iPhoneが日本に上陸した2008年。
当時「ガラケー」が普及していた日本では、以下の3機能に対応していないiPhoneは、日本では普及しないと言われていた。
- おサイフケータイ(非接触ICカード決済)
- 防水
- ワンセグ
結果的に、日本は世界で一番iPhoneが普及している国になったわけだが、おサイフケータイと防水はiPhoneにも導入される。
2016年に発売した「iPhone 7」シリーズが、日本で普及するFeliCa(フェリカ)方式に対応し「Apple Pay」が日本に本格上陸した。
- ICカードの総称としての「Suica」
- おサイフケータイ
- 非接触ICカード決済
- FeliCa(フェリカ)
- Apple Pay
日本では様々な名前で呼ばれ、規格が乱立したことにより、ややこしい・面倒と思う人も多いが、ガラケー時代のおサイフケータイは確かにややこしかった。
特に面倒だったのが「機種変更に伴うデータ移行」で、僕もこのタイミングでやめてしまったのだが、Apple Payは後発サービスゆえに、おサイフケータイの悪しき文化を全く引き継いでいない。
一度セットアップすれば、快適なキャッシュレス生活が待ってるよ
この記事では、キャッシュレス大好きな僕がApple Payに関して、以下を紹介しようと思う。
- Apple Payが使える製品
- 使えるICカードの種類と設定方法
- 機種変更に伴うデータ移行は面倒なのか?
- Google Payやバーコード決済(QRコード決済)と比較して、どちらが便利か
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Apple Payが使える製品はiPhoneとApple Watch
Apple Payというサービスは、アメリカではかなり昔から始まっているのだが、日本で利用できるようになったのは2016年9月に発売した、iPhone 7およびApple Watch Series 2以降。
対応モデルは以下の通り。
- Apple Watch Series 2
- Apple Watch Series 3
- Apple Watch Series 4
- Apple Watch Series 5
これらの製品を利用していれば、あとはモデル関係なく同じように利用できるのだが、1つだけ注意点がある。
- iPhone 7シリーズ
- Apple Watch Series 2
を利用する時に、海外モデルは対象外なので、海外版SIMフリーモデルを利用する際は注意して欲しい。
iPhone 6s・SEユーザーはApple Watchを使おう
また、日本でも2024年現在もユーザーが多い製品でいうと、iPhone 6sとiPhone SEは非対応であることに注意して欲しい。
ただ、誤解されがちだが、iPhone 6s・SEユーザーでも、Apple Payは使える。
iPhoneだけで言えばそうなのだが、Apple Watchが対応していれば使うことができる。
- iPhone 6sとApple Watch Series 2
- iPhone SEとApple Watch Series 3
みたいな組み合わせでの利用はOK。
iPhoneとApple Watchどちらで使うのが便利?
Apple PayはiPhoneとApple Watchの両方で使うことができる。
そんな風に考える方もいるかもしれない。
実際僕は、iPhoneもApple Watchも使っているので、Apple Payは両方とも使えるし、使い分けている。
僕の場合、元々iDなどおサイフケータイはよく使っており、2024年現在は個人事業主として生活しているので、基本的な利用方針は以下のようになる。
- iD・QUICPayはメインカード中心に利用設定を行う
- Suicaは個人用と事業用で分ける(2枚のカードを別々に設定)
- 新幹線のEX-ICはApple Watchに紐付ける(仕事で乗ることが多いので)
ポイントは、SuicaのメインはApple Watchということだろうか。
ここは試行錯誤した結果のもので、電車に乗る(=長距離移動)時はApple Watchを必ず身につけるし、左手に巻いていても自動改札の通過に全く支障がないため。
Apple Payでできることに関して、詳しくは後ほど説明するが、僕の使い方をまとめると以下のようになる。
用途 | iPhone | Apple Watch |
---|---|---|
iDによる決済 | 全カードを設定 | メインカードのみ設定 |
QUICPayによる決済 | 全カードを設定 | 設定 |
Suica(ICカード乗車券) | 個人決済用 | 事業決済用 |
Suica(新幹線のIC乗車) | – | EX-ICに設定 |
エクスプレスカード設定 | 設定 | 設定 |
Apple Payでできること
Apple Payはその名の通り「決済サービス」。
主に以下のような用途で利用できる。
- コンビニなどお店での支払い(iD・QUICPay・Suica)
- JR・私鉄・バスなど公共交通機関に乗る(Suica)
- 東海道・山陽新幹線にチケットレスで乗る(Suica)
コンビニなどお店での支払い(iD・QUICPay・Suica)
Apple Payを利用する最大のメリットは、お店の支払いで利用できることだろう。
- 現金が不要なので、財布がいらない
- クレジットカードもICカードも不要なので、パスケースがいらない
- 用途に応じて複数種類のカードを持つことができる
非接触ICカード決済は、規格が乱立し「1種類あれば事足りる」という状況にならなかった。
