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IIJmio(みおふぉん)の「データ通信専用SIM eSIMプラン」ってどんなサービス?通信マニアが使って分かったことを、本音でレビュー

eSIM」というサービスをご存じだろうか?

この言葉が一般的になったのは、2017年9月に発売した「Apple Watch Series 3」が対応した時だと思う。

Apple WatchのApple Pay起動はサイドボタン2度押し

簡単にいえば、

物理的なSIMカードなしで、モバイルデータ通信できるようになるサービス

という感じだろうか。

ただ、欠点があり自社で通信網を構築しているMNO(ドコモ・au・SoftBankなど大手キャリア)にしか「eSIM」サービスは提供できず、格安SIMは対象外となっていた

このため、Apple Watchにおいても、eSIMは大手キャリアでしか契約できなかったのだが、格安SIMの初期から新しいサービスを切り開いているIIJmioが、格安SIMでの「eSIM」サービス提供を開始した

まだ「ベータ版」という位置付けで一定の制限はあるものの、早速契約してみたので、その内容を紹介しようと思う。

何がすごいの?わざわざ使うメリットがあるの?

と思う方も多いと思うので、eSIMサービスの可能性を含めて紹介しようと思う。

この記事の掲載内容は、2021年3月28日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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IIJmio(みおふぉん)「データ通信専用SIM eSIMプラン」の概要

IIJmio(みおふぉん)「データ通信専用SIM eSIMプラン」

IIJmioが2019年7月18日から開始した、「データ通信専用SIM eSIMプラン」の概要は以下の通り。

通信網 ドコモ回線を利用
※通信エリアはドコモに依存
通信速度(下り最大) 1288Mbps
通信速度(上り最大) 131.3Mbps
通話 ×
SMS ×
データ通信
テザリング
初期費用(税込) 3,300円
月額料金(税込) 1,672円(6GB)
SIMカード なし(eSIM)

格安SIMとしてはよくあるプランの内容だが、最大の特徴は以下の2点。

  • データ通信専用(音声通話・SMSは利用不可、テザリングは利用可能)
  • SIMカードがない
チー
「SIMカード」がないのに通信できるの?

と思う方も多いだろうが、それを実現するのが「eSIM」という仕組みだ。

\ 2つの回線をお得に使える /

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対応端末はiPhone・iPad中心だがApple Watchは非対応

ドコモ版iPhone XS Maxゴールド 256GB

「データ通信専用SIM eSIMプラン」に対応する機器は、Apple製品を中心に以下のようになっている

SIMロック解除が必須です。

「データ通信専用SIM eSIMプラン」はドコモ回線を使用しますが、ドコモ版iPhoneでもSIMロック解除が必要となります。

分類 製品名
スマホ iPhone XS
iPhone XS Max
iPhone XR
タブレット
※Wi‑Fi+Cellular版のみ
第3世代iPad Pro
第3世代iPad Air
第5世代iPad mini
Surface Pro LTE Advanced
チー
Apple Watchが対応すると嬉しかったけど、「カメラ」がないので対応は難しいらしい
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「eSIM」は物理的なSIMカードなしで、通信できるようになるサービス

SIMカード

最近は家電量販店などで、SIMカードのパッケージが陳列されていることも珍しくないが、通常大手キャリアも含めてモバイルデータ通信を行うためには、SIMカードが必要となる

SIMカードとは、「契約者情報との紐付け情報」を記録したICチップで、通信キャリアはSIMカードの情報もとに契約者を確認し、通信サービスを提供している。

そして、「eSIM」はICチップを使わず、端末(スマホ・タブレットなど)に書き込まれた情報をもとにして、通信サービスを提供する仕組みだ。

理論的な部分はなにも変わらず、物理的なカードがあるか・ないかが大きな違いとなる

ただ、日本では一般的とは言えないサービスだった。

2018年9月に発売された、「iPhone XS」と「iPhone XR」は2つのSIMを同時に使える「DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)」に対応したことが、目玉機能の1つだった

しかし、日本ではサービスが提供されず意味がなかった。

  • 1枚目のSIMは「SIMカード」
  • 2枚目のSIMは「eSIM」

これが、日本で販売されているiPhoneにおける「DSDSの仕様」だったからだ。

香港版はデュアルSIMスロット仕様で、技術的に出来ないわけじゃないのに、日本ではなぜ「eSIM」だったのか?

