iPhoneではおサイフケータイ・Suicaは使えないのか?
長年そう言われていたこともあり、2018年現在でもiPhoneではおサイフケータイやSuicaに対応していないと思っている人も多い。
だが、実は2016年9月に発売した、iPhone 7・iPhone 7 Plusで対応済みとなっている。
とはいえ、ここまでの歴史は長かった。
古くは、iPhone 6からはNFC(Type A/B)に対応したが、FeliCaは対応外。
いわゆる「ガラパゴス機能」の象徴とも言える、おサイフケータイなんて、グローバル端末であるiPhoneが採用するわけがない
というのがほとんどの人の意見だった。
ところが、2020年の東京オリンピックに向けて、流れが変わり、iPhoneがFeliCa対応することになった。
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FeliCa(おサイフケータイ)方式のApple Payに対応しているiPhone
iPhoneのおサイフケータイ対応は、Apple PayがFeliCa方式に対応する形となっている。
なので、厳密な意味では「おサイフケータイ」という名前ではないのだが、この記事では日本での一般的な名称として使用している。
モデル | FeliCa対応 |
---|---|
iPhone 3G | × |
iPhone 3GS | × |
iPhone 4・iPhone 4S | × |
iPhone 5・iPhone 5s・5c | × |
iPhone 6・iPhone 6 Plus | × |
iPhone 6s・iPhone 6s Plus | × |
iPhone SE | × |
iPhone 7・iPhone 7 Plus | ○ |
iPhone 8・iPhone 8 Plus | ○ |
iPhone X | ○ |
みての通り、iPhone 7以降のモデルは全て対応されている。
余談だが、iPhone 7では日本で販売されるモデル番号のみ、FeliCa方式に対応していた。
だが、2017年に発売した、iPhone 8シリーズおよびiPhone Xでは、グローバル対応しており、海外で購入したiPhoneもFeliCa対応している。
つまり、オリンピックなどで訪日した外国人が使うiPhoneも、FeliCa対応しているため、Suicaなどを使う事ができるようになっている。
以降は、iPhoneのFeliCa対応までの歴史的な経緯を簡単に紹介しようと思う
iPhone発売時からの弱点は「防水・テレビ視聴(ワンセグ)・おサイフケータイ」
日本でiPhone 3Gが発売した2008年。
この当時ほとんどの有識者が
「Phoneなんて日本では普及するわけない
と言っていた。その理由の根拠の1つとして言われたのが、
- 防水機能
- ワンセグ(当時、2016年以降はフルセグが主流)などテレビ視聴機能
- おサイフケータイ(FeliCa)機能
この3つに対応していないからだ。
にもかかわらず、その後日本でiPhoneがどのようになったかは、皆さんがご存じの通り。
覇権を握ってしまった
僕はガラケーの時代から、3機能はわりと使っていた部類に入るとは思うが、じゃあ周りはどうだったかといえば、防水機能以外は「あってよかった」という人は少ないし、利用者も少なかった。
特におサイフケータイ(FeliCa)については、人によって完全に対応が別れていた。
だが、便利と思う人は使いたくて仕方無い。僕はそのタイプなので、2014年にiPhone 6が登場し、
NFCに対応。Apple Payを開始
と言われた時、遂に日本でもiPhoneで決済出来る!と内心喜んでいた。
だが、結果はというと日本では全く意味が無かった。
そこには、非接触決済規格のNFCとの関係性があった。
NFC規格とFeliCa
NFCは「Near Field Communication」の略で、近距離無線通信という意味。
日本では非接触ICカードとかFeliCaとかおサイフケータイ、通称として「Suica」なんて言われたりするが、規格としては全てNFCの一部となる。
そして規格名としてはFeliCa(フェリカ)と呼ばれ、これはSONYとドコモが主導して日本に普及させた経緯から、
ガラパゴス機能の象徴
みたいな感じでよく叩かれる面もあるのだが、実は立派な国際規格。
NFCは有名どころでいうと以下の3タイプでに分かれており、FeliCaはTYPE Fに分類される。
NFC規格名 | 国際規格 | 採用例(日本) | 採用例(海外) |
---|---|---|---|
NFC TYPE A | ISO/IEC 14443/18092 | taspoカード | 欧州では交通系カード、Apple Pay |
NFC TYPE B | ISO/IEC 14443 | 住民基本台帳カード、免許証 | Apple Pay |
NFC TYPE F | ISO/IEC 18092 | Suica、Edy、WAON、nanaco、おサイフケータイなど |
じゃあ、FeliCaってなんでガラパゴス機能の象徴のような扱いを受けがちなのかと言えば、それはもうSuicaのせいと言わざるを得ない。
FeliCa機能の目玉機能は「モバイルSuica」
おサイフケータイというものをdocomoが発表したのは2004年。
iモードFeliCaなんて呼ばれ、対応端末も少なかった(元祖は「SO506iC」「P506iC」「SH506iC」「F900iC」)。