このため、Suicaとそれ以外の何か1つが必要になるのだが、Apple Payは以下の規格に対応している。
- iD
- QUICPay
- Suica
かつては、主にスーパーで楽天Edyのみ、nanacoのみなんてお店も多かったが、2024年現在はICカード決済に対応しているお店であれば、この3種類のどれかに対応している。
といっても、ICカード決済に対応するレジやリーダーの導入は、お店にとっては負担が大きく、増えたとはいえ利用できるのは全国チェーンのお店が中心。
このため、仕事中にコンビニやスーパーで利用したり、イオンなど大型ショッピングモールで使うことが多くなる。
それでもお店の支払いが、iPhoneまたはApple Watchだけで完結出来るのはとても楽だ。
iD・QUICPayの設定方法
iD・QUICPayを利用する場合、個別の利用申請は不要で、iPhoneのWalletアプリから、カードをカメラで読み込むだけで設定できる。
利用条件はただ1つ。
対応するクレジットカードを持っていること
カードによって対応・非対応はあるが、調べるよりとりあえず設定してみた方が早いだろう。
これからカードを作る場合、個人的なおすすめは「dカード」だろうか。
ドコモユーザー向けのクレジットカードと思われがちだが、dポイントはドコモユーザーでなくても利用できる。
dポイントは貯めたり・使える店舗が多く、NTTドコモが提供するサービスなので、安心感含めて誰にでもおすすめできる。
- 年会費永年無料
- Apple PayでiDが利用できる
- dポイントが貯まる
かなり使いやすいカードだと思う。
また、ドコモユーザーの場合、ドコモ利用料の10%がポイント還元される「dカード GOLD」もおすすめだが、年会費が高いためメリットがあるかどうかは十分に検討したほうがよいだろう。
- 年会費永年無料
- ドコモ料金をdカード払いで2年縛りの違約金1000円が0円に
- dカードを実際に使った感想はこちら
JR・私鉄・バスなど公共交通機関に乗る(Suica)
特に首都圏在住の方は、移動手段が公共交通機関中心になる。
この時活躍するのはSuica。
僕が住む岡山県倉敷市も、JR西日本が発行するICカード「ICOCA」と対応する自動改札が導入され10年ほど経ち、さすがに利用者が増えたが、首都圏と比較すればまだまだ少ない。
Apple Payの日本導入を主導したのは、Suicaを発行するJR東日本と言われている。
Apple Payの普及のためにもSuicaの対応は必須と思われていたし、実際リリース時から対応したインパクトは大きかった。
ガラケー・Androidの「モバイルSuica」はお世辞にも使いやすいとは言えなかったが、Apple PayのSuicaはゼロベースで管理アプリが作り直されておりとても使いやすい。
- 定期券購入(Suicaエリアのみ)
- チャージ
- 東北新幹線などJR東日本の特急券購入(※2020年3月で終了予定)
- 普通列車グリーン車券の購入
カードのSuicaでできることは全てできるので、使わない理由はないと思う。
Suicaの設定方法
Suicaの設定方法は2種類ある。
- カード型のSuicaから「取り込む」
- アプリ上で「新規発行する」
どちらでも構わないが、カード型のSuicaから「取り込む」操作は驚いたし、JR東日本が普及のために本気で取り込んでいると感じた。
東海道・山陽新幹線にチケットレスで乗る(Suica)
そして、最後が新幹線への乗車だ。
ここで言う新幹線とは、「東海道・山陽新幹線」を意味する。
「EX-IC」というサービス名で、以前から提供されていたが、以下のような欠点があった。
Apple Payのサービス開始後も、この状況は変わりなく不便だった。
しかし、2017年10月23日から「スマートEX」という誰でも利用できるサービスが始まり、WEB上で事前購入すれば、手元にある交通系ICカードを使った新幹線乗車に対応した。
これは、カード型だけでなく、Apple PayのSuicaも含まれており、ついに手ぶらで新幹線に乗車できるようになったわけだ。
なので、これができたときは感動した!
新幹線に乗車するための設定方法
東海道・山陽新幹線にチケットレス乗車するためには、以下のサービスに事前登録が必要となる。
「エクスプレス予約」は会員制サービスで、年会費が発生するので、新幹線の利用頻度が低い方は、スマートEXだけでも登録しておくと便利だと思う。
Apple Payは「管理」もよく考えられていて便利
ここまでの内容で、生活上便利になるのはお分かりいただけたと思うが、これらは基本的に「おサイフケータイ」でも同じことができた。
Apple Payが特に便利と思うのは、「管理すること」もよく考えられている点だ。
機種変更時のデータ移行が簡単!
iPhoneでもApple Watchでも、カードと異なり数年で機種変更を行うため「データ移行」が必要になる。
何が面倒だったかと言えば、カード毎に、サーバーにデータを保管し、機種変更後「復元」する操作が必要だったから。
1つならまだしも、おサイフケータイは複数のカードを管理出来るのが魅力だったので、手間も数倍で正直面倒だった……。
ところが、Apple Payではとてもシンプルになっている。
移行前の端末で、Suicaを削除する
これ以外、特別なデータ移行手続きは不要。
iCloud上にカード情報は全て保管されているため、データ移行など行わなくても、同じApple IDでセットアップするとその流れで復元が行えるような仕組みになっている。
だから、恐れずに使ってみてほしい!