スマホの場合、物理的な「カードをさす」っていう方が分かりやすいと個人的には思うのだが……。

チー
iPhone販売する大手キャリアの本音としては、「eSIMを使って欲しくなかったんだろうな」と思わざるを得ない
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「eSIMプラン」は大手キャリアと併用できるのが魅力

docomoのSIMカード

ではなぜ「大手キャリアが望まないサービス」なのか?

DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)は、組み合わせは自由だが主に2つ組み合わせが想定される。

  • プライベートと仕事用で音声通話やデータ通信のSIMを分ける
  • 音声通話できるSIM(大手キャリア)とデータ通信専用の格安SIM

前者はよくあるケースだろう。
今や会社用の携帯・スマホを貸与されることは珍しくないが、2台持ち歩くのは面倒なので、これを解消する仕組み(かつてドコモが提供していた「2in1」に近い)。

SIMの交換は面倒くさい

2つ目はスマホ時代らしい使い方だ。
家族間通話などの関係で、電話は大手キャリアを使うが、データ通信だけは格安SIMを使うというもの。

ユーザーにとっては「通信費が下がる」というメリットがある。

しかし、大手キャリアから見れば、データ通信費の収入が減るわけで嬉しくない。

仕組み上は、大手キャリアであれば簡単にできるはずだが、「iPhone XS」の発売から1年近く経っても提供しなかったのは、お互いの首を絞める結果になることが分かっていたからだろう

なので、IIJmioがMVNO(仮想移動体通信事業者)として、この状況に一石を投じた意味は大きい。

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IIJmio「データ通信専用SIM eSIMプラン」の申込と設定方法

IIJmio(みおふぉん)「データ通信専用SIM eSIMプラン」

IIJmio「データ通信専用SIM eSIMプラン」は2024年11月現在は「ベータ版」といことで、WEBページでのみ受付を行っている。

申込みそのものは、一般的なWEBフォームに記入するだけなので、難しくないが簡単に説明しておく。

大きく以下の流れで行う。

申込み手順
  1. WEBからmio会員に登録しeSIMプランの申込みを行う
  2. アクティベーションコードの発行完了後、iPhoneで読み込む
  3. iPhoneで主回線・副回線の設定を行う

WEBからmio会員に登録しeSIMプランの申込みを行う

IIJmio「データ通信専用SIM eSIMプラン」の申込み

まず、トップページにアクセスし、「データ通信専用SIM eSIMプランのページ」へ遷移し申込みボタンを押す。

「eSIMプラン」だけでなく、IIJmioのサービス申込みには「mio会員」になる必要があるため、初めての方は新規会員登録を行う。

会員登録済の方は、個人情報の入力はスキップできます
個人情報の入力

「mio会員」に新規登録する場合、以下の情報を入力する。

  • 姓名
  • カナ姓名
  • ローマ字姓名
  • 生年月日
  • 性別
  • 住所
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • パスワード
  • クレジットカード情報

会員登録情報の入力が完了したら、次は「eSIMプラン」の申込み情報の入力だ。

といっても現在は「ベータ版」で6GB通信できる「ライトスタートプラン」しかないので、プラン選択などは不要。

申込み完了画面

ここまでできて申込み完了だ。

所要時間は不慣れでも15分あれば十分だと思う。

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アクティベーションコードの発行完了後、iPhoneで読み込む

アクティベーションコード発行通知メール

WEBからの申込み完了後、15分程度待つと「アクティベーションコードが発行されました」というメールが届く。

聞き慣れない単語だが、これが「eSIM」プラン独自の手続きとなる。

アクティベーションコードが画面に表示される

「mioID」でログインすると、申し込んだ「eSIM」プランに対応するサービスコードを選択すると、アクティベーションコードのQRコードが画面上に表示された

iPhoneにeSIM情報を読み込ませる

以降は、iPhoneでの設定方法だが、「設定→モバイル通信」と進み、「モバイル通信プランを追加」を選択するとカメラが立ち上がる。

iPhoneでQRコードを読みこむ

そこで先ほどのQRコードを読み込むと、iPhone側設定は完了となる。

これらの作業が一瞬で終わると言うのは、格安SIMの面倒くささを解消するという意味で、凄いなと思った。

チー
ただ、カメラで読み込むために、QRコードを「別の端末」で表示させておく必要があるけどねぇ
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iPhoneで主回線・副回線の設定を行う