当時から普及には疑問の声が多く上がっており、EdyやiDなど電子マネーとしての利用が徐々に増えていたが、「普及の鍵はJR東日本のSuicaが対応するかどうか」と言われていた。
そして、おサイフケータイ対応のSuica、現在の「モバイルSuica」が登場したのが2006年の話。遂に!なんて騒がれたが、実は色々問題があった。
世界一の混雑と言われる、東京の通勤ラッシュに耐えうる、高速なリードライト性能が求められ、同じ時期に発売したおサイフケータイ対応携帯でも、対応と非対応が分かれたりした。
手続きの部分でも色々煩雑で、ユーザーから不評を買いサービス開始から10年が経過しても、実は360万人ほどの会員しかいない。
これは首都圏の人口から見ても、開始前の期待感からしてもかなり少ないと言わざるを得ない。
僕は2008年~2010年に関東に住んでいたので、そのタイミングでモバイルSuicaを導入した。
オートチャージと組み合わせると、チャージ不要で使えるため非常に便利なのだが、最大の欠点は
機種変更手続きの面倒くささ
岡山に戻り、機種変更したタイミングで解約した。
恐らくそういう人は多いと思う。
その後スマートフォンの普及で、ガラケーの流れを組みAndroidにはモバイルSuicaが移植されたが、ユーザー数はそれほど増えていない。
それなりの投資をしてきたのだから普及させたい。
iPhone 7がFeliCa対応する直前の2016年8月頃は、
iPhoneのFeliCa搭載を最も望んでいるのはJR東日本
という状況になっていた。
グローバル端末で「NFC TYPE F」の対応が義務化の流れ
そんな中、2016年7月14日、第11回NFC Forum ジャパン・ミーティングというイベントが開催された。
この基調講演に東日本旅客鉄道株式会社のIT・Suica事業本部、山田肇技術戦略担当部長が登壇した。
その中の大きなトピックとして以下のようなことが語られたそうだ。
2017年4月以降、公共交通機関で利用されるGSMAに対応するグローバルモデルのNFC携帯端末はNFC-Fも実装することになる
GSMAは世界の通信事業者を束ねる業界団体のこと。NFC-FとはもちろんFeliCaのことを指す。
つまり、2017年4月以降発売するNFCを搭載するグローバルモデルはFeliCa対応が必要になるということだ。
NFCを搭載するグローバルモデルと言えばiPhone
そう思う人は多いだろうし、実際そうだと思う。
つまり、少なくとも2017年9月に発売するであろうiPhone10周年モデル(iPhone X)での、FeliCa対応はほぼ間違い状況だった。
だが、Appleはこういう動きは比較的速く対応する傾向が強い。
何故なら、AppleはWi-Fiなど無線通信規格にしてもドラフト段階で採用してくるし、近年で言えば12インチMacBookおけるUSB-TypeC対応のように、他社に先駆けて導入する傾向がある。
その話をJR東日本の人が語るという事実から、2016年9月に発売するiPhoneでの対応はほぼ間違いないと言われていた。
終わりに
iPhoneのFeliCa対応は、当面日本人が喜ぶだけだと思うが、少し長い目で見れば違う影響がある。
iPhoneはグローバル端末なので、外国人観光客でも利用者が多い。自国の言語でアプリを操作すれば、チャージが出来て、後は改札口でかざせば電車に乗れるというのは非常に利便性が高い。
東京オリンピックを考えたら、インフラとしても必要な仕組みだと思う。
この為、モバイルSuicaの利用者は一気に増えると思う。ただ、必要な要素は、
- 年会費の完全無料化
- 多言語対応
- 地域の壁(JR東日本とJR東海など)を超えた利用を可能とする
- 東海道新幹線にも乗れるようにする
じゃないかと思う。今、ユーザーが増えない理由はiPhoneが対応していないから、とJR東日本が考えているのだとすれば、それはとてつもない見当違いだと思いますけどね。
iPhoneのFeliCa対応は、使いづらかったモバイルSuicaのサービスレベル向上に繋がってくれたらと思う。
Apple Payに関する記事
iPhone 7、Apple Watch Series 2以降のモデルは、日本で主流のFeliCa方式によるApple Payが利用可能です。
Suica・iD・QUICPayに対応しているので、まだ使って使っていない方は、1度使ってみることをおすすめします!
- iD・QUICPayなど複数の決済サービスに対応
- Suicaにも対応(新幹線も乗れる)
- 機種変更時のデータ移行が楽
Apple Payに対応するiPhone・Apple Watch
SuicaなどFeliCa方式のApple Payに対応する、iPhone・Apple Watchは以下のモデルです。
- iPhone 7以降のiPhone
- iPhone SE(第2世代)
- Apple Watch Series 2以降のApple Watch
- Apple Watch SE
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歴代iPhoneのレビュー記事
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2011年発売のiPhone 4S以来、iPhoneを毎年購入している管理人が、これまで書いて来たiPhone関連レビューを、iPhoneカテゴリートップページでは整理して紹介しています。
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