複数種類のカードを持ち歩くことができる
Apple Payでは簡単にカードを追加できるので、複数枚のカードを同時に持ち歩くことができる。
財布に入れたらかなり膨らんでしまうが、Apple Payならそんなことはない。
近年はクレジットカードやICカード決済に対応するスーパーが増えたが、自社のカードのみ割引するというサービスも多い。
イオンカードなんかは典型だが、お店によってカードを分けたい時に、複数枚のカードを追加できるのは非常に便利。
- iD
- QUICPay
のカードを複数枚登録し、簡単な操作で使い分けるというのは、Androidのおサイフケータイ(Google Payを含む)ではできない。
このような「制限」も一般利用者からみれば理解しづらいので、Apple Payは後発サービスゆえに、管理方法もよく考えられていると思う。
ちなみに、登録できるカード数は、モデル毎に決まっている。2024年11月時点でモデル毎にまとめると以下のようになる。
種別 | モデル名 | カード最大登録数 |
---|---|---|
iPhone | iPhone 7シリーズ | 8枚 |
iPhone 8シリーズ | 12枚 | |
iPhone X | ||
iPhone XR | ||
iPhone XSシリーズ | ||
iPhone 11シリーズ | ||
Apple Watch | Series 2 | 8枚 |
Series 3 | 12枚 | |
Series 4 | ||
Series 5 |
Google Payやバーコード決済(QRコード決済)と比較したメリット・デメリット
「これだからApple信者は……。」
と言われるかもしれないが、Apple Payが凄いのはサービス内容はもちろんだが、下火になっていたICカード決済を、再び普及させる起爆剤になったことだ。
Apple Payの導入前から、日本ではおサイフケータイがガラケーおよびAndroidで展開されていた。しかし、リーダーは老朽化しイオン・コンビニなど全国チェーンでしか利用できなかった。
正直そう思っていたが、Apple Payの日本上陸で新規対応店舗はかなり増え、リーダーも最新型に更新され普及が進んでいる。
この動きが、その後Google Payやバーコード決済が始まる流れに繋がったと思う。
Google Payは、基本的に「おサイフケータイ」の流れを組むサービスで、登録方法はApple Payの利便性を採用しつつ、nanacoなど多様なサービス対応しているのが特徴だ。
- nanaco
- WAON
- 楽天Edy
などプリペイド型の決済手段は、Apple Payでは対応していないため、優位点と言えるだろう。
ただし、ポストペイ型の決済手段はQUICPay・iDに対応するものの、1種別1つという制限がある。
さらに、PayPayなど2018年から急速に普及してきた、バーコード決済(QRコード決済)の登場で決済手段はドンドン多様化している。
バーコード決済とICカード決済は基本的な立ち位置が異なるが、リーダーにかざすだけで決済が完了するという「手軽さ」が優位点といえるだろう。
非対応店舗の決済用に「薄くて軽い財布」を持つ
Apple Payを使うようになることで、普段の生活で「財布」を使うことは極めて少なくなった。
ただ、だからといって財布が不要にはならない。
- メインクレジットカード
- 健康保険証
- 身分証明書(運転免許証など)
- 最低限の現金
これくらいは持ち歩いておかないと、ICカード・QR決済ができない場面で困ってしまう。
また、僕が住む岡山県倉敷市は平成30年7月豪雨で被災したが、普段便利な決済も、電気がないと使えないので、最低限の現金を持つことも重要だと思う。
ただ、大量のカードや小銭を持ち歩く必要性はなくなったので、僕は「薄くて軽い財布」を持ち歩くようにしている。
僕は「Bellroy(ベルロイ) Note Sleeve」という財布を使っているのだが、これをズボンのポケットなどに入れて、常に持ち歩けば、いざという時も安心だ。
終わりに
Apple Payはとても便利なサービスだと思うのだが、どうもユーザーが増える気配がない。
だが、僕の周りの人に使い方を少し教えたら、「こんなに便利なサービスとは知らなかった!」と言う人がほとんどなので、「食わず嫌い」が多いのだと思う。
この記事を読んで、使ってみようと思う人が少しでも増えたらよいなと願っている。
Apple Payに関する記事
iPhone 7、Apple Watch Series 2以降のモデルは、日本で主流のFeliCa方式によるApple Payが利用可能です。
Suica・iD・QUICPayに対応しているので、まだ使って使っていない方は、1度使ってみることをおすすめします!
Apple Payに対応するiPhone・Apple Watch
SuicaなどFeliCa方式のApple Payに対応する、iPhone・Apple Watchは以下のモデルです。
- iPhone 7以降のiPhone
- iPhone SE(第2世代)
- Apple Watch Series 2以降のApple Watch
- Apple Watch SE