カメラでアクティベーションコードを読み込み後は、主回線・副回線の設定を引き続き行う。

僕はメイン回線は「ドコモ」なので、ドコモのSIMカードが元々挿入されている。

任意の回線名称を設定する

デフォルトはドコモ回線が「主回線」、IIJmioが「副回線」という感じになっていた。

基本はこのままでよいと思うが、回線名は任意の名前が付けられるようだ。なので、僕は以下のように入力してみた。

  • 主回線に「ドコモ」
  • 副回線に「IIJmio」

続いて、デフォルト回線の選択を行う。

デフォルト回線の選択

「eSIMプラン」は前述の通り、データ通信専用(=電話とSMSが使えない)なので「モバイルデータ通信にのみ使用」を選択することになる

これでセットアップが完了となり、以下のようになった。

IIJmioがメイン回線
  • 電話とSMSはドコモ回線を使う
  • モバイルデータ通信はIIJmioを使う

アンテナピクトをみると、2回線が同時に表示され、モバイルデータ通信に使用する回線が「上に表示」される

任意の通信サービスに切り替えられる

「eSIMプラン」は基本、バックアップ回線で基本的に使わないなんて人なら、「モバイルデータ通信もドコモを利用する」ように変更すれば、今まで通り利用できる。

ドコモがメイン回線

その場合、上記画像のようにアンテナピクトの表示順が変わる。

020番号が付与されている

ちなみに、「eSIMプラン」で通話はできないのだが、M2M/IoT機器の電話番号「020番号帯」が付与されている。

チー
大手キャリアの回線を、バックアップにして基本は「格安SIM」で通信って使い方ができるのはヤバいなぁ
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iPhoneで夢のDSDSが実現!「eSIMプラン」を使った感想

iPhoneでDSDS

「iPhoneでDSDS」というのは、ある意味夢の環境だったのだが、それが今回「eSIMプラン」で実現した。

では実際の使い勝手はどうなのか?

「eSIMプラン」で実際通信してみたが、基本的なサービス内容はSIMカードを利用したものと全く同じだ。

「eSIMプラン」だから早いとか遅いと言うことはなく、格安SIMらしい動きをする

  • 通信速度は平均「10Mbps程度」で、全体的に「遅い」
  • 平日のランチタイム(12時〜13時)は使い物にならない遅さ
  • 夜間も全体的に「遅い」

僕はドコモがメイン回線なので「遅いな」って思うが、格安SIMとしては平均的な速度だし、これが安い理由なので文句を言う気はない。

ただ、僕は災害発生時のことなどを考えて、常々バックアップ回線を持っておきたいと考えているので、「eSIMプラン」は使いやすいなと感じている

通信障害・災害対策にモバイルのバックアップ回線(サブ回線)を契約しよう

欲を言えば、ドコモ回線だけでなくauやSoftBank回線を使ったサービスも提供して欲しいとは思うが……。

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個人と会社の回線でデュアルSIM

唯一の不満は機種変更時に「有償で再発行」になること

アクティベーションコードは都度発行

「eSIMプラン」はベータ版であり、普及のために「暖かく見守りたい」とは思っている。

ただ、正式版に向けてこれだけはなんとか解消して欲しいと思う。

今回、僕はメインスマホである「iPhone XS Max」にeSIMプランをセットアップした。

物理的なSIMカードがないので、本体内にSIMカードに相当する情報が保存されているのだが、機種変更時はどうなるのか?

「eSIMプラン」はアクティベーションコードの再発行が必要となる

しかも、「SIMプロファイル1つにつき税込2,200円」の有償……。

機種変更以外でも、以下のようなケースではアクティベーションコードの再発行が必要になる。

再発行が必要なケース
  • 誤って通信設定を削除した
  • スマホが故障などで、本体交換になった
  • 機種変更した

SIMカードなら差し替えれば終わりで、もちろん手数料も不要だ。

チー
これはさすがにややこしいといわざるを得ない……。

終わりに

IIJmio(みおふぉん)「データ通信専用SIM eSIMプラン」

スマホが進化し通信手段は多様になったが、その結果「選択肢が多くてわからない」という人が増えている。

格安SIM」も名前が知られてきた2015年頃は、データ通信に特化したサービスで2台目需要に応えていたが、2024年現在は音声プランとスマホをセットで販売し、大手キャリアと変わらない販売方法が主流となった

市場が求めた結果だと思っているが、「データ通信専用SIM eSIMプラン」は対応端末を既に持っていることが前提となり、サブ回線として使う方が多いだろう。

格安SIMサービスの原点回帰

とも思えるわけで、導入ハードルは少々高いものの、僕はこのサービスが普及して欲しいなと思った。

今は僕のようなガジェットや通信サービスに詳しい人が使うサービスと思うが、色んな人がフィードバックすることで、「正式サービス」になるときはより便利になるのではないかと思う。

興味ある方、是非使ってみてください!

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