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MVNO(格安SIM)の音声通話SIM契約時の注意点は「契約縛り」。縛りなしと思ってませんか?

料金が下がるのはユーザーには分かりやすいメリット

MVNO(格安SIM)って契約縛りがないと思ってませんか?

先日会社の人から、「とりあえず電話出来る端末がもう1台欲しいので、格安SIMで契約しようと思うがどうなん?」というような質問を受けた。

データ通信端末だけでなく、音声端末としてもMVNO(格安SIM)を検討する人が増えているのだなぁと実感したが、やはり「安い」・「契約縛りがない」というメリット部分だけが1人歩きしている印象がある。

というのも、

音声契約だとほとんどのMVNOでは1年縛りがある

という話をしたら、「えっ」って顔をしていたからだ。
MVNOもMNOのように、契約が複雑化している理由とその内容を紹介しようと思う。

この記事の掲載内容は、2020年12月23日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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複雑化するMVNO(格安SIM)の契約内容

MVNO(格安SIM)という名前をよく聞くようになってきた2013年頃。メリットとしてあげられたのは以下のようなものだった。

  • MNO(docomo・au・SoftBank)に比べて通信料が割安
  • いわゆる2年縛りと言われる、契約期間の縛りがほとんどない
  • SIMフリー端末が活用出来る

このメリットは今でもそれほど変わってはいないが、当時MVNOはデータ通信専用という位置付けで、音声通話(電話)は使えなかった。

しかし、2014年から音声通話も可能となり、MNPによる転入・転出も出来るようになったのだが、同時に契約が徐々に複雑化してきた。具体的には、音声契約だと1年程度の契約縛りが発生するようになってきた。

また、2014年日本通信がVAIO Phone(バイオフォン)を発表し、その端末が微妙すぎて大荒れ。「バイオハザード」なんて揶揄される事象が発生した。

ただ、端末はともかく、MVNOである日本通信が発表した理由として、ユーザーを契約で縛ってしまいという本音が見え隠れしていた。

他のMVNOも今や端末とセットで販売するシーンは珍しく無くなっており、日本通信がVAIO Phoneでやっている事は、大手キャリアがiPhoneを売る方法と同じ。

結局大手キャリアと同じ方向に向かっているわけで、「契約縛りなしに安価に使える」というメリットが徐々になくなってしまうのではないかと僕は感じた。

要するに入口は広げるが、出口を狭めようとしている。

苦しいMVNO(格安SIM)の台所事情

MVNOビジネスは厳しい
MVNOビジネスは厳しい

MVNOとしては折角契約してくれた顧客を手放したくないから、契約縛りなどで出口を狭めるというのは企業としては当然の方針だ。

ただ、その方法が段々姑息になって来ている気配も感じる。例えば、2014年に発表されたワイヤレスゲートの音声SIM。

音声SIMでありながら、最低契約期間や違約金の設定を設けない事を売りにしているが、このSIMには1つ罠がある。

MNPで転出する際には、契約期間にかかわらず一律1万1880円の手数料が発生する。これはMNPの弾(MNPでの新規契約が優遇されるため、契約後すぐにMNPできるような回線を用意する事)となる事を防ぐ目的だろうが、それでも一律1万1880円というのは高いし、最低契約期間を設けないというキャッチコピーと相反するものだ。

ただ、こういう事をしなければMVNOの事業が成り立たなくなりつつある事も事実なのだろう。docomo回線の接続料(ドコモ卸定額通信料)に依存するというビジネスモデルも含め多くのMVNOは採算がとれなくなってきているのだと思う。

そうなれば、手数料などで小金稼ぎをするか、端末の販売も手がけてそこで利益を出すと同時に、契約期間の縛りを設け長く使ってもらうしかない。

MVNOは低価格を売りにし、実質的な料金を下げることでユーザーを増やして来たため、値上げへの抵抗感はかなり強い。また、仮に値上げしてもMNOよりは絶対に高く出来ないため、価格設定の自由度は非常に低い。

MNOはもはや完全にチキンレースとなっており、どこかが値下げすればすぐさま追随するため、MNOが値下げするとMVNOの立場はさらに危うくなる。

感覚的には、MNOの半額以下で運用出来なかったらMVNOのメリットはほぼ消失してしまうと思う。

音声SIMには契約縛りがある

前置きが長くなってしまったが、MVNO(格安SIM)においては契約縛りの有無が、プランによって異なる、ということを知っておいて欲しい。

大体はこんな感じだ。

契約種別 契約縛り
音声通話SIM あり(大体は1年)
データ通信SIM なし
データ転送SIM(SMS付) なし

ポイントは音声通話SIMになると契約縛りが発生するということだ。
違約金は1万円〜1万2千円程度が多く、契約期間が長くなるにつれて減算する方式が主流となっている。
※契約月が12,000円で、以後1ヶ月経過毎に1,000円減算される

2017年現在主流の契約縛りは1年。
ただし、これは端末購入とは別の話で、MVNOも今や大手キャリアと同じく端末購入をセットにしたプランを導入している。

こちらになると、大体の端末は、

  • 2年間の分割購入
  • 一括購入

の2択になり、大手キャリアと全く変わらない感じになる

終わりに

2013年からAppleがiPhoneのSIMフリー版を正規販売するようになり、一気に普及してきたMVNOだがわずか1年で微妙になって来たように感じる。

実際僕は何社か使って来ているが、品質面ではMNOの遠く及ばず、安いなりのものになって来た印象が強く、サブ回線ならともかくメイン回線として使うのは厳しいと思うようになってきた。

「これからはMVNOだ!」って思っていた時期も確かにあったのだが、業者の乱立、サービス品質の低下などから、やはりそろそろ淘汰が始まる気がする。この状況、インターネットが本格的に普及してきた2000年頃の、ISP(nifty・So-netなどのいわゆるプロバイダー)戦争の時代を彷彿させる。

その後は、現在ISPに当たり外れがほとんど無いように、時間の経過で程度平準化するのだろうが、そうなるにはもうしばらく時間が必要な気がする。そういう意味で、データー通信だけならともかく、今音声契約までMVNOに移転するのはかなりリスキーだなと思う。

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