人はY!mobileを利用しているのだが、どちらもSIMカードしかなかったのでスマホ2台を持ち歩いていた。
しかし、今はeSIMが使えるので以下のようにわけることで、iPhoneを1台持っておけばよくなった。
- 個人回線のdocomoは「eSIM」
- 法人回線のY!mobileは「nano-SIM」
一般的なデュアルSIMの用途は、データ専用回線だろうが、会社員の人は、会社スマホを持ち歩く手間が減るというメリットがある。
セットアップ手順はキャリアによるが、基本的には契約手続きが終われば、アクティベーションコードをカメラで読み込むだけですぐに使えるようになる。
思った以上に柔軟な仕組みだ。
具体的には以下の3点。
- 電話は同時に待受できる(個人用・仕事用の使い分けが簡単)
- 電話の発信・着信時に、どちらの番号を使っているかが分かる
- モバイルデータ通信を利用する回線を選べる
電話は同時に待受できる(個人用・仕事用の使い分けが簡単)
iPhoneでDSDSが使えるようになったことを、「めっちゃ便利」と思えた理由として一番大きいのは、個人(プライベート)と仕事用の電話番号を、1台のスマホで使いわけられるからだ。
今や、会社用の携帯・スマホを貸与されることは珍しくなく、僕も会社員時代はよく使っていた(今はフリーランス)。
ただ、「携帯を2台持ち歩く」というのは面倒だし邪魔だ。
かつてドコモが「2in1」というサービスを提供していたが、あんなサービスが欲しいと常々思っていた。
DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)であれば、それが実現できる。
電話の発信・着信時に、どちらの番号を使っているかが分かる
ただ、2つの電話番号で電話が受けられるといっても、どちらの電話番号にかかったのか分からないと、着信時に迷ってしまう。
このあたりも、iOSはちゃんと考慮してくれていた。
DSDSのセットアップ時に、任意の回線名を設定できるのだが、その名前が以下に表示される。
- 着信画面
- 発信画面
- 発着信履歴画面
なので、たとえば個人用・仕事用みたいな名前を付けておけば、知らない番号からの着信でも、「どちらの番号にかかってたんだろう?」と悩むこともない。
モバイルデータ通信を利用する回線を選べる
そして、DSDSのある意味メインといえる、モバイルデータ通信の使い分けだ。
使ってみて、大手キャリアは積極的に導入しなかった理由がよく分かった
DSDSを設定すると、モバイルデータ通信をデフォルト利用する回線を選択できる。
つまり、以下のような使い方が簡単に設定できる。
- 音声通話は「ドコモ」を使う
- モバイルデータ通信は格安SIMを使う
総務省がやっきになって通信料を下げようと、格安SIMへの移行を促進しているが、思いのほか動かない理由の1つは「家族縛り」だ。
LINEなど音声通話手段が増えたとはいえ、「家族間通話無料」のインパクトは大きく、これがあるから携帯キャリアを変えないという人は多い。
しかし、DSDSを使えば、音声通話は大手キャリアにしたまま、データ通信は安価な格安SIMという使い方ができてしまう。
欠点は機種変更など端末が変わった時の移行とSIMロック解除必須なこと
ただ、eSIM利用にも欠点がある。
契約情報を端末内に保存するため、SIMカードと違い、機種変更などで端末が変わった場合に、抜き差しで移動なんてことができない。
毎回オンラインでの手続きが必要で、これはある意味面倒かもしれない。
また、他社回線を使用するという意味で、Appleで購入したSIMフリーiPhoneを利用しているケースを除き、「SIMロック解除」が必須となる。
終わりに
iPhoneで夢のDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)
「夢の」と敢えて表現したが、それくらい便利なサービスだと思う。
是非活用して見て欲しい。
iPhoneで夢の「DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)」環境を作ろう
2018年9月以降に発売した、iPhone・iPadは「eSIM」に対応し、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)ができます。
- 対応モデルでしか使えない
- SIMロック解除が必須
iPhoneの対応モデルとおすすめ
とりあえずeSIMを体験するなら、iPhone SE(第2世代)かiPhone 11がおすすめです。